組織改編で新設された県病院事業局の参与に就任した。五つの県立病院の運営や経営改善、医師確保など喫緊の課題解決にあたる。「大きな仕事をお引き受けしたという気持ちだ。医師・看護師不足、資金不足と、県立病院は大変な状況。県民の医療に大きな責任ある病院を応援したい」と抱負を語った。
3月末まで信州大医学部付属病院の病院長。4年9カ月の間、病院運営を指揮してきた経験が買われ、県に請われた。「公立病院は『存在するのは当然』という気持ちが住民に強かったが、病院は単体で存在するわけではない」と指摘。「行政機関や住民も病院との連携を深め、機能を高めて、より良い医療サービスを提供できる体制を構築する気持ちになってもらうことが大切」と県立病院のあるべき姿を説く。
県内の医師不足は「人口10万人あたり医師数が190人」と、全国平均を下回るほど深刻だ。県立須坂病院は、産科医不足で4月から分娩(ぶんべん)を休止した。「医師不足の問題は『不足している、不足している』と声高に叫んでも医師がわいてこない。現在いる医療従事者がこれ以上逃げ出さないように、環境を整えることが喫緊の課題だ」。過酷な勤務を強いられる医師らの気持ちを代弁する。
専門は病理学。人体を顕微鏡で細かく分析研究し、病気の治療にあたった。慢性的な赤字体質など、県立病院は問題が山積するが、持ち前の緻密(ちみつ)な分析力を生かし、医療サービスの向上を目指す。【神崎修一】
毎日新聞 2008年4月16日 地方版