■入力方式だってバージョンアップしたい!
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Q: 「チョイかな入力」って、「ちょいワル」ブームにあやかって付けた名前ですか?
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校長:いやいや、「チョイ」に関しては私のほうが先じゃ。
1998年5月に出版した『2時間で成る!キーボードの達人』(小学館文庫)でデビューさせたのが「チョイ入力」ファミリーで、私が作った新しい入力方式だな。
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Q: え! 入力方式って、自分で作っちゃって、いいんですか?
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校長: パソコンのハードやソフトはどんどんと使い易くなっておるじゃろう。入力方式だけがずっと同じで、どうしていいのかな?
入力方式もどんどん使い易くしていいんだよ。もちろん、今までにもいろんな人がそうした試みをしてきた。じゃが、何も変わる様子はない。そのことには理由がある。
まぁ、ソフトやハードは新しいものに買い替えても、割と簡単に使えるようになる。入力方式には2つの問題がある。ソフトやハードにしても、お金の問題はあるがね。
入力方式の場合は、設定の問題と、新しい入力方式でいかにブラインドタッチになるかという問題じゃ。
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メインの話題は、Windowsパソコンで簡単に設定できる「チョイかな入力」です。
でも、「チョイかな入力」に先立って校長が開発した、「チョイ入力」の話も出て来ます。混乱される方がいらっしゃると思いますが、「チョイ入力」はサブの話題ですから、そのことをしっかりと頭に入れて読み進んで下さいね。
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Q: 確かに、ローマ字入力以外の入力方式を使っている人は本当に少数派です。でも、ローマ字入力は英文と日本語で配列が同じですから、多くの方が使っているのではないでしょうか?
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校長: まぁ、よく考えてみたまえ。
パソコン・ユーザのほとんどが、英文でもローマ字入力でもブラインドタッチで打てていないのが現状じゃ。
このことを逆に言えば、ローマ字入力はブラインドタッチになりにくい入力方式、と考えることも出来るんじゃないかな。まぁ、みんな、入力方式をとことん調べて、ローマ字入力を選択したわけではないことだけは確かだ。お仕着せのものを、何も考えずに受け入れてしまっているだけではないかな。
みんなが使っているローマ字入力のベースになっているアルファベットの並びだが、これはQWERTY配列と呼ばれておる。欧米では、はるか昔から問題にされていてなぁ…。まぁ、その話は後にしよう。
皆さんの目の前にあるキーボードをご覧下さい。
上段の左端から「QWERTY」とキーが並んでいますね。
そのことから、このキーの並びを「QWERTY配列」と呼んでいるんですよ。
上段のキーだけで「タイプライター」と打てるのは有名な話です。もちろん、これは英単語(Typewriter)のことですけどね。
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Q: え! 校長はローマ字入力の指導をされているわけでしょう。それなのに、ローマ字入力の悪口を言って、いいんですか?
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校長: まぁまぁ、落ち着いて。どちらにするかは、みんなの選択に任せようじゃないか。
まず検討すべきは、新しい入力方式が自分のパソコンで使えるように設定できるかどうか、ということだ。
「チョイ入力」は日本語入力ソフト(IME)のローマ字カスタマイズ機能を使って設定するんだが、一般的なIMEであるMS-IMEとATOKのローマ字カスタマイズ機能では設定できないんだ。2007年現在での話じゃが。
「チョイかな入力」はMS-IMEとATOKで設定できる。
もっとも、IMEの前段で使うドライバで独自の入力方式を使えるようにする方法もあるが、一般の人には勧められない。Windows OSがバージョンアップすると使えなくなったりするからね。
まぁ、誰もが使っているMS-IMEとATOKのローマ字カスタマイズ機能が充実して、どんな入力方式でも自由に設定できるようになるといいんじゃがなぁ。
それはともかく、次の検討課題はブラインドタッチになれるかどうかだ。
「チョイ入力」はローマ字入力に比べればはるかに簡単にブラインドタッチになれるし、「チョイかな入力」も同じように簡単に打てるようになる。
その上に、「チョイかな入力」はブラインドタッチではなくても、二本指打法でも打ち易いという入力方式なんじゃ。二本指で打っていても、段々とブラインドタッチで打ちたくなるような仕掛けもしてあるんじゃ。
もちろん、最短時間でブラインドタッチになる増田式テキストもちゃんとあるし、最短期間でトップスピードになる増田式教材も揃っておる。
つまり、「チョイ入力」は設定に問題はあったが、「チョイかな入力」には何の問題もない、ということじゃ。それに、MS-IMEかATOKがあれば良いから、新しいソフトを買う必要もないので経済的な問題もない。
ソフトやハードならバージョンアップしたものが喜ばれる。入力方式だって同じだと思うんじゃが、どうかな?
校長は、仮名漢字変換をしないで漢字仮名交じり文が入力できる漢字直接入力を20年以上使っています。その為にマイナーな日本語入力ソフト(IME)を使うことになります。Windows
OSがバージョンアップするたびに、そうしたIMEが使えなくなったそうです。
そこで、皆さんにはそうした苦労をさせないように、MS-IMEかATOKで永遠に使い続けられる「チョイかな入力」を作ろうと考えたのです。
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■脳梗塞から回復した人でもブラインドタッチ
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Q: お金をかけずに設定できて、誰にでも打ち易い入力方式なんですね。それは興味津々です。早く、説明して下さいよ。
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校長: まぁ、そう焦らないで。話には順番がある。「チョイかな入力」の前に、「チョイ入力」の話をさせてくれんか。ブラインドタッチになり易い配列の設計思想は同じじゃからね。
「チョイ入力」ファミリーには、両手チョイ、左手チョイ、右手チョイ、片手チョイがある。
「両手チョイ」は、右手で子音キーを打ち、左手で母音キーを打つローマ字入力のようなものだ。ローマ字入力は、QWERTY配列に間借りをしておるから、子音キーも母音キーも右手で打ったり左手で打ったりする。
QWERTY配列
左 手 |
|
右 手 |
小指 |
薬指 |
中指 |
人差指 |
伸指 |
伸指 |
人差指 |
中指 |
薬指 |
小指 |
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QWERTY配列ローマ字入力
左 手 |
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右 手 |
小指 |
薬指 |
中指 |
人差指 |
伸指 |
伸指 |
人差指 |
中指 |
薬指 |
小指 |
Q |
わ行 |
エ段 |
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た行 |
上段 |
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ぱ行 |
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英文タイプにはDVORAK配列というものがあって、ちょっと工夫をする必要はあるが、これに間借りをするとローマ字入力も子音キーは右手、母音キーは左手で打てるようになる。
DVORAK配列
左 手 |
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右 手 |
小指 |
薬指 |
中指 |
人差指 |
伸指 |
伸指 |
人差指 |
中指 |
薬指 |
小指 |
’ |
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上段 |
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中段 |
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; |
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下段 |
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DVORAK配列ローマ字入力
左 手 |
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右 手 |
小指 |
薬指 |
中指 |
人差指 |
伸指 |
伸指 |
人差指 |
中指 |
薬指 |
小指 |
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, |
. |
ぱ行 |
や行 |
上段 |
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が行 |
か行 |
ら行 |
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ア段 |
オ段 |
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イ段 |
中段 |
だ行 |
は行 |
た行 |
な行 |
さ行 |
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下段 |
ば行 |
ま行 |
わ行 |
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ざ行 |
DVORAK配列はQWERTY配列に対する改良版の一つで、欧米にはそれなりのユーザがいるからWindows 2000では標準で使えるようになっているが、これが英文モードのみで日本語モードでは使えない。残念なことじゃな。
皆さんは、ご自分が使っているキーボードを「QWERTY配列」と呼ぶなんて、ご存んじなかったと思います。ましてや、「DVORAK配列」なんて初耳ですよね。でも、キーボード入力に興味のある方には「クワーティ配列なんてかったるい、やはりドボラック配列だよね」と、人気なんですよ。
とはいえ、現状ではMS-IMEやATOKでは「DVORAK配列」や「DVORAK配列ローマ字入力」を設定することは出来ないんです。
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Q: 子音キーを右手、母音キーを左手にすると、何かメリットがあるのですか?
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校長: それはそうじゃ。考えてもみたまえ。普通のローマ字入力で打つと、画面に出そうとする文字によって、子音キーも母音キーも右手で打ったり左手で打ったりして一定しない。
ところが、どんな文字を打つ場合でも子音キーが右手で母音キーが左手に決まっていたら、楽だぞ。右利きが多いから、右手を先に動かすと気持ちが良いしな。
それに、どうじゃ。私の作った「チョイ入力」の簡単明瞭なこと。「DVORAK配列ローマ字入力」と比較してごらん。打ちづらい人差し指の伸ばし押しと小指を出来るだけ使わないようにしているし、一目で配列が覚えられるし、仮名の出現頻度と動き易い指が大局的に対応しているから高速入力も十分に可能なんじゃ。
両手チョイ入力
左 手 |
|
右 手 |
小指 |
薬指 |
中指 |
人差指 |
伸指 |
伸指 |
人差指 |
中指 |
薬指 |
小指 |
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|
オ段 |
エ段 |
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上段 |
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た行 |
な行 |
は行 |
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半濁 |
ウ段 |
イ段 |
ア段 |
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中段 |
わ行 |
あ行 |
か行 |
さ行 |
濁 |
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下段 |
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ま行 |
や行 |
ら行 |
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出ました、校長ご自慢の「チョイ入力」。
「がざだばぱ行」がないですよね。これは「かさたは行」の文字を入力した直後に「濁音キー」を押したり、「は行」の文字を入力した直後に「半濁音キー」を押します。手書きと同じ感覚になります。
句読点をはじめ、日本語入力に必須な記号も簡単に入力できるように設計してあります。
でも、MS-IMEやATOKではこのままでは設定できないのです。残念ですねぇ。
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Q: 両手で打つ「両手チョイ」は分かりましたが、「左手チョイ」「右手チョイ」、それに「片手チョイ」って、何ですか?
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校長: 「チョイ入力」ファミリーは、それぞれの指が打つ子音キーと母音キーの位置が同じに設計してある。だから、最初に「両手チョイ」でブラインドタッチになれば、「左手チョイ」で日本語入力をしながら右手でマウスを操作することが出来る。
また、「右手チョイ」で日本語入力をしながら左手で煙草を吸うことが出来る。
「左手チョイ」と「右手チョイ」は普通のキーボードの左半分と右半分を使うんじゃが、「片手チョイ」はキーボードの右側にあるテンキーで日本語入力が出来る。テンキーは碁盤の目のように整然とキーが並んでいるので、とても打ち易いな。
校長が最初に使った漢字直接入力は「TUTコード」という、大岩元先生(慶応義塾大学教授)が開発された入力方式です。これが「チョイ入力」と「超絶技巧入力」発想の原点になっているようです。「TUTコード」は、山田尚勇先生(元・東京大学教授)が開発された「Tコード」が発想の原点になっています。
残念ながら、「Tコード」も「TUTコード」もMS-IMEやATOKでは設定できません。
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