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市場の懸念

2008年04月18日

 G7では米国のサブプライムローン問題に始まる国際金融システムの動揺についてこれといった具体的な解決に進まなかった。そのために株価は下がり、ドル安の基調も変わっていない。政府資金投入の意思が注目されたが、大統領選のために見送られたともいわれる。G7に呼ばれた大銀行の首脳たちの「時価主義の一時停止」という要請についても、むしろ否定的な雰囲気であったという。

 しかしサブプライムローンを証券化した商品に対しては買い需要が離散し、市場の態をなさなくなっている。AAA格でも額面相当額の50%、投資適格ぎりぎりのBBB格では20%以下に値下がりしている。これでは市場の評価機能は停止しているに近い。しかしその元にあるローンには担保としての住宅があり、住宅価格が平均して50%以下になるとも思われない。時価とは何であるのか、実態をもっと適正に反映するような価格の算定方法の合意をこそ急ぐべきだったと思われる。

 また、このように金融システムが揺らいでいることの背景には、過剰なマネーがファンドとして組織化され、強大なパワーをもつに至りながら規制はほとんどされていない実態もある。それが借り入れをしながら投資力を増やしてきたことが今回のサブプライム問題にどう影響を与えたのか、プラス・マイナスを点検する必要もあったろう。

 G7では自己資本の拡充を要請したというが、かけ声だけで解決はしない。欠損した銀行の自己資本比率を増資などで埋めることができないと巨大な信用収縮が起きることになる。G7でこの問題の深刻さが十分に共有されたのかどうか。市場の失望はそのことへの懸念を示すものと言えよう。(瞬)

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