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JR山手線全駅で転落防止柵 コスト増も「英断」 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:列車事故
JR東日本は山手線の29駅すべてのホームで転落防止のための可動式ホーム柵(さく)を新設する。数年後をめどに設置を始め、平成32年までに整備を終える計画。山手線での転落・接触事故が後を絶たないために設置に踏み切った。首都圏の駅では、ホーム柵やホームと線路を完全に仕切るホームドアがここ数年で普及し始めており、転落者の減少という効果は顕著に出ている。
(村上智博)
JR東日本では東北、長野新幹線の9駅ですでにホーム柵があるが、在来線で設置されるのは山手線が初めて。
山手線では平成13年1月、新大久保駅のホームで線路に落ちた男性を救助しようとした韓国人留学生=当時(26)=らが列車にはねられ死亡した。以後、ホーム柵設置の機運が高まっていた。
JR東日本管内で転落や列車との接触事故(自殺は除く)は17年度が34件、18年度が36件で、最近5年間で161件にのぼる。山手線では管内の事故全体の20%を占め、大半が酒に酔い、誤って足を踏み外した男性だった。
そこで、同社は32年までの経営ビジョンに山手線でホーム柵を設置することを盛り込んだ。山手線を選んだ理由について、同社は「ホームに入る列車の型式や車両の数がそろっており、ドアの数や停車位置も同じで設置しやすい条件がそろっていた」と話す。
国土交通省によると、全国でホーム柵やホームドアが設置されているのは402駅で、全体の約4%(3月末現在)。同省鉄道局は「狭いホームの階段周辺などに柵やドアができれば、かえって混雑し、ダイヤが乱れる恐れもある。コスト負担も大きく、完全普及にはほど遠い」と分析しながらも、「JRの『英断』をきっかけに、普及が進めばいい」と期待している。