「県立柏原(かいばら)病院の小児科を守る会」のスローガンは三つ。(1)コンビニ受診を控えよう(2)かかりつけ医を持とう(3)お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう--。
「でも、どのタイミングで病院に行けばいいんだろう」との疑問も生まれた。早速、母親向けの冊子を手作りすることにした。
子育て雑誌などの参考資料を集め、柏原病院の医師のアドバイスを受けながら、熱が出た▽せきが出る▽吐いた▽下痢--などの症状別にYES・NOのチャートをたどると、様子を見る▽かかりつけ医を受診する▽大至急受診する--といった回答にたどりつく。A4判カラー12ページの「病院に行く、その前に……」は2月に完成。6000部のうち5000部を兵庫県丹波市が買い取り、保育園や幼稚園、乳幼児のいる家庭に配布した。
春。朗報が伝わった。ネットで活動を知った岡山県の小児科医が「ここで働きたい」と手を挙げた。神戸大学からの常勤医も1人増員が決まった。小児科医は4人に回復した。ぜんそくの次男を抱え、当初からのメンバーの杉浦保子(29)は診察室前で曜日別の勤務表を見あげた。「真っ白だった勤務表に医師の名が埋まっていくのがうれしくて」
3月1日。代表の丹生裕子(たんじょうゆうこ)(37)は千葉県東金(とうがね)市の公民館の壇上にいた。地域医療再生を考える市民シンポジウムに招かれたのだ。「私たちは活動を通じて、医療とは『施し』を受けるものではなく、医師と患者が互いに思いやることだと分かりました」。会場の約200人から大きな拍手が起こった。(敬称略)=この項、おわり【村元展也】(次は、代理出産で双子を授かったタレントの向井亜紀さんの思いを描きます)
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毎日新聞 2008年4月17日 大阪朝刊
4月17日 | 小児科を守れ/7止 結実 |
4月16日 | 小児科を守れ/6 つながる思い |
4月15日 | 小児科を守れ/5 できることから |
4月13日 | 小児科を守れ/4 自分たちで |
4月11日 | 小児科を守れ/3 コンビニ受診 |