イラクへの自衛隊派遣は違憲だとして、全国の市民が国を相手取り、派遣の差し止めと違憲確認、原告1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、米兵の輸送などを行っている航空自衛隊の活動について「武力行使を禁じた憲法9条1項に反する」と述べ、違憲と認定した。
原告が求めた損害賠償の支払いなどは退けた。全国の同種の訴訟で、航空自衛隊の活動を違憲と認定したのは同高裁が初めて。
原告団は04~06年にかけ、7次にわたって3268人が集団提訴した。政府が04年、イラク復興特別措置法に基づきイラクに自衛隊を派遣したのは憲法9条に違反し、憲法が保障した「平和的生存権」を侵害したと主張してきた。国は「平和的生存権は抽象的な概念で、憲法に基づく具体的な権利ではない」と反論。差し止めと違憲確認の請求を却下し、損害賠償請求を棄却した1審判決に対し、原告のうち1122人が控訴していた。
弁護団によると、イラク派遣では、全国の11地裁で12の集団訴訟が起こされたが、これまでに出た判決はいずれも原告側の訴えを退けている。【秋山信一】
毎日新聞 2008年4月17日 14時44分(最終更新 4月17日 15時13分)