長野市で26日に行われる北京五輪聖火リレーのスタート地点となっている善光寺近くにある私立長野清泉女学院高校(西沢善明校長)は16日、リレーが行われる当日を臨時休校にすることを明らかにした。同校は「混乱を避け、生徒の安全を確保したい」としている。厳戒ムード高まる長野では、県警が当日(26日)に2000人規模で警備する方針を固め、機動隊動員の可能性もささやかれている。一方、聖火は16日、パキスタンのイスラマバードを通過。直前にルートを変更、施設内で招待者限定で行われる異例の開催となった。
聖火リレー問題がブレザー姿の女子高生にまで飛び火した。西沢校長(60)によると、同校では26日に午前の4時間、通常授業を予定していたが、休校を決定したという。
同校から500メートル西にある善光寺から聖火リレーが出発する午前8時半は、学校にとってちょうど登校時間。同校では、全校生徒646人のうち約300人がバス通学のため、交通規制による影響が大きい恐れがあるという。
そういった交通の便の問題よりも、西沢校長が恐れるのは、各国で行われた聖火リレーの様子だ。6日のロンドンや7日のパリなど、チベット問題に関して中国に抗議するデモと、妨害者を制圧する「聖火防衛隊」の姿。インターネットで「日本でも(中国に)抗議を!!」との書き込みを見た西沢校長は「万が一、生徒が巻き込まれてけがをしたら危ない」と判断した。
長野では、県警が近隣の県などに応援を要請し、当初の倍増となる2000人規模で警備する方針。18・5キロのコース沿いに、一定間隔で警官を配置する。トーチの火を管理するために、中国側が派遣する数人のランナーとともに、複数の警察官が聖火ランナーの両脇に並んで走る予定。県警の警備対策委員長の石井隆之本部長が、伴走車で陣頭指揮する方向だ。
「聖火防衛隊」ついては、すでに泉信也国家公安委員長は「(警備は)われわれの役目」と来日を歓迎しない意向を表明している。長野市実行委では「中国側から、火を付けたり消したりする『フレームアテンダント』が2人、聖火のそばを走ると聞いている」としているが、実際に来るかどうかは、正式に伝えられていないという。
本番が目前に迫りながら、詳細に不明な点が多く、実行委は不安を隠さない。県警との打ち合わせでは「機動隊を出動させるか」という話も出たという。
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