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【栃木】県境越え医療連携へ 両毛6市『前例なく大いに期待』2008年4月18日 人的、経済的につながりの深い足利、佐野両市と、群馬県館林、桐生、太田、みどりの四市を合わせた「両毛六市」が、地域医療の分野で県境を越えて連携を進めることになった。医師不足や患者の受け入れ拒否など地域医療の危機が社会問題となっている中、現場の痛切な声を受けた六市の前例のない試みとなる。 (梅村武史、川口晋介) 「越境連携」は、群馬県で十六日に行われた両毛地区臨時市長会で提案され、全市長一致で決定。五月中に課長級職員による「両毛広域医療連携調査研究会」を立ち上げ、緊急を要する産科や小児科などについては本年度中に対応を整える方針だ。 本格始動は、同地区唯一の救命救急センターがある足利市の足利赤十字病院の新病棟が完成する二〇一一年夏以降の見込み。受け入れ態勢の確立や救急医療・回復期医療・リハビリなど効率的な役割分担、治療方針や退院基準の共通化などを図っていく。事務局となる同市の吉谷宗夫市長は「住民が安心して利用できる地域医療の構築が目的。両県とも協力して早急に進めたい」と話した。 背景にあるのは、同地区の地域医療を取り巻く厳しい現実だ。市民病院の医師不足で年十億円超の財政支援が必要な佐野市をはじめ、太田市の総合太田病院や館林市の館林厚生病院は、産科医の不足から出産受け入れを休止している。足利市消防本部では昨年、十八件連続で患者受け入れを断られるという事例もあった。 厚生労働省も、今回の連携を「有意義な試み」と評価する。今月から実施の改正医療法を受け「従来の医療圏にこだわらず地域の実情に合わせた連携を」という同省医政局指導課長通知も出たばかり。「地方医療の崩壊は国としても深刻に受け止めている。県境を越えた複数市の連携はほかに聞いていない。成果を大いに期待したい」と話している。
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