blog*色即是空 このページをアンテナに追加 RSSフィード

     現在のアクセス数:428375

2008年04月15日

映画『靖国』問題 出演者の刈谷直治さんが削除希望をしているというのは、有村治子議員による"作り話"だった


有村治子議員(自民)が、映画『靖国』に対し、肖像権の侵害などを理由に助成金の返還を求めている問題です。有村議員は、出演者の刈谷直治さんと直接電話で話をし、削除希望を聞いたと主張しています。


結論から先に言えば、映画『靖国』の出演者で刀匠の刈谷直治さんは、出演を了承していらっしゃいます。そもそも有村議員は刈谷直治さん本人とは話さえしていません。ほとんどが作り話だったのです。


一昨日に発売された「AERA」4/21号から引用します。田村栄治記者による4月10日の取材です。


改めて刈谷さん夫妻を訪れ、話を聞くと、たしかに妻は、


「夫が作る美術刀剣の撮影かと思っていた。(作品を見た感想は夫と)全然違う。私は暴力や血がいやなので、この映画に主人の映像は使わないでほしいと監督さんたちに言ったことがあります。でも主人は、監督と助監督が作品を見せに来たときも、黙って最後まで見ていました。」


と話す。一方、口数の少ない刈谷さんは次のように答えた。


靖国神社に関する映画への出演だと知っていましたか?

「知っていた」

作品を見て問題があると思いましたか。

「思ってないね」

監督に自身のシーンの削除を求めたことは?

「ない」

今後削除を要求しますか。

「いや」


では、有村氏が「刈谷さんに確認を取った」とする「削除の要望」は、どこから出てきたのだろう。

夫妻に確認すると、委員会の前に、妻は有村氏と話をしたが、刈谷さんは話をしていないという。有村氏は本人とも話したと主張している。

(AERA 4/21号『「靖国」李纓監督120分インタビュー「出演は了承していた」』p.25)


出演に難色を示されていたのは奥さまの方で、刈谷直治さんご本人ではないということです。奥さまにも了承していただくのがベストだと思いますが、出演者の刈谷直治さんご本人が削除の希望をしていない限り、肖像権の侵害には当たりません。


3月27日の参議院内閣委員会での有村治子議員と文化庁の応答(2分15秒ぐらいから)


D

国会で平気でウソをつく有村治子議員(自民)


映画の中でもっとも多く時間を割かれて登場される刈谷直治さんは靖国刀を作っていた現役最後の刀匠、刀の匠でございまして現在90歳のご高齢です。美術品として純粋に靖国刀匠、匠のドキュメンタリーを撮りたいという若い中国人の青年の申し出に刀を作る自らの映像を撮影することは承諾され、これが私の現役最後の仕事になるなと覚悟を決めて協力をされました。映画パンフレットによるとキャストという風に刈谷さん書かれておりますが、この刈谷さんは実際には本映画で刈谷さんはキャストになることをまったく知らされておらず、このことを承諾されていないばかりか、完成品の映画を観る機会すら与えられていません。一時、進行過程の映像をご覧になって当時政治問題化していた小泉総理の参拝映像や終戦記念日の靖国境内の政治的喧騒の映像と混ぜ合わせて刈谷さんの刀を作る映像が交錯されて使われていることに違和感を覚え、ここからです、刈谷夫妻は不安と異論を唱えられました。すると刈谷さんのご自宅に赴いた李纓監督と助監督の中村さんは「この映画には日本の助成金が出ているし助成金を受けていると言うそののマークもついてるから大丈夫ですよ。」と夫婦をなだめていらっしゃいます。助成金が公的お墨付きとして使われ、刈谷さん本人がキャストに仕立て上げられる、本人は嫌がっているんです、キャストに仕立て上げられることを承諾するよう、「助成金のマークが入ってるから大丈夫ですよ。日本政府も助成してるんですよ」という説得の材料になってしまっています。このような経過から最終作品は刈谷氏の善意を踏みにじっており、刈谷さん夫妻はこの映画において、刈谷さんの肖像が入ることをまったく承服しておらず、作品から刈谷さんの映像を「いっさいはずしてほしい」と、希望をされています。これは私自身が一昨日、平成20年3月25日、刈谷さん本人とご確認を取りました。


有村議員は「刈谷さんご夫妻」(=刈谷直治さんご本人とも)と話をしたと言っていますが、「AERA」の取材によれば奥様としか話をしていないそうです。また「刈谷さん本人」とは、有村議員が初めの方で言ってる「映画の中で」「登場される刈谷直治さん」とのことを指すと誰もが思うはずですが、まさか「実は奥さまの話だった」「奥さまの名前も"刈谷さん"じゃないですか」と後で言い訳するつもりでしょうか。


この国会答弁の後、有村議員は李纓監督から「出演を納得してくれていた夫妻を変心させた」「どうして政治家がそこまで介入するのか」と批判されています。

西日本新聞 自民議員が出演者聴取 “靖国”監督が反発

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/15320


そもそも、国会議員が出演者の自宅に電話すること自体が不適切です。そんなことをすれば出演者や家族を精神的に追い詰めることに繋がりかねません。有村議員の聴取により、もともと気持ちが揺らいでいた奥さまを変心させるのはたやすいことだったのではないでしょうか。おそらく有村議員は、どこからか刈谷さんの奥さまがご主人の出演に不安を感じていること、しかし刈谷直治さんご本人は出演を了承していることなど情報を入手して、奥さまとだけコンタクトを取ったのかも知れません。


こういった批判を受けた有村議員は、「チャンネル桜」の番組の中で、再び刈谷さんの奥さまに電話をかけて言質を取っています(4分25秒ぐらいから)。


D

なぜか刈谷さんの奥さまとしか話をしない有村治子議員(自民)


本当に刈谷直治さんが削除を希望しているというのならば、2度目の電話で有村議員が本人を電話口に呼ぼうとしないのは不自然でしょう。これは1度目の電話でも、奥さまとしか話をしていないという証拠になります。


■2度目のウソをつく有村治子議員


一部報道をうけて、真実をお伝えしたく私・有村の見解をご報告致しますhttp://www.arimura.tv/news/20080409.html(有村議員のホームページ)


今日4月9日の報道をうけて、今晩(4月9日21時に)私が直接、刈谷さんご夫妻に2度目となるお電話をして、「李纓監督が、有村の電話によって、刈谷さんの気持ちを変心させたと主張されているので、それが真実かどうかお話ください」と事情を報告し、刈谷さんご夫妻からは、この李纓監督のご主張が事実に反する旨の明確な回答を得ています。加えて、今晩の電話での会話を公開することにも了承をいただいており、今後の展開によっては、この証拠となる音声・映像ビデオを公開する用意もあります。


有村議員は、実際には2度目電話でも奥さまとしか話をしていないのにもかかわらず、「真実」と称して『「刈谷さんご夫妻」(=刈谷直治さんご本人とも)と話をした』というウソを、自分のホームページに載せています。


もしも有村議員が本当に刈谷直治さんと話をしたというのならば、その会話の具体的な内容を公開するべきでしょう。


☆有村議員のホームページ上の発言など参考にしたブログ

カナダで日本語「有村治子の映画『靖国YASUKUNI』出演者への圧力を許していいのか」

http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-865.html