後期高齢者医療制度に伴って導入された「後期高齢者診療料」について、県西部医師会(魚谷純会長、496人)が、「患者にも医療機関にもメリットはない」などと定額払いの新たな料金制度を選ばないように呼び掛ける文書を会員に送付していたことが15日分かった。
医療費は、かかった分を支払う出来高払いが原則。新制度では、糖尿病など慢性疾患の高齢者がかかりつけ医を決め、月に1度、後期高齢者診療料(月額6000円、自己負担は原則600円)を支払うとそれ以上は検査費や治療費を払わなくて済むようになる。出来高払いか定額払いかは、患者の同意を得て医療機関が選択できる。
同医師会は「診療料の導入は日本の医療を根本から危うくする。十分な議論がなされておらず同意できない」と批判。患者がかかりつけ医以外の医療機関に行きづらくなる▽診療料を受領しながら必要な治療をしない医師が出る可能性がある▽月額分を超えた診療が必要な場合、医療機関がためらう可能性がある--などの問題点を指摘している。
魚谷会長は「患者が必要に応じて自由に医療機関を選び、症状に合った診療を受けるのは当然のことで、現状の制度で可能だ」と話している。【武内彩】
毎日新聞 2008年4月16日 地方版