東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

学校裏サイト ネットとどう接するか

2008年4月17日

 数多くの「学校裏サイト」が存在し、書き込みは野放し状態だ。誹謗(ひぼう)や中傷もあり、いじめの温床ともされるが、規制には限界がある。ネット社会との接し方を考え、身に付けなければならない。

 中学高校が公式に設けているホームページ(HP)とは別に、学校生活について生徒らがつくったHPやインターネット上の掲示板など「学校非公式サイト」について文部科学省は初の実態調査を行った。その結果、学校裏サイトは三万八千二百六十件見つかった。

 調査はネット上で検索可能なサイトが対象で、九割近くが巨大掲示板「2ちゃんねる」などの「スレッド(特定の話題ごとの投稿群)」だった。個人型サイトやパスワードを入力しないと閲覧できないサイトもあり、判明した裏サイトの数は氷山の一角だろう。

 群馬、静岡、兵庫の三県では約二千サイトの書き込み内容を調べた。「キモイ」「うざい」など誹謗・中傷の言葉が50%、わいせつな表現が37%、「死ね」など暴力的表現が27%のサイトであった。

 神戸市で昨年、私立高校の男子生徒が自殺したが、生徒は友人らから服を脱がされる様子の動画をネット上に流されていた。

 裏サイトがいじめの舞台装置になっており、匿名性から誹謗・中傷の表現は過激さを増している状況にある。有害広告が張られていることもあり、規制は必要だ。

 手段として有害サイトへの接続を制限するフィルタリングソフトの導入がある。だが、有害サイトは消えては新たに出現するから、常に捕捉していくのが難しい。

 補う作業として教師や保護者が裏サイトを巡視したい。書き込みを読んで一人で悩んでいる生徒がいる。大人がかかわっていくことがいじめ防止につながる。

 書き込んだ側には、見つけて面と向かって指導するよりも、ネット上で呼び掛けた方が効果的な場合があるかもしれない。

 重要なのは、子供が情報化社会で生きる力を伸ばすことだ。はんらんする情報を分析、批判する能力を培い、誹謗や中傷への耐性も身に付けてほしい。

 学校教育でネット社会について学ぶ機会はあるが、パソコン一人一台配置や構内情報通信網の敷設は不十分だ。整備を急ぎたい。

 家庭でのネット対応も欠かせない。ネット接続を全面禁止するのではなく、時間や対象を親子で話し合い、ルールを決めてからネットと向き合うべきだろう。

 

この記事を印刷する