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素顔のオグシオ<下>

対照的な性格

輝き2人だからこそ

 13年前。小椋久美子(24)と潮田玲子(24)は、小学6年で出場したシングルスの全国大会で、初めて対戦した。潮田が勝ったこの試合の途中、突然の雷で体育館が停電した。ゲームは1時間ほど中断した。

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さらなる飛躍が期待される小椋(右)と潮田

 因縁を感じさせる出来事のさなか、潮田はコート脇にじっと座って再開を待ち、小椋は体を冷やすまいと仲間とシャトルを打ち合っていた。海外遠征ではホラー映画のDVDを一緒に見るなど仲がいい2人だが、互いの家族が「性格は正反対」という通り、対照的な素顔を見せる時がある。

 今年2月、東京で行われたバドミントン日本代表発表の記者会見。取材が終わり、司会の協会幹部が「オグシオから皆さんに伝えることは?」と促した。潮田は笑顔で100人以上の報道陣に“逆質問”した。「髪を切ったんですけど、どうですか?」

 潮田は会見の前日、久しぶりに髪を切った。「思い切って短く」と思ったが、結わないと試合で邪魔になる。ファッション雑誌をめくりながら2時間も悩み、結えるギリギリの長さにした。大勢の報道陣とのやりとりでも、遊び心を挟むゆとりがあるのが潮田流だ。

 一方、小椋にはこんな逸話がある。いつも髪を簡素なピンで留めて試合をする姿を見た両親が「レイちゃん(潮田)みたいに、かわいらしくしたら」と提案した。返事は素っ気なかった。「そんなこと気にしてたら試合できん。そういうの嫌いやねん」。関係者が「競技への姿勢が素晴らしい」と口をそろえるまじめさで、小椋はどんな質問にも率直に答えようとする。

 2人は互いをどう見ているのか。潮田は「オグッチはひたむきで力強い」と評し、小椋は「レイの相手の心を読む力、視野の広さを見習いたい」と言う。

 それぞれの魅力にあふれた小椋と潮田が「オグシオ」になった時、輝きを増す。

(佐藤謙治)
2008年4月17日  読売新聞)

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