「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法の規定(離婚後300日規定)による無戸籍児の親らが、体験を共有し規定の見直しなどを働きかけるため「民法772条による無戸籍児家族の会」を発足させる。20日に東京、27日には大阪で会合を開く予定で、同会は「昨年規定は見直されたが、救済対象は一部にすぎない。問題は長期化している」と参加を呼びかけている。
規定をめぐって、法務省は昨年5月、離婚後妊娠が医師の証明で明らかなら「現夫の子」とする出生届を認める通達を出した。離婚後妊娠は1割程度とされ、離婚前妊娠では前夫を巻き込んだ調停や裁判の手続きを取らなければならない。
しかし、事実上破綻(はたん)しているのに話し合いの長期化で離婚日が遅れ、「離婚前妊娠」とされるケースがある。調停などでは、前夫と連絡がつかないなどで不成立となる場合もあり、出生届が受理されず無戸籍児となっている。厚生労働省によると無戸籍児は昨年6月現在、全国で少なくとも227人に上る。
東京で会合を開く東日本支部の代表は、予定日より約2カ月早い昨年12月に離婚後292日目で男児を出産した東京都墨田区の女性(39)が務める。女性は「現夫の子」とするために調停を進めたが、通達で救済された。「多くの人が悩んでおり、できる限り協力したい」と話している。
会合は、東日本支部が東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂、西日本支部が大阪市北区のリーガロイヤルホテルで、いずれも午後2時から。問い合わせは、事務局の井戸正枝さん(090・8048・8235)。【工藤哲】
毎日新聞 2008年4月18日 東京朝刊