一昨日、福岡市早良区の路上で78歳の女性が刺し殺された事件で、警察は昨夜、22歳の無職の男を強盗殺人などの疑いで逮捕しました。

男は先月、城南区で女性会社員が刺されて重傷を負った事件への関与も認めています。

地域を不安と恐怖に陥れた男のスピード逮捕に、周辺の住民は安堵の表情を見せています。

強盗殺人などの疑いで逮捕されたのは、福岡市中央区の無職･野地卓容疑者です。

野地容疑者は、一昨日午後7時ごろ、福岡市早良区西新で、無職の田中久子さんの胸などを果物ナイフで刺して殺害した疑いが持たれています。

逮捕の決め手になったのは、現場に残されていた盗難自転車でした。

この自転車は今月初めに福岡市内で盗まれたもので、残っていた指紋から野地容疑者が浮上しました。

また、警察が野地容疑者の自宅を捜索したところ、血のついたジャージと果物ナイフが見つかりました。

野地容疑者は調べに対し、「自分がやった、金を取る目的だった」と田中さんを襲って刺したことを認めているということです。

一方で野地容疑者は先月25日に、女性会社員が刃物で刺されて重傷を負った事件についても、「金目当てで犯行に及んだ」と関与したことを認めているということです。

800メートルしか離れていない2つの場所で、相次いで凶悪事件を起こした野路容疑者。

その自宅は、先月の事件の現場からさらに800メートルほど南にありました。

野地容疑者は、このアパートの一室で一人暮らしをしていました。

一方、事件が起きて以来子供たちの登下校を保護者が見守るなど緊張が高まっていた現場周辺の住民からは、安堵の声があがっています。

警察は2つの事件それぞれについて、目撃証言をもとに作った犯人の似顔絵を公開しました。

いずれも細い眉毛に切れ長の目という顔立ちは、非常によく似ているという印象を与えました。

また、身長や年齢などにも共通点が多く、捜査本部には市民から多くの情報が寄せられたということです。

警察は、野地容疑者と襲われた2人の女性との間に面識はなかったとみています。

金目当てで2件の犯行に及んだと話している、野地容疑者。

しかし、被害者の胸などを執拗に刃物で刺したうえ、バッグや財布を物色することなく逃げていることから、警察は容疑者が犯行に至った詳しい動機の解明を急いでいます。