オイルマネーの新潮流2008年04月17日 景気が減速している先進国とは対照的に、産油国の元気さが際立っている。1970年代のオイルショックでは産油国の資金運用姿勢は受動的で、国際金融市場への還流問題が焦点であったが、今回の石油高では産油国、特にUAE、サウジアラビアの積極的な資金活用の姿勢が目立つ。これら2カ国は、50年後の石油資源枯渇を視野に入れ、真剣に国の将来を考え始めた。 ドバイ首長国は石油埋蔵量が少ないので、長い歴史を持つ中継貿易基地としての地位を強固にすべく邁進(まい・しん)している。フリーゾーン内の港湾施設には60基のガントリークレーンが並び、フリーゾーンに隣接して、6本の滑走路を持ち年間1億2千万人の乗客と1200万トンの貨物を扱う予定の新空港建設計画が着々と進んでいる。 アブダビ首長国は、世界一の運用資金規模を持ち、プレゼンスは地味であるが、2006年にアブダビ基礎産業公社を設立して、石油化学工業及び誘導品事業への進出戦略を明確にした。 サウジアラビアは、既に80年代初頭にサウジアラビア基礎産業公社を設立し、単なる産油国から石油化学工業を併せ持つ産業国家への移行を開始した。05年以降の石油価格高騰に伴って拍車がかかり、石油化学コンプレックスやインフラの建設計画が目白押しである。 これら中東産油国の動きで特徴的なのは、国民の雇用確保と技術レベルアップのために自国に生産基地をつくるという基本方針であること、石油資源だけではなく石油に比べはるかにコストの安い天然ガスを誘導品事業の原料として使うことが計画されていることで、非産油国の石油化学工業及び誘導品事業のコスト競争力低下につながる。(皓) PR情報この記事の関連情報 |
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