一枚の写真には多くの歴史、情報、エピソードが埋まっている。
本紙「ちまた」欄の写真投稿「私の思い出アルバム」の連載を始めてほぼ一年。この間にたくさんの投稿をいただき、八十枚余の写真を掲載した。
写真の画像を慎重に精査しながら、事実関係を調べ投稿者のメモ書きと合わせコメントを仕上げていく。
これまでに掲載した中で最も多いのが、SLや「つばめ」「はと」、宇高連絡船、仙台便の飛行機など、陸海空の多彩な乗り物。若いころの星野仙一さんや有森裕子さん、ありし日の木原光知子さんら岡山ゆかりの有名人も登場した。倉敷・豊洲小の唯一の航空写真もあった。
忘れられない一枚がある。昨年十二月十八日付の中学校の運動会の写真。OBで近隣の高校に進んだブラスバンド部員が友情出演したという内容。
ほほ笑ましい風景だが、読者から「演奏中の女の子の中にうちの娘が写っている。実はその数年後に亡くなった。写真をもらえないか」という思いがけない電話があった。これにはしんみりした。
ほのぼとした問い合わせもあった。二月十九日付の奉納相撲の優勝メンバーの写真。「着物姿の行司役は、三十二年前に亡くなった祖父にそっくり」ということで確認したところ間違いなく、「今度の休みにお墓参りに行ってくる」といううれしい返事が来た。
写真はメッセージ性が高い。「長文よりも一枚の写真」といわれるゆえんである。
(読者室・佐藤豊行)