療養病床削減問題の解決を目指す「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎自民党衆院議員)は4月16日、自民党本部で会合を開き、入院患者の家族らからヒアリングを行った。家族らは「どうか療養病床をなくさないで、最後まで面倒を見てほしい」などと訴えた。
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京都市内の介護療養型医療施設「嵯峨野病院」に入院する山崎佳子さん(89歳)の夫、英治さん(67歳)は「医療と介護、看護をしてくれるこの病院がなければ、妻はとっくの昔にさんずの川を渡っていた」と、療養病床の必要性を訴えた。佳子さんは認知症や糖尿病による壊疽(えそ)から左下腿(かたい)を切断しており、頻繁に体位交換しなければ褥瘡(じょくそう)ができるため、医療区分2の状態だ。スタッフのケアによって以前に比べ状態が良くなり、最近は「ありがとう」と言えるようになった。英治さんは「療養病床がなくなると思うと、ぞっとする。最後まで面倒を見てもらわないと、(家族としては)どうしようもできない」と語った。
佳子さんの主治医の金岡俊治医師は、佳子さんの状態について、「命にかかわるのは嚥下(えんげ)困難の方で、それによる誤嚥性肺炎」だが、褥瘡に対するケアがなくなると「状態が安定している」医療区分1になると指摘した。これを受け、自民党の飯島夕雁衆院議員は「(医療提供が)足りないということを厚生労働省は認識してほしい」と、来場していた厚労省の担当者に呼び掛けた。
■「後期高齢者の二の舞い演ずるな」
また、自民党の木村義雄衆院議員はあいさつで、2012年度末までに療養病床を15万床にまで削減する方針について、「13年4月になれば、多くの高齢者が路頭に迷う。受け皿をつくってからやるべき」と訴えた。4月に始まった後期高齢者医療制度が、保険料徴収の不備などの問題を引き起こしていることにも触れ、「(制度開始が決まった)2年前も後期高齢者医療制度には反対があったが、少数の自民党の幹部に押し切られた。療養病床も少数によってそうされたことを反省し、真摯(しんし)に議論して受け皿をつくり、高齢者の不安がない形に持っていかないと、多くの反発を受けることは目に見えている」として、同制度の二の舞いを演じてはならないと主張した。
同会は、療養病床削減に関連し、医療や介護が必要な人への受け皿を確保することを目的に、国会議員約100人が参加。この日の会合には32人の国会議員が出席した。今通常国会の会期中に、療養病床削減に対する提言をまとめる予定だ。
更新:2008/04/16 21:50 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。