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橋下知事、水都イベント構想に反対 大阪市長ら困惑

2008年04月17日01時03分

 水の都・大阪をアピールしようと大阪府や大阪市、関西経済界が進めている「水都大阪2009」構想について、大阪府の橋下徹知事は16日の実行委員会で「効果が見えないところに支出はできない」として事業計画案に反対を表明した。イベント自体は否定せず、府として新たな計画案を1カ月半後に提出するとしているが、突然の異論に関係者からは「完全に空中分解しかねない」(平松邦夫・大阪市長)と困惑が広がっている。

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橋下徹・大阪府知事(右)が記者会見で反対理由を説明する間、険しい表情をみせる平松邦夫・大阪市長(左)。中央は下妻博・関西経済連合会長=大阪市都島区の市公館

 水都大阪2009は7年ほど前に構想が持ち上がり、07年に府、市、経済界などによる実行委員会が発足。6回目の協議となるこの日、事業計画案や収支予算案などが承認される予定だった。

 実行委員会後の記者会見で、橋下知事は「水都のイベント自体に反対しているわけではない」としたうえで、「イベント後、水の回廊がどう変わるのか見えない。イベントにお金をかける余裕があるなら、橋や護岸壁をライトアップするなど人を引きつける景観を作り出すことが先決」と反対理由を説明した。

 こうした発言に実行委員会長の平松市長は「議論はすでになされた上での案という気持ちだったので、何とか認めていただけないかと思った。市民から参加しようという動きもあると聞いているので驚いた」と戸惑いを見せた。

 一方、副会長の下妻博・関西経済連合会長は当初、「物言えば唇寒し」とコメントを避けた。だが、その後、「民の立場としては、残念ながら4年間、橋下知事と平松市長をたてないと仕方がない」と発言。さらに「僕も(橋下知事の年齢の)38歳だったら、けんかしていたかもしれない。すでに老成の域でそれほどエモーショナルな判断はしない」と語った。

 これに対し、橋下知事は「本日に至ってこういう発言をし、関係者に迷惑をかけたが、必ず全国に発信できる街なので、府の案を一度審議いただきたい」と述べた。

 府や市の関係者によると、橋下知事が構想に反対することは15日午後に実行委事務局や平松市長に伝わった。平松市長は直接、電話で説得を試みたものの、橋下知事の意向は変わらなかったという。

 水都大阪2009のプロデューサーで府の特別顧問も務める橋爪紳也・府立大学特別教授は「我々の案は水都の魅力を市民と共に再発見していくソフト事業で、景観を前提として考えていなかった」としつつ、「府のアドバイザーとしては、しっかり景観を描く仕事を進めていく」と複雑な表情を見せた。

     ◇

 〈水都大阪2009〉 「水の都・大阪」の再生を目指し、来年8月下旬から10月中旬までの約50日間、大阪市の八軒家浜船着き場(中央区)や中之島公園(北区)周辺で、アートを活用した市民参加型の各種イベントが開催される予定。事業計画案には美術作品の展示や市内各所のライトアップ、ガイド付きクルーズなどが盛り込まれている。総事業費は9億円で、府、市、経済界の3者が08、09年度で計3億円ずつを支出する計画。今年度は府と市が1億3千万円ずつ支出する予定だったが、府改革プロジェクトチームの歳出削減案では2600万円を削減するとしている。

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