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【厚労省のカルテ】(2) 医師不足消えぬ現場の悲鳴 (2/3ページ)
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医師不足に関しても、10、20年といったマクロでみた統計では、確かに厚労省の見通しに間違いはないのかもしれない。だが現場の悲鳴は、「大病院を頼りたがる国民気質」「訴訟リスクのある診療科を避ける医師気質」「過酷な勤務環境」「都市の病院を好む研修医の流れ」といったところに起因している。これらは人口や社会保障費の推移からは見えてこない。
厚労省がそういった現場の実情を直視し始めたのは、ごく最近のこと。18年7月にまとまった報告書で、「医学部定員の暫定的調整」「大病院への患者集中軽減」といった提言を打ち出したのが転機となった。しかし、それとて実現させるにはいくつものハードルがある。
地域医療問題を研究している東北大の伊藤恒敏教授は「厚労省の政策は付け焼き刃的で、合理性や一貫性がない。厚労省は現場の声を知らなすぎるから、実態と離れた政策が出てくる」と批判する。
ある厚労省幹部は「現場で起きている問題を細かくとらえて、早くに政策を見直す必要性があったのかもしれない」と漏らす。
厚労省と医療現場にある隔たりに敏感に反応しているのが、患者である国民や医療関係者らの声を拾っている国会議員たちだ。2月に立ち上がった「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」には超党派で100人を超える議員が名前を連ねた。鈴木寛議連幹事長は「医療の現場からは悲鳴にも似た声が届いている」と話す。
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