「後期高齢者」というあまりに無神経な名が広まってしまった。知恵の回らぬ役人の愚挙である もとは75歳で高齢者を区分けする老年医学の学術用語とか。知ったかぶりをしたいお粗末な役人がいたに違いない。やたら専門用語や片仮名言葉を並べ立て、聴く人を煙に巻いて偉ぶる学者や役人はいるものである 聖路加国際病院の日野原重明理事長は、「新老人」という言葉を提唱している。その日野原さんに聞いた話だが、人が持つさまざまな遺伝子の働きは、75歳を境に変わるという仮説があるそうである。病気を引き起こす厄介な遺伝子も、新老人の年齢に達するころには、生活環境や心の持ち方次第で、ある程度働きを抑えることができ、長寿につながるという。それを実証しようと、96歳の医師は多くの新老人と語らい、自身も含めて追跡調査に取り組んでいる 「老」には、老化、老朽など嫌なイメージがあるが、長老、老成という尊い言葉もある。それに「新」を冠すると、「老人」が途端に輝きを増す 新制度に無礼な命名しかできぬ役人は、新老人からツメのあかでももらうといい。
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