カーオーディオやカーナビゲーションなど製造のケンウッド(東京)は15日、今秋をめどに生産子会社の長野ケンウッド(伊那市)と山形ケンウッド(山形県鶴岡市)を合併し、長野ケンウッドの生産ラインを縮小すると発表した。長野の従業員330人のうち、約130人を配置転換や早期退職で削減する。自動車販売の低迷などで自動車メーカー向けのカーナビの販売が伸び悩み、収益が悪化したため、国内生産体制の再編で改善を図る。
長野ケンウッドは、自動車メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する純正カーナビの主力工場。ケンウッドは同日、このOEM分野の販売低迷などを理由に、2008年3月期連結決算の純利益予想を40億円から30億円に下方修正し、「中期的にもこうした状況が続くと予想される」として子会社の再編に踏み切った。
ケンウッドは長野の従業員の配置転換先として、ケンウッド本体か県外の関連会社を挙げている。ケンウッドは「グループ内での雇用確保を基本に、配置転換が難しい場合は再就職支援も検討したい」(広報IR室)としている。
山形ケンウッドは無線機器の主力工場。合併で総務など重複業務を一元化して固定費を減らし、生産の効率化を図る。山形は従業員削減などの予定はない。
合併後の存続会社は長野ケンウッドで、新会社の社名は未定。ケンウッドは、新会社について「グループ全製品の『生産技術センター』として、高付加価値品の生産や研究開発を担うとともに、海外工場に対する技術指導の拠点とする」(同)としている。
ケンウッドは1946(昭和21)年、駒ケ根市赤穂で「有限会社春日無線電機商会」として設立。本社は58年に東京に移転したが、同市内では01年まで工場を操業していた。長野ケンウッドは90年に設立。07年3月期の売上高は約220億円。