2008年4月16日

シチズンズ・バンク・パークのライトフェンスは、金網です。ぶつかると、相当痛いのです。
今日も試合前にライトのフェンス際の練習をしていたら、
ぶつかって、背中がこすれるたびに「ごりごりごりっ！」と
音がします。いやな音です。

あとで鏡を見たら、案の定背中はまっかっか。どこから見てもドメスティック・バイオレンスで、
下手人はうちのヨメ、ということになりかねません。

野球選手の身体は、ユニフォームを脱ぐと結構恥ずかしいのです。
こういった「フェンスのあと」であるとか、夏場になるとユニフォームの日焼けで
逆パンダになるとか、ユニフォームでこすれるため、太ももの毛が部分的になくて
不自然につるつるだとか。銭湯で遭遇したら、身体を見ただけで「あっ野球やってる」と
見抜く自信がかなりあります。

ともあれ、いらん詮索をされないように、僕はなるべく真っ赤な背中を隠しながら、
こそこそこそこそ着替えていました。しかし、隠そうとすればするほど、その行動はとても怪しい。
そーっと歩こうとすればするほど、何かにつまづいたりぶつかったりして、
必要以上に大きな音を立ててしまうのによく似ています。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年4月15日

チームのスター、ジミーあらため「ＪＲＯＬＬ（ジェイロール）」こと、
ジミー・ロリンズ（内野手）が怪我で出場を控えている間、
その代役を果たしているのが、エリック（ブラントレット・内野手）です。
今年ヒューストンから移籍してきた彼は、物静かで淡々とした男。ロッカーが僕の隣（ちなみに逆隣りは
ＪＲＯＬＬ）で、基本のストレッチからはじめ、自分のやるべきことを毎日、地道に実直にこなしています。
その彼が２つのエラーをしたのが、一週間前のＮＹでのメッツ戦。以来、エリックが打席に立つたびに、
いまだに嵐のようなブーイングが起こっています。
それがチャンスで、まさに応援のしどころであっても、ブーイングはやみません。
相手チームは不思議に思っていることでしょう。

フィリーズファンはなぜか、外様を積極的に応援しないようです。
まずは生え抜きが一番で、あとは
誰が打席に入っても、まるで敵地のようにしーんと静まり返っています。
そこで彼のようにエラーでもしてしまおうものなら、批判の対象となり、
そのイジメにも似たブーイングは、相当期間続くのです。
最近ホームランを打つなどして、そのイメージは挽回されつつありますが、
見ていてもつらいし、「次は自分やなー」と思うのも、かなりしんどいもの。

東海岸全体がそうとは思わないのですが、
いったいこれは土地柄なのか、人柄なのか。
いつしかこの、厳しい「愛の形」を、僕も理解できるようになるのでしょうか。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年4月14日

本拠地でのオフです。
髪を切りに行ってすっきりしたあとは、
寛の空手の稽古を見に行きました。
言葉遣いはきれいですが、態度がそれに伴わず、
落ち着きがなくてちょろちょろしている４歳児。
なんとか集中力と礼節を学んでほしい、ということで、
初お稽古事を最近開始したのです。

白人黒人入り混じった先生たちがずらりと揃う道場は、
日本人にとってはかなり見ごたえのある光景です。
返事がすべて「Yes, Ma'am 」「Yes, Sir」なのもなんだかかっこいい。
その中にうちの子供がいる・・・のに、一瞬だけ感動した僕でした。
（大きくなったなー）

しかし、稽古開始と同時に、がっかり度がアップ。
誰よりもおちゃらけていて、誰よりも動きが妙で、
何か必ず笑いを取らないといられないのです。
場が真剣になればなるほど、彼はその緊張に耐えられず、
わざと転んだり、踊ったりするのです。
なぜ、こんな子供になってしまったのか。
俺か？俺に似たのか？

学業のお稽古事は、おそらく向かないので最初から捨てています。
野球をやらせたい僕の父は、「空手か・・・」と苦笑いです。
しかし野球も勉強も、まずは当たり前の礼儀があって、が、我が家の方針。
強くならんでいいから、５分、せめて３分じっとしとかんかい！
挨拶するとき小首をかしげるな！
ああっ！その脚の開き、何で内股やねん。もっとがばっと！

今日あらためて、
まわりの子供が寛よりはるかに素晴らしく見えました・・・。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

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