第3期の市民記者編集委員として、初めて書く記事は、「たねを育てようプロジェクト」についてです。よろしくお付き合いください。
「たねを育てようプロジェクト」(以下、たねプロ)は、林美幸記者の提言に始まって、より練りこんだ案を高橋篤哉記者が2本の記事で公表しました。高橋記者の記事にはコメント欄で市民記者、読者が有意義な意見やアイデアを盛んに出していました(もちろん賛否ありました)。 高橋記者に、続報がなかった理由をメールで問い合わせたところ、たね記事をキーワード検索に引っかからせたり、たね記事へのアクセス数(PV)を記者自身がマイページで確認できたり、といったシステム的な要望への編集部の回答を待つ間に、編集委員の任期が切れたとのことでした。 今回は、システム改変を必要とせず、また、編集部の作業負荷の膨張にもならないので、編集部からもポジティブな意見をもらっています。ぜひ実現できたらいいなと思います。 ◇ 編集委員を受けるにあたり、私はこの「たねプロ」はぜひ成就させたいと思いました。 市民メディアを謳うオーマイニュースにとって、そして記事を書いている市民記者にとって、はたまたこれから記事を書こうと思っていらっしゃる多くの方々にとって、とても有効なプロジェクトだと感じたからです。 「たねプロは、もう立ち消えたのでは?」などと一部でささやかれているようですが、なんの、「市民記者編集委員」記者クラブなどで、議論が継続しています。 そこで、現在まとまりつつある案の流れをこの記事でご説明し、(コメント欄などで)市民記者からの改善案があればそれを反映したうえで、4月21日(月曜日)からスタートしたいと考えています。 【ステップ1】たね記事を募集、編集委員がピックアップ たね記事の中には、なぜこれが本掲載ではないのか、素人目にはよく理解しがたいものが混在します。また、記事を書かれた記者さんにも「たねになった理由が知りたい」という方がいらっしゃるでしょう。そういったものを募集し、編集委員が興味をもったもの、ぜひ精査すべきと感じたものをピックアップします。 【ステップ2】たねと判断した編集部員に、判断理由を聞く 編集部の小宮山さんが、担当編集者を取材します。編集部員の署名付きでいただけるとなおいいと思っています。なるべく担当者の記憶が薄れていないことが望ましいので、なるべく日付の新しいたねが欲しい、とのことです。 【ステップ3】理由を記者に伝達。記者は書き直すか、たねのままにするか判断する 書き直しの際、記者の要望や編集委員の強い希望によっては、編集委員がヘルプすることもあるかと思います。書き直し後、必ず本掲載になるとは限りませんが、納得のいくプロセスになるでしょう。 【ステップ4】以上の作業のプロセスを編集委員が報告 編集委員がピックアップした理由、編集部員がたねと判断した理由、そのたね行きの理由を編集委員が第三者の目線でどう見たかを、感想を含めて紙面(市民記者編集委員コーナー)で広くご報告します。 ちなみに【ステップ1~3】までの流れは、全て「市民記者⇔編集部ホットライン」記者クラブ上で実施したいと思っています。 このことにより、より多くの市民記者さんから、有意義なアドバイス・ご意見をいただくこともできるのではと期待しています。ひと先ずこのような形でスタートし、開始後、当然出てくるであろう不都合や不足点については、話し合って、随時改良していけばいいと思います。 ◇ 順序が前後しますが、改めて、このプロジェクトの利点を考えてみます。以下は、高橋記者が記事に書かれた利点です。 ・新規登録記者のモチベーションの持続と、スキルアップ ・投稿原稿の質向上による、編集工数の軽減 ・編集部と市民記者同士のサイト向上の問題意識の共有化 私が付け加えるとすると、まだ黎明期の市民メディアにおける、市民記者の在り方を探るきっかけになるのではないかということです。 「たねプロ」によって、掲載基準ともいえる「たね/記事間のボーダー」を数多く体感することで、素人の私たち市民記者が、多くのパブリックに読んでもらう記事を書く上で押さえるべき点として、参考にしていけると思います。 初めて投稿するの時など、「ええと、これでいいのかしら・・・・・・。エイッ」と、思い切って投稿ボタンを押すような感じでしょう。 どういうことを踏まえ、どういうところを踏んではいけないのか、はたまた、どこまで遊べるのか・・・・・・。箇条書きのスタイルシートを読むだけでは理解しきれない微妙な部分を、たねプロはフォローしてくれると思います。 つまり、記事の書き方だけではなく、記事を書く上での心構えのようなものが、少しでもわかるのではと期待しているのです。また、当該記者さんがそのたね理由を聞いて書きなおしされることがあれば、もうその点においてはどの記者さんよりも確実に理解されることになるでしょう。さらに波及していくと、オーマイニュースにおける掲載基準を透明化していくことで、編集員個々による基準の誤差が少なくなるのではないかということです。 この件に関しては、平野編集長とお話しする機会を得て、編集部内の編集ポリシーの標準化・透明化にも有効だという好意的な反応をいただきました。 また、本来編集部には存在しないはずの思想の傾きや黒幕の存在(?!)に対する潔白を証明する場にもなると思います。箇条書きで説明したり、白黒の線引きをしたりするのがむずかしそうな編集作業ですが、我々ずぶの素人を相手にしてくださるからには、やはり多少突っ込んだご教示の継続をお願いしたいと思っています。 そして、我々も常に、“プロ”とは違う市民記者の持ち味とは何か、なんていうことを考えていければ面白いと思います。私たち市民記者には、果てしない可能性が眠っているかもしれないわけですから・・・・・・。 ◇ この案は、高橋記者発案の「たねのブラッシュアップ」とは若干路線が変わりますが、スタートとして、シンプルで手数の少ないものがいいと考えました。このプロジェクトは継続することに意義があります。ケーススタディを積むには回数を重ねることが必要ですので、単純明快な方法で始めたいと思いました。 たね記事を編集委員が直接書きなおす案も効果があるかもしれませんが、何より、編集委員への負担が大きいです。また、手を加える人の個性によって、記者の個性をつぶしてしまうリスクもあります。 そこで、たねの原因・理由をしっかりとお伺いし、それをフィードバックしていく方法にしました。しかし、やりとりによっては、ブラッシュアップも可能になるような遊び幅を作ってあります。なぜなら、第三者の介在は思わぬ相乗効果を生むことがあるからです。つまり、簡単な骨子を元にすれば、担当者によって、さまざまな色やパターンができるのではないでしょうか。さまざまな可能性を秘めておくことはプロジェクトとしての魅力になるでしょう。 最後に忘れてならないのは、たね記事を提供してくださる記者への配慮です。基本的にたねプロに、あるたね記事が公開された時点で、当該記事の過不足点がさらされてしまうことになります。そこまで理解し、承知する記者から、たね記事をお借りする形ではじめるということになるでしょうか。そうしていくことで具体的にどこがまずいのか、案ずるより産むがやすしなのか、そういったことが見えてくると思います。 結果として、記者がたね記事を提供してよかったと思えるようなプロジェクトに、ぜひみんなでしていきましょう。 (市民記者編集委員 2008年4月-2008年6月)
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