著作権講座
Q&A1枚目



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前説
当講座では皆さんから沢山のご質問が寄せられますが、割と講座に書いてあることが多かったりするのです。
そこで、過去に寄せられた質問の中から代表的なものを取り上げ、まとめてみました。

・このQ&Aの回答では不十分、という方は改めてご質問をお寄せいただいてかまいません。
ただし、「この質問は誰からよせられたのですか?」という類の質問はお答えできません。
・一部の質問は、過去の掲示板から拝借しました。書き込みされた方で、自分の質問は再編集、再掲載して欲しくなかった、という方はご遠慮なくお申し出下さい。

・なお、特記のない限り、回答の対象となるサイトは
「個人で運営している非営利目的のサイト」
「著作物、著作権者、並びに第三者を誹謗中傷しているものではないサイト」
ということにします。


ミッキーマウスのフリー素材
読者の質問

私のサイトにミッキーマウスを使用したところ、ある方から
「あなたのサイトのミッキーマウスの画像は著作権にひっかかるのではないか」という指摘を受けました。
私は、ミッキーマウスの画像を無料で配布している素材屋さんから画像をダウンロードして使っています。
そのサイトの管理人によると「イラストはすべて管理人の手書きによるものなので、著作権は管理人にあります。商売でなければ自由に使ってください」という説明でしたが・・・・


しゅんしゅんの回答
まず、問題の素材屋サイトが実際にディズニー社から許諾をもらっているか、を判断しなければなりません。
もし、実際に許諾をもらっているのであれば、サイトの目に付くところに、ディズニー社から許諾をもらった旨が書いてあるはずですので探してみてください。

ただ、私の知る限りではディズニー社は個人のサイトに対しては許諾を出していません。ましてや、素材屋サイトに自由に頒布させるなどと言うことはまず考えられません。

もし、無断でミッキーマウスを頒布しているとなると、そのサイトは著作権法違反のサイトということになり、管理人さんの説明は誤りということです。
素材屋サイトは一般のサイトがキャラクターを使うより罪は重くなります。
「頒布権の侵害」になり、頒布権の侵害だと警告が発せられた話も聞いたことがあります。
となると、素材屋サイトからダウンロードした画像もご自分のサイトで使えません。

(この回答に当たって、特にどこからダウンロードしたのかは尋ねませんでした。もし、ディズニー社公認の素材屋サイトがありましたら、管理人までお知らせいただければ幸いです。
また、この質問回答時は「ミッキーマウスは著作権保護期間が残存している著作物」という解釈でした)





本の売買と著作権
読者の質問

はじめまして、最近とても悩んでいるのですが、
商業誌の本を、オークションに出品して中古本を処分しているんですが
その為に、画像を取って、タイトルやあらすじを記載して出品することはいけないことなのでしょうか?
無断転記とかで罪になってしまうのでしょうか?
もしこの本が絶版本で金額が定価以上になってしまう場合はまたかわってくるのでしょうか。
そして、この本が、一般に普及している商業誌ではなく、作家の方がプロになる前に個人で作成した本についてはまた違うのでしょうか?
これについて、例えば「オークション禁」「無断転記禁」と書いてあったりする場合とではどう違うのでしょうか。



しゅんしゅんの回答
一般的に、本の表紙や内容は著作物であり、新進作家の自費出版であろうが、稀少本であろうが、著作物という立場では同じです。(著作権切れのものはべつとして)
ですが、その本を販売する目的であれば著作物は露出公開されていても差し支えありません。本の表紙とか、あらすじはその本の販売に必要なもので、もし、それまで禁止すると本屋の本はすべてカバーをかぶせた状態で販売しなければならないからです。
ただし、それにかこつけて本の結末を書き込むなど、不必要に著作物を露出してはいけません。
本の場合、古書としての売買は禁止されていないので、「オークション禁」はあくまでも著者からのお願いととらえるべきてしょう。「無断転載禁」は、サイトで内容を紹介するなど著作権法上の権利に基づくもので、書いてあってもなくても同じ事です。売買のさいの商品の紹介には当てはまりません。

また、同じ紹介目的でも、ゲームソフトを批評するサイトで、ゲームソフトのパッケージやクリア画面を出すことは許されません。そのために著作物を使用する必然性はないと考えられるからです。





DVDには著作権保護用のリージョンコード
読者の質問

DVDには著作権保護用のリージョンコードがありますが、
このリージョンコードを外したプレイヤーが巷で発売されています。
このようなプレイヤーを購入して、他のリージョンコードのDVDを見るのは、
著作権侵害になるのでしょうか?
また、そもそもこのプレイヤーを製造すること自体はどうなのでしょうか?


しゅんしゅんの回答

私の調べた限りでは、DVDのリージョンコードを解除すると違法、という法律は見あたりませんでした。
と、いうことは
>>このようなプレイヤーを購入して、他のリージョンコードのDVDを見る
ことは違法ではありませんし、製造しても違法ではありません。

ただし、メーカーや配給元が損害を被った場合、民事手続きとして
それら改造プレイヤーを差し押さえたり、損害賠償を請求することは
できるかもしれません。

個人でそのようなDVDプレイヤーを入手し、リージョンコード1のDVDを
再生するのでしたら著作権法では引っかかりません。
それを公衆に有料で見せたり、コピーしたものを他人に譲り渡すと違法になるわけですが、これはコピーDVDや改造プレイヤーに限らず、
(合法的に入手したDVDやプレイヤーも含む)すべての映像の著作物に当てはまることです。









航空機の機体に写り込んだ著作物
読者の質問

最近は機体をキャラクタの絵などで飾った旅客機が多くあります。
一般の立ち入りが可能な空港の展望デッキなどからこうした機体の写真を
撮影しているのですが、そのような写真を個人で運営するホームページに
掲載した場合、著作権上どのような問題があると考えられるでしょうか。

建前上は「おもしろい航空機の写真」あるいは「空港の風景写真」ですので
キャラクタそのものを主たる目的として撮影したわけではありませんが、
機体を大きく撮影すれば描かれているキャラクタも堂々と写ってしまいますし
風景の中にたまたま入り込んだだけだという説明には無理があると思います。
そもそも普通の塗装がなされた機体の写真に特別な価値がありませんから、
キャラクタの存在が撮影のきっかけになったことも事実です。
機体は建造物でもないし、主従の関係も明確でないので判断しがたい事例かと
思いますが、ご意見などお聞かせいただければ幸いです


しゅんしゅんの回答

この場合、写真の目的が「飛行機に描かれているミッキーマウス」ではなくて、「ミッキーマウスが描かれている飛行機」であれば問題ありません。
通常、写真の説明やホームページ全体の流れを見て前者か後者かの判断がなされますので、例えば私のサイトのトップページなんかに貼り付けると、多分前者とみなされるでしょうね。←コンテンツがディズニー(ランド)なので。

子供がミニーマウスの服を着た写真をホームページに掲載可能なのは著作権協会に確認済みですが、その写真に「ミニーマウスの服を着ているうちの娘」と説明を付けたからと言ってミニーマウスの紹介にはなりません。また、「ミニーマウスの服を着ている写真を選んで掲載した」とわざわざ説明を付けても、子供がメインの写真と分かればミニーマウスを掲載したとは言えないでしょう。(営利目的の場合は条件が異なります) ただし、同じ写真を「これがディズニーキャラクターのミニーマウスです。この女の子が着ている服に付いているキャラクターです。」と説明を付けると、子供の紹介ではなく、ミニーマウスの紹介になってしまうので、アウトです。

ちなみに、工業製品である航空機の機体そのものや空港の建物、景色には著作権はありませんので、この点では問題ありません。





アトラクションのストーリー
読者の質問

サイトの中に、パークのアトラクション紹介のページを作ろうと思っています。
その際、各アトラクションのストーリーも載せたいと思っているんです。
(例えば、『スプラッシュ・マウンテンは昔チカピンヒルと呼ばれていて・・・云々』など。)
この場合、自分で勝手にストーリーを作って載せるわけにはいかないので(パロディではないので)
出版社から刊行された数種類のガイドブックを参考にしました。
この文章をネットで公開することは、著作権上問題はあるのでしょうか。
どのガイドブックも当然ほとんど同じような内容を載せているので、
できることなら自分でまとめ直して、自分の文章でストーリーを紹介したいのですが・・・。


しゅんしゅんの回答
文章の場合は、画像と違って比較的規制は緩やかです。
いわゆる「盗作」というのは、他人の文章をあたかも自分の文章のごとく発表することで、
文章の場合は「この物語の出典」「参考文献」が記載されているなど、完全に自分が創作したのではないことが明記されていれば問題ありません。
つまり、「これはTDLのスプラッシュマウンテンのお話で・・」「次の本を参考にしました」という類の字句がページ内のどこかに書いてあれば大丈夫です





魔法使いキャラのお人形

読者の質問

魔法使いキャラのお人形を制作してHPにのせたいんですが。
自分のイメージによる制作です。
魔法使いの黒いマントとほうきくらいなら、オリジナリティではないから
かまわないと聞いたんですが。あ、これに、額に稲妻形の傷がつきます。
著作権とは、違う?実在でない人物に肖像権はない?

手芸の本を見て、おなじように作品を作って、ホームページに
のせたいときは、出所を明記すればよいと聞いたのですが、
それで、よいのでしょうか?
ちなみに、料理のレシピそのものには、著作権はないのですか?
どうぞよろしくお願いします。


しゅんしゅんの回答
映画に登場する魔法使いキャラクターの場合、映像をコピーして発表すると映画会社の著作権、キャラクターそっくりのものを作って発表するとキャラクターの著作権の侵害、ストーリーや台詞を丸写しして発表すると原作者の著作権をそれぞれ侵害することになりますが、ご質問のケースは、単にイメージの借用ということになるので問題ありません。
ただし、販売すると商標権に触れますので、注意して下さい。

手芸作品や料理のレシピのうち、アイデアには著作権はありませんので、「同じものを自分で作ってサイトで発表」「作り方を自分の文章で書き直してサイトで発表」することは問題ありません。
出典を明らかにする必要があるのは、(著作権とは別個のお話になりますが)「盗作の疑いを掛けられないため」という理由です。
第三者がそのサイトを見て、他人のアイデアなのに サイト管理人が考案したアイデアと思わせるような書き方をすると「盗作」ということになってしまいます。
盗作ということになると、民法など別の法律の出番になります。





著作物に酷似した自然現象

読者の質問

たまたまミッキーマウスに見える雲があり、その写真を自分のサイトにアップしました。
その写真のタイトルを「ミッキーマウス?!」としたのですが、ここで、ミッキーマウスと言うキャラクターの名前を使って良いのか?と言うことです。


しゅんしゅんの回答
自然現象に著作権はなく、たまたまおこった自然現象に「ミッキーマウスそっくり」とコメントを付けても大丈夫です。
ただし、自分で著作物を複製すると自然現象と言えなくなりますので、例えばドラえもんの道具(雲の形を自分で変えられる道具、ありますよね) でミッキーマウスの形に雲を作って、その写真を公開すると複製権の侵害になることは考えられます。

(※)この質問回答時は「ミッキーマウスは著作権保護期間が残っている著作物」という解釈でした





有名人の名前
読者の質問

有名人の名前をHPの文章の中で書いて良いのか?と言うことも気になっています。
もちろん、その有名人を中傷している訳ではありません。


しゅんしゅんの回答
有名人の名前にも著作権はありませんので、例えば「ウオルトディズニーさんの功績」というタイトルや記事を書いても問題ありません。(Oさんのおっしゃるとおり、中傷すると人格権の問題になりますが。)





公募作品の著作権

読者の質問

公募作品の著作権についてお聞きしたいのですが、
よく「入選作(応募作)の著作権は主催者に帰属いたします」と書いてありますよね。
その場合、公募した作品は、その後、著作者自身が出版したり、
自分のHPなどで発表してはならないのでしょうか?


しゅんしゅんの回答
結論から言うと、それはできません。
著作権は他人に譲渡(売ったりあげたりすること)ができ、主催者も自分たちが自由に使える作品という条件でその作品を入選させるわけですから。
つまり、著作権と引き換えに賞金や賞状を出すと言うことになります。
「応募作の著作権は・・」というものに応募して選外になった場合も、著作権をあげたということと考えられます。今回は選外になっても、他の目的で使うことも考えられるからです。

そして、法律上「帰属します」というのは著作権全部を譲り渡すことになるので、出版やアップロードは一切できません、と言われてもやむを得ないところです。
ただ、自分のホームページで「○○に入選しました」という記事を書きたいとき、主催者に問い合わせると(非営利目的などの)条件付きでOKされることもあります。
選外作品の場合でも、主催者に問い合わせたりお願いしたりすると「もう使わないから自由にしていいですよ」とか、応募作品を返してもらえることも考えられるので、問い合わせてみるといいでしょう。

ただ、それは主催者の好意であり、実際は向こうに着いた時点で主催者の著作物になりますので、注意が必要です。

あと、著作権は主催者に移動しても、作った人には「著作者人格権」があります。 従って、主催者は応募作品を使って「ダメ作品の例」と勝手に発表するなど、作った人の名誉を傷つけることはできません。





故人の著作権
読者の質問

ホームページを運営されている方がお亡くなりになられたあと、運営者の家族などに直接許可をとってその方の書いたホームページ上の文章(詩・小説・エッセイ)を自分のホームページに転載するというのはいけないのでしょうか。


しゅんしゅんの回答
サイト管理人、著作者が亡くなった場合でも、サイト誕生または著作者の死去から50年間は著作権が亡くなった著作者にあります。
で、著作権は遺産相続の対象になるので、
>運営者の家族などに直接許可をとってその方の書いたホームページ上の文章を
>自分のホームページに転載する
という判断は正しいです。
(※自分で使う、引用などごく限られた範囲で使用できる)





複製と転載

読者の質問

ホームページ上の文章についていくつかお聞きしたいことがあるのですが、
例えば私が書いた文をホームページで公開している場合私に著作権があることになるのですよね。それを他人が無断転載するのは禁止事項だと思うのですが、複写するのはどうなんでしょう。(つまり複写を禁止するということを示せばいいのかということですが)


しゅんしゅんの回答
転載と複製(複写)についてですが、実は「転載」というのは「複製」に含まれるものです。
複製したものを自分のサイトや他人の掲示板に書けばそれが「転載」になります。
そして、ホームページ上に書かれたものは(著作権法の例外を除き)、複製は禁じられていますので、「複製禁止」は念押しみたいなものです。(著作権に詳しくない人のために書いておくようなもの)
したがって、「複製OK」「転載自由」などと書かれていないと、あちこちに広めたい文章も広められないと言うことになってしまいます。





イベント事務局に問い合わせたところ・・・(屋外の美術著作物)
読者の質問

関西で行われる光をモチーフにしたイベント(以下「イベント」)を撮った写真をホームページに掲載出来るか否か、「イベント」主催者に尋ねたことがあります。

事務局では、HPの掲載は不特定多数の人が見ることもあり、また作品がどのような形で写真に載せられるのか、その芸術性がゆがめられる可能性もあるので控えていただいています...との事でした。
しかしながら実際には新聞や雑誌、また個人のHPに至るまで多数の写真が掲載されています。
すべて確認の上、掲載されたとは思えないのですが、自分が撮った写真に付いて、著作権は「イベント」主催者側に果たしてあるものでしょうか。

また著作権は「イベント」主催者側にありますといいながら写真の撮影を許可して入るとすれば、美術館等で写真撮影を禁止しているような作品扱いとは違っているようにも思えます。
「イベント」主催者のHPには肖像権はこちらにありますと言っているのですが...。


しゅんしゅんの回答
結論から言うと、「イベント」の写真をご自分のサイトに掲載することは違法ではありません。 「イベント」は著作物ではありますが、その設置形態から「屋外に常に展示されている美術の著作物」(公開の美術の著作物)にあたります。
公開の美術の著作物は、写真に撮ったりして発表するのは構わないとされています。
(ただ、それを真似して同じようなものをつくること、複製の営利目的の使用は著作権法に引っかかりますし、悪口の材料に使えば名誉毀損や不法行為になります。)

次に、「イベント」主催者側の見解についてですが、まとめるとこんな所でしょうか。
(1)「イベント」展示物は著作物である。
(2)「イベント」展示物の写真を公開するのは控えて欲しい

でも、よくよく考えると「イベントを個人サイトで公開すると著作権に触れるので、公開しないで下さい」とは言っていないはずです。(1)と(2)は事実ではあるが、全く関連のない話なのです。

では、どうして「イベント」事務局は「公開しないで」と言ったかといえば公開を自由に認めると、文字通り「どのように使われるかわからない」からです。
かといって、個別に審査するのでは手間がかかりすぎる、ということでとりあえずは認めないと言うことでしょう。

「イベント」の公式サイトで
「イベントの名称・肖像(写真・映像)は全て著作権者(中略)並びに「イベント」主催者に帰属するものであり、写真や映像などを使った複製物の制作や二次利用等は無断でこれを行うことができません」
という記述を見かけましたが、これは、「イベント」側(著作者や主催者)が撮影した写真の複製を禁止する文章にすぎず、光の作品を自分で撮影して公開することは妨げられないはずです。

(サイトの写真は「イベント」主催者や撮影者の著作物なので、これをダウンロードしたり、パンフレットや本をスキャンして自分のサイトに掲載すると当然「著作権法違反」になります。)

(2)の見解、「イベント」主催者の言うところの「複製禁止」は著作権法に拠るものではないわけですが、所有権とか財産権といった民法上の権利は根拠になっています。
これらの権利を拠り所にしてお願いした場合、掲載=違法行為ということではありません。名誉を傷つけられた、とか、損害を受けたといったケースで初めて損害賠償の対象になったり、刑法の犯罪になったりします。 そういった違法行為をしなければ、「掲載しないで」というのは「イベント」主催者からのお願いをどのように解釈するかは「イベント」の写真を撮影してサイトに掲載する人の良識に任されるといえます。

ただ、今年の「イベント」で「撮影した写真のHP掲載はお断り」と広報されれば、「イベント」の管理区域(※)で撮影してHPに掲載すると、「イベント」主催者の定めたペナルティーに従う必要があります。

(※)管理区域外であれば、名誉を傷つけたり、営利目的でなければ問題ありません。 例えば、このサイトのトップ「ノーマルタイトル」のお城はディズニー社が著作権を持つ建築著作物(公開の美術の著作物と同じ条件になる)ですが、管理区域外から撮影しているので・・・・・


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