年金からの保険料天引きなどで混乱が続いている後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、厚生労働省はこのほど、同制度の周知徹底を図るためのチラシ2枚を緊急に作成し、各都道府県の高齢者医療担当者などに電子メールで送付した。
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チラシは、同制度のポイント解説と被保険者向けのQ&Aの2種類を用意。「75歳以上の方々の医療費を国民全体で支える仕組みです」と題するチラシでは、75歳以上の高齢者医療に公費を重点的に投入することを強調。市区町村によって最大で5倍の格差があった保険料が2倍に縮小することや、各保険制度の一本化によって保険料のばらつきがなくなることなど、同制度の“利点”を説明している。
年金からの天引きについては、「手間をおかけしない」「保険料徴収のための行政の無駄なコストを省く」という2つの理由を挙げている。高齢者の受診抑制(フリーアクセスの制限)につながるとの批判が強い主治医制度については、主治医の呼称を「高齢者担当医」とした上で、「お一人おひとりに寄り添って、生活面も含め、丁寧に診ていく医療を提供します」としている。
しかし、制度そのものについては、「外来から入院先の紹介、在宅医療まで継続してかかわる仕組みを導入します」とするにとどめており、批判に十分答えているとは言えない。
一方、「お一人おひとりにとって、何が変わるの?」と題するQ&Aのチラシでは、5つの質問と回答をそれぞれ示して同制度の“メリット”を説明。「国民健康保険と比べ、保険料は平均的にはこれまでよりも低くなります」「ご自身の担当医を持つことが可能になります」とした。
ただ、「国保の保険料の算定方式が長寿医療制度とは異なるなどの自治体において、負担が増える場合もあります」との注意書きを添えている。
このほか、長寿医療制度があくまでも「通称」であることを示し、「制度を身近で親しみやすいものにするため」と理由付けしている。
年金から天引きが始まった4月15日、同制度を担当する同省保険局総務課の高齢者医療企画室は、午前9時から5台の電話で都道府県の広域連合などからの相談に対応したが、このうち2台は一般用の回線で、電話の音が鳴りやまなかった。
同室の担当者は「一般用の回線は高齢者からの電話がほとんどで、一度取ったら30分以上は終わらない。『こんな制度はすぐにやめろ』『天引きするな』という苦情が多い。話の内容もそれるので、長いときで2時間ぐらいかかる」と嘆いていた。
更新:2008/04/17 15:03 キャリアブレイン
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。