白金掲示板より
[1355] 折伏の証拠 投稿者：ロシアチョコレート 投稿日：2003/06/08(Sun) 10:24:21
姉の書き込みがあります。
この団体は、家族が１人でも入会したら、全員を入会させると称して折伏して来るので止めてほしいだけです。 彼らの折伏の手口を公開するとヤバイようです。
ストーカー達の音声ファイル(ささやき)を蓄積しています。公開しても私は構いません（音声認識ソフトで書き出しても構いませんが）。
光文社のペーパーバックスは、なんだか面白い内容の本が多いんですけど、なんかジャンルが「暴き系」と英語本に偏っているような気もしますね。最近も、『通信崩壊』の藤井耕一郎氏の『ＮＴＴを殺したのは誰だ！』という本が出ました。竹中平蔵やら宮内義彦に踊らされたＩＴ革命・規制改革総合会議の内幕ものを含んでいる内容です。「光の帝国封じ込め」に関する内容も乗っていますね。
（貼り付け開始）
「ＮＴＴを殺したのは誰だ！」（４６−４９ページ）結論を先に書えば、彼らは日本の「IT戦略本部」がアメリカの国家戦略national strategyに“踊らされている”moppet’s dancingという情けない実態をハナから認めたくないのだ。あるいは、意図的に自分の意識からはずしたいのだ。そうしないと、自分の存在があまりにも惨めmiserableだからだろう。だからこそ、実態the truthを暴こうとする本に対して「デタラメ」とか「論評に値せず」と貶めようとしたのだ。
しかし、冒頭に引用したアメリカ政府の文書をよく読めば、IT戦略本部が、はたして独立国家independent stateとして自国の針路our courseを決する「戦略」を練りあげてきた組織なのかどうか、まったくもって疑わしいことが納得されるはずである。そうでなければ、妙なたとえだが、真珠湾攻撃直前の時代の「参謀本部」our headquartersにアメリカの軍事顧問団American military adviserを加えろというような奇怪な“要請”など出てくるわけがあるまい。
小泉首相にそういう疑問をぶつけたち、おそらく「いまの日本はアメリカの同盟国allyですよ。それのどこがおかしいんですか?」なんて開き直るに違いないが、これは誰の目から見てもおかしな動きなのである。ただし残念なことに、いまの日本には、そういうおかしなことをおかしいとはっきり口にできない“空気”が存在している。たとえば、ＮＴＴ出身のある大学教授は、「私のようにNTT出身だと言いにくいこともありましてね……」としみじみ語っていた。おかしいと思うことを外部に公表するmake publicのがためらわれる“空気”は、結果的にアメリカのゴリ押し政策を追認する力となって働いてしまう。
例のアメリカ政府の文書pub1iccommentには、露骨ともいえる“要請”とは逆に、「賞賛する」commendか「後押しする」strongly supportとひんぱんいった「よしよし」とも受け取れる誉め言葉も頻繁に出てくる。ムチだけでなくアメもあるというわけだ。つまるところ、日本政府の「IT戦略本部」は、そもそも誕生した当初から一貫してアメリカのコントロール下under American controlにあった。そうと見なしたほうがすべて筋は通るのだ。「特定の技術を使うな」という脅し
ソ連を仮想敵国hypothetical enemyとする「東西冷戦構造」the structure of the Cold Warが消えてしまった現在、アメリカの国家戦略から見れば、言葉本来の意味で「日本を世界最先端のIT国家にする」筋合いはない。これは、「アメリカの立場position」に身を置いて考えてみれば、誰だってわかることだろう。
情報通信という戦略的に重要な技術分野で、なまじっか日本に力をつけさせるのはアメリカの国益national interestにならない。アメリカが情報分野で今後もいままで通りの覇権hegemonyを握りつづけるためには、日本の技術力を抑え込んでおいたほうがはるかに得策である。
こう考えれば、「世界最先端のIT国家」とは、高い技術をもった国家の意味であるはずがない。それは単なる「インターネットの速い国」という意味にすぎないのだ。たしかにADSLになって、インターネットは速くなった。「e-Japan戦略」の具体的な中身は、NTTにインフラを開放させて、ADSLとIP電話を普及spreadさせるものだったのだから、それは当然の結果である。だが、そのおかげでNTTは徹底的に弱体化させられた。
アメリカのいいなりになったせいで、日本の通信は崩壊への道を歩まされていく。これが、世問に対して大宣伝された「IT大国」への輝かしい歩みなのである。
実際のところ、日本がいくら「e-Japan戦略」を進めても、日本が復活することはあり得ない。なぜなら、IT分野のほとんどの技術で、アメリカががっちり覇権を樹立している以上、日本社会のIT化が幅広い領域でドタバタ進められるのは、日本が独自の技術力を発揮できなくなるだけだからだ。
その先にあるのは、日本の「技術競争力」の決定的な衰弱としか私には思えない。短期的に見れば、たしかにソフトバンクや新電電などの新興勢力が利益を手にすることになるだろう。しかし、「IT戦略」は、いやしくも「戦略」なのだから、短期的な視野でものを見てもほとんど意味はない。すべてを社会のインターネット化に向け、まっしぐらにITへ傾斜declineさせアングルていく政策は、後述するが、どんな角度から点検しても、長い目で見れば「最終的に利益を得るのはアメリカだけ」という予測図pictureしか描けないのである。
その証拠に、冒頭で紹介したアメリカ政府文書には《日本が特定の企業や技術、基準を奨励しないことを米国は要請する》とある。遠回しimplyな言い方ではあるが、これが「グローバル・スタンダードと呼ばれるアメリカ基準の技術を採用しないと許さんぞ!」という脅しthe threatであることは、あらためて言うまでもない。
《特定の企業や技術、基準》を別の言葉で言い直せば、それはおそらく電電ファミリーを含むNTTグループや、日本独自の0Sトロンやiモードということになる。
こうした企業グループや独自技術が無視されていくのだとしたら、日本の「IT戦略本部」は、いったい誰がなんのために作り上げた組織なのか−こういう根本的な疑問がわき上がってくるのは、当然だろう。もっとも、2003年9月に新聞報道されたように、パソコンのＯＳでウィンドウズという「グローバル・スタンダード」を抑えているマイクロソフトが、情報家電用の0S開発では日本陣営であるトロン(TRON=The Real-time Ｏperating system Nuc1eus)のフォーラムに加わった。政府の思惑とは別に、企業はそれぞれ独自の戦略を立てて行動するから、すべてがアメリカ政府の思い通りに進むわけではない。このマイクロソフトの戦略的連携strategic business tie-upは、ウィンドウズを脅かしつっあるもう1つのOS「リナックス」Linuxへの対抗策と解釈すべきである。
では、日本のIT戦略がアメリカの国家戦略に“踊らされている”という主張を感情的に批判された場合、その相手に対して「おまえはアメリカの手先だ」と切り返すべきだろうか？
もちろん、それは賢明な態度ではない。なぜなら、彼らは自分が「アメリカの手先」であるなどとは夢にも思っていないからだ。あえて言えば、結果的にそういう役割ro1eを演じているのであり、つまり彼らは自らある種の“空気”を醸成しながら、単に“踊っている”dancing人びとにすぎないからである。「ＮＴＴを殺したのは誰だ！」（４６−４９ページ）
（貼り付け終わり）という内容です。
副島先生へ ＲＣです。白金掲示板より
[1355] 折伏の証拠 投稿者：ロシアチョコレート 投稿日：2003/06/08(Sun) 10:24:21姉の書き込みがあります。
この団体は、家族が１人でも入会したら、全員を入会させると称して折伏して来るので止めてほしいだけです。 彼らの折伏の手口を公開するとヤバイようです。
ストーカー達の音声ファイル(ささやき)を蓄積しています。公開しても私は構いません（音声認識ソフトで書き出しても構いませんが）。
よろしくお願いします。憲法第９条に関し、マッカーサーが日本の憲法調査会に送った書簡によれば、
「第九条は幣原の発想だった」となっています。
しかし、ケーディスの証言によれば、
「私が第九条の文言を書いた。」
「その際、ホイットニーから手渡された黄色い紙に書かれたドラフトを基礎とした。」
「その黄色い紙に書かれたドラフトは、誰によるものかは知らない。」
「私は、この戦力放棄の発想は天皇によるものと確信している。
なぜなら、天皇の人間宣言詔書に発想の起源があると理解すると、すっきりするからだ。」
となります。さて、
第九条の「芦田均修正条項」といわれる第九条の「前項の目的を達するため」という文言は、
芦田均の述懐によると、
当時、衆議院の憲法改正特別委員会委員長だった芦田均自身が、
自衛力保持のために衆議院でこの文言を修正挿入させたとなっています。当時、修正は事実上ケーディスの了解がないと不可能でした。
事実、芦田はケーディスに修正挿入の了解を求め、ケーディスは了解しました。このときの模様は、
ケーディスの証言によると、
「芦田に修正の了解を与えたとき、自衛力を意味するとは考えていなかった。
将来の国連軍が私の頭にあった。
日本が国連軍の分担構想をもってると考えた。」との事です。（芦田は、修正の了解を求める際に自衛権云々を説明したように述懐してるようですが、
ケーディスによると、自衛権云々の説明はまったくなかったそうです。
結果的にケーディスは、芦田にいっぱいくわされたことになるのでしょうか？）憲法改正の日本側の動きは、
松本国務大臣の改正案の作成作業以外にも、
近衛文麿も改正案作成作業等、複数の動きがあったようです。マッカーサーが来日の後、
マッカーサー・近衛会談がもたれました。
その会談でマッカーサーは近衛に憲法改正を指示しました。
もちろん近衛はその会談後、天皇へ報告、
その場で改正案の作成作業を天皇から命じられたようです。
(天皇は憲法の改正を支持していたようです。)近衛文麿は自害する前に憲法改正草案を作成し、天皇に上奏していました。
その後すぐに幣原は、この「近衛草案」を天皇に下賜を願い、お蔵入りにしてしまいました。
（ジョージ・アチソンの報告、奥村勝蔵の記録、ジョン・エマーソンの証言。）
幣原がお蔵入りにしたことで、近衛草案はあまり知られてないようです。
ケーディスも当時は、その動きや存在さえ知らなかったそうです。
知ったのは、日本の占領が終了し、その後長い間知らなかったようです。
（私は、勉強不足で、知りませんでした。）近衛の憲法草案は、天皇の大権を制限（軍の統帥権等）するなど、
「マッカーサー憲法」に近いものでした。
（天皇大権の制限は、天皇自身が了解していたようです。）憲法の改正（戦勝国側の戦後処理）をめぐって、
国内外問わず、さまざまな機関、いろいろな人々の思惑が錯綜します。ここで、注目すべきは、天皇の動きです。
さまざまな資料を検討すると、一つの解釈が可能だと思います。戦後、天皇の軍隊が国民軍になることを恐れて、
「天皇の軍隊でないならば、
いっそのこと軍を放棄して、米軍をうまく利用したほうがいい」と。
つまり、武器を持つ集団が、
天皇自身の家来である官僚、もしくは軍事官僚（天皇の統帥権）ではなく、
国民の代表の統制下にあるなら、
天皇自身の命令には従わないし、自分に刃を振りかざす危険性が高い。
それなら、いっそうのこと、みんな武器を持たなくしよう。（米国のユダヤ人の銃規制の考え方に似てるように思えます。
米国のユダヤ人は、昔、武器保有を制限されており、
その影響で、ユダヤ人がまたいつ武器を持つ権利を制限される
（＝差別をされる・参政権を剥奪される）かもしれない。
それならガン・コントロールをして、
いっそうのことみんな武器を持たせないようにしよう。
そんな発想と何か共通するものを感じます。）
＊個人の武装権、武器保有権に関しては、ガブリエル中森氏の著書によります。最近、あらためて、憲法関連のいきさつを記述した書籍をみたり、
知人や家族・親戚（予科錬出身のおじや旧ビルマに行っていたおじとか）と
話したりするのですが、
上記のほかにも、
憲法改正を渋っていた吉田茂の公邸に
ケーディス、ホイットニー等が米国による憲法草案を携えて乗り込みその容認を迫った際、
タイミングよく米国の爆撃機が低空飛行で吉田邸上空に飛来し、
そのときホイットニーは、「アトミックな陽射をうけていました。」とささやいたという話しを聞いたり、あらためて、背筋が凍ってしまいました。副島先生の功績は、とてつもなく大きいと思います。
副島先生、副島先生に師事されてる皆さんを、私はかげながら応援しています。
私も、できる範囲で、研鑚をつんでいこうと思います。
副島隆彦です。ロシアチョコレート君へ。 もうこれ以上はいけません。
創価学会の池田大作名誉会長への、言論攻撃はもうこれぐらいにしなさい。
ふじむら掲示板の主宰者たちに対して失礼です。
創価学会に対してそこまで憎しみがあるのなら、あるいは危険な国民勢力だと君が思うのなら、君自身の考えも書きなさい。君自身の創価学会への過去の入信と離脱（脱会）とかの経緯（いきさつ）とかもあるのだったら、そういうことも書きなさい。すべてを明らかにしなさい。
他の公開記事の貼り付けだけで、それで何かを語らせようというのは、ここまでやるともうそれは、卑怯者のすることです。今後は、よしなお君に連絡して、新しい掲示板を作ってもらって、「創価学会批判掲示板」とかでいいですから、そこでやって下さい。
以上、申し伝えます。副島隆彦記
「財界」１９６７年８月１日号のＰ１７０から貼り付けＲＣ：「財界」は親学会系の記事、「財界展望」は非学会系の記事が多いようです。
（貼り付け開始）
連載ドキュメント 創価学会激動の七年 第六回
組織をつくった人々 (４)
池田会長が三十九才で書いた卒論テーマ 央 忠邦実のところ、池田時代を書くことは非常にむづかしいことである。現会長として、いま創価学会で指揮をとっているひとであり、あまりにも大きな影響があるからであるからである。だが、それだけに興味はつきないし、この連載ものを続けるためには、どうしても池田大作自身に触れないわけにはいかないのである。
ノリ業者のせがれ
朝日新聞が４０年２月に「新人国記」を連載し、東京の人物紹介の回に、宗教家として池田氏をくわしく紹介したことがある。宗教界の登場人物のなかで、最も大きいスペースをさいたひとだったような気がする。引用してみよう。
× × ×
―― あなた自身に「江戸っ子」を感じますか。
「ええ、もう。大森海岸のノリ取りのセガレで、完全な江戸っ子です。バカで、気前がよくって……」(ＲＣ：大森は江戸ではありません。江戸城を中心に南は品川区の一部までです)
―― もてる(女性に)理由、何か自分で気がつきますか。
「弱るなあ……困ったなあ」首に手をやり盛んにテレた。
いまだにシャク(百)円という下町のなまりが消えず…… (中略)資本家や官僚に激しい怒りをぶつける「労組書記長」「重役」「学者」「詩人」――。
幹部をも大衆の前でしかリとばす。かげに回って、別の人に「慰めといてやってくれよ」。人情のキビを心得た指導カである。
× × ×
表題に「気前のよさ」とある。
同氏を書いた記事をよく見るようになったが、たいていはピントがぼけている中で、この一文は、長い間、同氏と対話を続けてきた私には、実によくわかる。
組織づくリの天才とさえいわれる。氏の指導カは実にたくみである。それを分析すると、指導者というものは、何十本という手綱(たづな)をさばく能カを必要とされるが、とどのつまりは、その手綱を一本だけにしぼることだ、という気がする。両腕にまずまとめる。そしてついには、一本にまとめる、という意味である。
同氏と会見をくり返えしながら感じ取った手綱さばきは、老年と青年との同居という天性によるものだと私は結論する。戸田氏の強烈な影響を受けた池田氏は、老年の分別者である。しかし、戸田氏と違った点は、近代的な青年であるということだ。ある時、最高幹部のひとりが、こんなことを洩らしたことがあった。
「戸田先生では、学会はこうまで大きくならなかったでしょうねえ。池田先生の近代性が戸田先生にはなかったと思うからです。ある程度までは、なったでしょうが……」と。
大聴衆の前で小選挙区制反対を唱え「私がデモの先頭に立つ！」と絶叫する氏は、闘志あふれる青年指導者である。その同じ席で「交通事故に注意するんですよ」「常織豊かに――」と声を和らげる同氏は一変して分別者、老年の重みを見せるのだ。
つまり「青年」は前進の具、老年は「制御」の具、両者を実にたくみに配合し、使い分けする人物だとみる。前記、新人国記は「物わかりのよさと、広い展望、教義は別としてその包容カは十分に理解できるだろう。教祖ではない。いわば日蓮正宗信徒の若き総講頭である」と結んでいるが、とにかく天性これ指導者として生れてきたとしか私は表現できない。
これはお世辞でなく実感である。同氏と会見したひとの多くは、想像していた、いかめしい池田大作像と印象が違うので驚くようだ。私の知人のある社の新聞記者は「もっと大きなひとかと思ったら、意外に背は低いんですねえ」といった。これまた実感である。氏は５尺４寸ぐらいだが、万余の聴衆の前に立つ氏は大きい。指導者という宿命に生れてきたひとは、個室と大会場で大きさが異なるものなのだろうか。３９才で書いた卒業論文
池田大作氏は昭和３年１月２日、池田子之吉氏の５男として東京・大森で出生。家業はノリ業者であった、大森海岸で育ち羽田第二尋常小学校に学ぶ。虚弱児で、やせていたという。国語と作文が得意。東洋商業を卒業、大世学院(現在の富士短大)政経科２年で中退している。
「体が悪かったのも中退の原因でしたが、本当のところ、戸田先生がやめろといわれたんです。“おれが教えてやるから十分だ”というのです。事実、戸田先生と私だけの講義がはじまりました」と池田氏は述懐する。
「事業も忙しかったので学校に行けなくなってしまったんですが、正直なところそのうち、どこかの一流大学にでもやらせてくれるのか、と期待してたんです。結果的には、どこにもいけなかったが、戸田先生から、生きた学問を教ったと感謝しています。それから十年間、最初のうちは毎日曜日ごとに、後には毎朝一時間ずつ大学の教材をもとに先生の講義を受けました」と語っている。
「ついせんだって、率業論文を書かされたんですよ」、最近ある時、池田氏はテレながら私に話した“秘密”がある。
富士短大の先生から請われて書いたのだそうだが、その論文は３月末・教授会をパスしている。どんなテーマだか、興味深いので、私は無理に問題を見せて欲しいと頼んだ。しきりにテレていたが、中座してどこからか論文の項目を書いた紙片を持出してきた。むづかしい問題がならんでいだ。
日本における産業資本の確立と、その特質について論ぜよ
第二次世界大戦の終了後から、朝鮮動乱の終了の間におけるわが国の産業動向についてのべよ
自由民権思想の諸内容
あすの農業経営について
(以下略)
「この年をして百十枚も書いたんです」とテレながら話してくれた同氏の横顔には、不本意な中退という挫析から解放された、少年のような満足感があった。胸を病み戸田氏と対面
池田氏は戦後、蒲田地区で協友会という青年の文化グループに属していた。東大出の経済学者のきも入りでできたグループで、まじめに芸術、政治、経済、哲学などを論じ合い、研究する小集団である。仕事のほうは、胸を病みながらも、新橋の印刷会杜に勤めたのち、東京の城南地区の中小企業の助成機関である「城南工業会」に勤めている最中に、戸田氏と劇的な対面をしている。
初対面は２２年８月１４日、大田区北糀谷の小学校時代の同級生宅。同氏が執筆中の「人間革命」によれば、この頃、なにを考え、模索していた青年だったかが、わかるような気がする。念のために、初対面で池田氏が戸田氏に何を質問したかを同書から抜スイしてみると――一、正しい人生とは、どういう人生なのか。
一、本当の愛国者とは、どういう人か。
一、南無妙法蓮華経とは、どういうことなのか。
一、天皇をどう考えるか。
四点である。池田氏はその座談会場を去る前に戸田氏に「中国の礼記(らいき)に、“同感できても、もう一度考えるがいい。同感できなくても、もう一度考えるがいい”という言葉があるが、先生について勉強させていただきます」と語っている。だからすぐ入信したのではなく思考のあげく、１０日後の８月２４日、小平芳平氏らに付添われ、中野区内の昭倫寺(当時は歓喜寮)で入信手続きを終えている。
戸田氏と“劇的な対面”と書いたが、池田氏は別れ際に、戸田氏へ感謝の意を表明するため、即興詩をつくリ、朗読するという破天荒なことをやってのけている。
池田氏は１９歳。文学青年の面目躍如である。「人間革命」から引用してみよう。旅びとよ
いづこより来り
いづこへ往かんとするか。月は沈みぬ
日はいまだ昇らず
夜明けの前の混沌(カオス)に
光 もとめて
われ 進みゆく心の暗雲をはらわんと
嵐に動かぬ大樹を求めて
われ地より湧き出でんとするか戸田氏は時に４８歳。牧口氏と会ったのが１９歳の年の８月で、しかも牧口氏は４８歳であった。偶然とはいえ、あまりにも一敦している。これもよく聞かれることだが、創価学会の会長は２９歳の年齢差が鉄則なのかということである。これが鉄則だと次代の会長は、いま十歳の少年であることになる。思い切って池田氏に聞いてみたことかある。同氏はあっさり答えてくれた。
「私は当代と次代の会長の年齢差は、親子ぐらい違うほうがよいと思います。私は戸田先生に白紙でぶつかれたのは先生が年配者であられたからでしょう。師弟の関係は“不二”という意味でもそのくらいの差が適切だと思います。２９年という差だけにこだわる必要はないでしょう。とにかく会長という仕事は非常に疲れますし、あまり疲れるといい考えがでてこなくなります。若さ、独創性というものが会長には絶えず要求されます。年配の会員を若がえさせるぐらいの力が要求されるのです。次代はそうした会長でなければなりませんし、２９歳という差には私はこだわりたくありませんが、とにかくある程度の差は必要だと思います。”随縁真如の智”(ずいえんしんにょのち)といって、当然許されるのです」淡々とした口調だったような記憶がある。「型にはまって偏狭になってはいけないと思う」という意味のことを、つけ加えたような気がする。
さきほど同氏を５男と書いたが、長兄は戦死し、家業を次兄が継ぎ、３兄は養子にいき、すぐうえの兄は会杜を経営している。「身内にはきびしくしないと、会長として公平さを保てません」と同氏はいっている。竹入委貝長は新聞配達
城南工業会を円満退杜して、２４年の正月から戸田氏のもとで、同氏のカゲの人物として池田氏は身を粉にして働きはじめる。
編集者として原稿とりなどもやったという。
「作家や、挿絵画家のところへいきましたよ。野村胡堂さんや、西条八十さんのところへいったことなど、なつかしいですね」と池田氏が語ったことがあった。
２６年５月に戸田氏が創価学会会長に就任するまでの草創期に池田氏は各地で折伏活動に当っている。同氏が各地で破した折伏の新記録は語り草で、数多く同会内で伝っている。同年７月、会長直属の青年部(男予部)が結成されると、池田氏は第４部隊の幹部長に就任し間もなく第１部隊長になった。
翌２７年２月青年部に参謀室ができると同氏が教育参謀となり、青年部を掌握した。２９年３月に参謀室長となって、同会の事実上の要(カナメ)となり、
戸田氏を補佐する。やがて渉外部長に就任、対外的な交渉に当るようになる。
私が聞いた範囲内では、この渉外部長のポストは、戸田氏が池田氏を政界に出させるため、政界で同会出身者の総責任者にしようとひそかに計画していたための布石だったとみる。
戸田氏が選挙をやらねばならないということをはじめて会員の前で話したのは２７年の１月だとされている。それ以前に戸田氏自身が選挙に出て、政治家になってみたい、と思っていたのかも知れない。やがて、同氏のもとで池田氏がぐんぐん伸びはじめてきた時、戸田氏は池田氏を政治家に仕上げようと計画した、と思われる。
だから、選挙のたびに池田氏は最も重要な地区の指揮をとらされた。選挙以外でも重要な事柄についても、もち論、指揮役をさせられたが――。
３０年３月、北海道の小樽市公会堂で日蓮宗身延派と公開問答事件があった
が、この時の指揮者も池田氏であった。当時の記録を探してみると、池田氏はまず事件調査を青年部の第４部隊長星野義雄(副理事長、都議)、第７部隊内務幹部大川清幸(同)の２人に命じ、北海道へ派遺している。この事件に参加したひとぴとの顔ぶれを見ると、同会の歴史の一断面がわかる。同会の文化関係の責任者である秋谷栄之助総務は部隊長で石田次男副理事長は理事で、竜総務は参謀で参加している。小平芳平、辻武寿両総務が弁士になり、池田氏が司会者をしている。特筆すべきは公明党委員長になっている竹入義勝氏は新聞配布役を仰せつけられ、雪の中を新聞配達して回っている。“叱り”は即“指導”に
池田氏は選挙戦で数多くの功績を残している。いろいろ古手幹部の間で語り草が残されているが、はじめて同会員６氏が立侯補した３１年７月の参院選挙で真価が発揮された。この選挙で同氏は大阪地方区を担当した。侯補者は白木義一郎氏(総務、参院議員)であった。現在阪神地帯は、京浜地帯にまさるほど、同会の勢カが強い地区であるが、かつては無に等しかったようだ。
この地区で古い幹部の田代富士男副理事長(参院議員)の話では、同会のクサビが関西に打ちこまれたのは２７年２月。阪急ブレーブスの投手だった白木氏が宝塚地区を拠点に布教をはじめた。ところがその年は会員は１００人足らず。やがて浅井享(参院議員)美幸(衆院議員)親子と田代氏らが加わって活動を広めた、という。
「２９年ごろは月に１回開く勉強会に池田参謀室長は必ず顔を見せるようになってから組織がひろまりはじめた」と田代氏はいっている。３０年ごろから池田氏は本格的に関西指導を開始したという。「関西の幹部がジカに池田室長の指揮で実際の闘いをしたのが参院選挙でした。当時、大阪では３万世帯しか会員はありませんでした。不安がるむきもありましたが、選挙が始まるとケシ飛んでしまいました」と田代氏。
池田氏の指揮の特色は疲れを感じさせない、というより楽しませながら選挙活動をさせるのだという。「具体的にといわれても説明できませんが、とにかく期間中、愉快でたまらなかった。そのうち“この先生のためなら勝てる。きっと勝つ”という空気が運動員の間を支配しました。結果は２１万票、初当選でした」と同氏はいっている。
同氏をふくめて幹部会員の話を総合してみると、池田氏の組繊者としての一般会員との差は叱っても「叱る」ことを感じさせない、ということではないのか、という気がする。指導者というのは叱ることができなくては、手綱さばきは無理だ。ところが、池田氏の「叱り」は「指導」になってしまうのである。一般のひとびとには不可解に感ずるだろうが、叱られるということが特別に指導されたという受取り方になってしまうのである。激しい気性の持ち主
池田氏は激しい気性の持主でもあり、感情だってひと１倍強いはずだ。だが、私もしばしば幹部を「叱る」のを目撃したがその時には氏の感惜が、ふっと消えるのである。
そしてその場が、途端に真剣勝負をするような道場と化してしまうように感ずるのである。不思議な「妙術」を見るような感じがする。
その年の会員数は５０万世帯になり、ようやく創価学会は、国内におけるひとつの勢カとなりはじめる。北海道での炭労問題が３２年５、６月におきているが、同会が単なる宗教団体ではないという評価がされはじめたわけである。きびしい試練の波がその行く手に押し寄せはじめたのだ。＝ 筆者紹介 ＝
央忠邦(なかば・ただくに)
昭和２年生れ、慶応義塾大学経済学部卒業。２７年朝日新聞東京本社入社。社会部記者として司法、行政、立法の各部門を担当。この間、学会の取材に当り、同会の権威として知られる。（貼り付け終了）
『週刊新潮』２００３年１２月１８日号のＰ４６から貼り付け（貼り付け開始）
［特集］新「創価学会」を斬る 【第７回】
『高利貸しの営業部長』だった
極貧「池田大作」の知られざる屈折人生
ライター 山田直樹３２歳で創価学会３代会長に就任以来、実に４３年。池田大作名誉会長ほど離反者を生み、さまざまな告発を受けた人物はいない。学会員の絶対的な崇拝の対象となる一方で、この人物の特異な人間性は、常に多くの裏切りを生み続けた。今や与党・公明党の事実上のオーナーとして法王の座を手に入れた池田氏。連載第７回は、どうしても触れられたくないその知られざる過去に迫る。
これまで指摘してきたように、創価学会の行動原理・思考形態は、日本の新興宗教団体の中でも極めて特殊と言える。”教祖様”を絶対視し、崇拝し、その言葉を無批判に受け入れる点は、多くの新興宗教団体と共通しているが、敵対者への強い攻撃性や憎悪は、やはり、この団体の持つ大きな特徴と言っていいだろう。
しかし、これは同時に、「脱会すれば、このようになる」
との恐怖を学会員に植えつける、組織を守るための絶大な効果をもたらしてもいる。そのような恐怖と憎悪こそが創価学会(員)のエネルギーを引き出す”源泉”であり、同時に、「自分たちのしている事は正しい。世間も驚嘆する偉
業をなし遂げている」
というカタルシスを多くの学会員に抱かせる基となっているのも特色だ。
目を輝かせて池田大作氏の偉大さ、素晴らしさを訴える学会員を見ていると、これだけの陶酔感、使命感を多くの学会員にもたらす池田氏のパワーには驚嘆せざるを得ない。
今回は、その池田大作という人物の人間性を解明する中から、学会の根本的な病理を検証したい。
公称５５０万部の創価学会の機関紙・聖教新聞は、これまでの連載でも触れたように敵対者への口汚い誹謗・中傷記事で溢れている。
しかし、もちろんそれだけではない。
常に１面を飾るのは、池田大作氏の業績紹介であり、礼賛記事である。
例えば、先月(１１月)１カ月間の同紙はどうか。
この中で、勲章など池田氏の受賞関連の１面トップ記事は実に１３にのぼる。名誉博士２件、名誉市民４件、顕彰状・感謝状３件、受賞４件という具合だ。繰り返すが、これはたったひと月の間である。
〈ブラジル マイリンケ市ＳＧＩ会長夫妻を名誉市民に〉(３日付)
〈人間革命の哲学が２１世紀の扉を開いた 台湾各地から池田ＳＧＩ会長に感謝状〉(９日付)
〈フィリピン キャピトル大学が決定池田ＳＧＩ会長に名誉博士第１号〉(１１日付)
〈カリブ海永遠の美の島ドミニカ ＳＧＩ会長夫妻に国家賓客称号〉(１５日付)
……等々である。
１２月に入っても、それは変わらない。１２月４日付聖教新聞には、
〈非暴力 源流の国・インドで大反響ガンジー・キング・イケダ展〉
という特大の記事が載っている。
これは、アメリカ、パナマ、イギリス、ニュージーランド、ウルグアイなど世界中を巡回している、ガンジーとキング牧師、そして池田大作氏の偉業を称える展覧会の紹介記事だ。その展覧会が当のガンジーの国・インドで開催されたというのである。
敵対者を口汚く罵り、これまで言論出版妨害事件や宗門との激しい抗争を繰り返し、脱会者への徹底した攻撃を行なってきた池田大作氏が、よりによって“非暴力・不服従”のマハトマ・ガンジーや黒人公民権運動の指導者マーテイン・ルーサー・キング牧師と肩を並べたという展覧会なのだから、いくら創価学会が後援するイベントとはいえ、鼻白む人は少なくあるまい。貧困の中の虚と実
日本人の美徳の一つに「恥を知る」があることは、これまで欧米の文化人類学者が幾度となく指摘してきた。
慎み深さや奥ゆかしさという言葉でもそれは言い換えられるが、しかし、多くの日本人には、毎日毎日、自らが全権を握る機関紙に自分が勲章や名誉称号を受けたことを写真つきで大々的に報じさせ、あるいは世界中で「ガンジー・キング・イケダ展」なるものを開催させる池田氏がどう映るだろうか。少なくとも彼が、その「恥を知る」日本人の特性とは無縁な人物であることだけはお分りいただけるだろう。
いずれにせよ、他の宗教団体指導者と最も乖離しているのは、池田氏の異様なまでの勲章へのこだわりや名誉欲、そして自己顕示欲である。
それが何に起因するかを知るには、やはり彼の生い立ちから遡らねばなるまい。
池田氏が産声をあげたのは、１９２８年１月２日。現在の大田区大森北２丁目あたりだ。海苔(のり)業者、池田子之吉・一夫帰の第６子(５男)、本名・太作(のち大作と改名)として生を受けた。
頭脳も肉体も取り立てて誇るべき点のなかった池田少年は、極貧の少年・青年期を送っている。
創価学会側が出している『年譜・池田大作』(第三文明社刊、以下『年譜』と略)によれば、７歳頃から、父・子之吉がリューマチで寝込むようになり、この後、家業の海苔作りを手伝い始めたと記述されている。
兄たちの出征でますます貧しくなった池田少年は、午前２時に起床して、海で海苔張り、４時から新聞配達、学校が終われば、海苔はがし、夕刊配達、夜は海苔のごみとりといった生活を送る。尋常小卒業後は、後に萩中(はぎなか)国民学校と改称される高等小学校に進学、卒業後は、新潟鉄工所に勤務。強制疎開や空襲によるバラック住まいなど、池田家の貧困生活は子沢山だっただけに厳しかったようだ。
地元に残る数少ない小学校時代の同級生によると、「昭和１７年に萩中国民学校を卒業する時、池田君は４組にいました。彼はとにかく印象のない男だったね。勉強も目立たないし、身体も強くない。それに海苔漁師はみんな貧乏だった。彼の家はたしか分家で、生活は特に苦しかったはずです。後で創価学会会長があの池田だなんていう話になって、みんな驚いたものですよ」
戦争が終わっても、池田青年の極貧生活は変わらなかった。
その貧しさは、まだ２代会長戸田城聖氏の弟子時代の池田青年が、東大の宗教学者・小口偉一氏に答えたインタビューでも窺える。
〈小学校では栄養不良で３・４回も死にそこない、がんらい身体が非常に弱かったんです。終戦の年には６回目の肋膜をしていましたし、肛門性(コウモンネンバクビラン)のもので、耳や鼻などみんな悪く、血疾がでてたんです。(略)３年目の８月に戸田さんの出版に小僧から入りました。信用組合にも入っていたんですが、給与もなく乞食同然で苦しくてしかたなかったんです〉(略)信仰しなかったならば２３くらいで死んだだろうといわれています〉(５６年・『新心理学講座４ 宗教と信仰の心理学』)
当時、池田氏が住んでいたアパート、青葉荘の元管理人(78)が述懐する。
「池田さんは、ここに住んでいました。当時、アパートはコの字型に３棟ありましてね、その一つの東向きの４畳半に住んでましたよ。結核で一時期酷かったようです。祖母が熱にうなされる池田さんに薬を持っていったこともあるそうです。冬の寒い日、熱があるので、池田さんが窓を開けて、頭だけそこから出して寝ていたこともあったと聞きました。当時すでに宗教に入っていて、経を唱える声が大きくて注意したこともあったようです」
極貧の上、結核にまで侵されているのでは、その生活の悲惨さは想像を絶するものだっただろう。
ジャーナリストの溝口敦氏は、『池田大作ドキュメント 堕ちた庶民の神』で、
〈ふつう新興宗教に入信する動機は、一口に病・貧・争といわれるが、池田はそのすべてを体験したわけである〉
と指摘しているが、池田氏の特異な人間性は、こういったどん底の環境の中で形づくられたと思われる。
先の『年譜』は、池田氏と創価学会の出会いを以下のように記している。
〈・４７年(19歳) ８月１４日 小学校時代の同級生に誘われ、創価学会の座談会に、「協友会」の友人２人を伴って出席(蒲田・三宅ゆたか宅)。戸田城聖と出会う〉
この時、池田氏は、戸田の人柄に感銘して突然立ち上がり、こう述べたという。
「先生が、青年らしく勉強し、実践してごらんと、おっしゃったことを信じて、先生について、勉強させていただきます」
さらに、即興詩を披露して感謝の意を表したことになっている。
これは、学会・池田氏の「正史」だ。が、池田氏の貧困からの脱出ストーリー、学会への入信、さらに現在に至るサクセス物語には、しばしば手が入れられ、美談に仕立て上げられている。実は、この戸田氏との出会いも虚偽である。
ここに登場する三宅宅での出会いを詳細に語りうる人物がいる。その家の娘・三宅妙子さんだ。三宅さんは父親が地元・蒲田の支部長を務め、しばしば自宅で座談会が開かれていた。そこには多くの信者が集った。池田青年は確かに妙子さんの姉が誘ってきた３人の小学校時代の同級生の一人として、座談会に現れてはいる。が、
「いま創価学会で言われているような、池田と戸田先生の伝説的な出会いはそこではありませんでした」
と妙子さんはいう。
「『人間革命』や学会の書物には、美化された出会いが描かれていますが、その日、我が家には戸田先生はいらっしゃらなかったのです。もちろん、池田は詩も詠んでいませんでしたよ。彼は我が家に来てから、１０日後に入信します。私は池田にデートに誘われ、日比谷に映画を見に行ったこともあるので、当時のことはよく覚えています。あの頃の池田は、“今に見ていて下さい、僕のこれからを見て下さい”と、よく言っていました。上昇志向が非常に強い人でした」（続きます）
（続きです）金融取り立てで辣腕
創価学会に入信し、戸田と出会った池田氏は、やがて権力への階段を駆け上がっていく。
上の名刺と写真をご覧いただきたい。
大蔵商事 ―― 現在の池田氏を語る上で、避けて通ることのできないキーワードである。当時、戸田が自分の愛人らを役員に据え、小口金融、今でいう消費者金融の大蔵商事を設立、ここでメキメキ頭角を現したのが池田氏だったのだ。
池田氏は、この大蔵商事営業部長という職をきっかけに一気にそれまでの貧困から抜け出し、創価学会第３代会長への道を突き進み始めるのである。
創価学会元教学部長の原島嵩氏が振り返る。
「大蔵商事というのは、今のサラ金の原型とでもいうものです。利回りがいいという売り文句で資金調達をし、それを貸し付ける。貸付先の多くは個人、会社もあったようですが、いずれにしても学会員たちでした。彼はそこで、資金調達や取立てに辣腕を振るい、やがて学会を資金面で牛耳っていったわけです」
どの世界でも、財布の紐を握るものは一番強い。
小川頼宣・創価学会本部元広報部副部長がいう。
「戸田城聖第２代会長は金の面は自分で何とかしようとして、大蔵商事など金貸しや信用金庫などを随分とやったんです。その尻拭いと言うか、酷な言い方をすれば金貸しの手代をしていたのが池田大作です。彼も当初は好きでやっていたわけではないと思うのですよ。しかし、彼には才能があったようで、池田が“ここ金あるよ”という家には、見た目は貧乏な家でも必ず金があった、ということを古参の幹部から聞きました。逆に門構えの立派な家の前で“ここはどうだ？”なんて聞いても、池田が“ここにはない”と言えば、その通りだったそうです」
先の池田氏の小学校時代の同級生は、大蔵商事に入った頃の池田氏をこう語る。
「昭和２５年に池上でやった最初の同窓会に現れた時だったな。あの時のことは今でも忘れられない。昭和１７年卒業組は今昔会という同窓会を開くんだけど、その時、池田は遅刻してきた。同窓会に顔を出したのは後にも先にもその時だけだよ。遅刻してきたのに、恩師に挨拶もせずに、どっかりと席をおろして、いきなり演説を始めたんだ。大きな声で。みんな驚いたよ。遅刻してきたのに、いきなりですからね。ひとしきり自分の話が終わったら、初めて“おっ先生、元気か”なんて片手をあげた。田中角栄みたいなあれだよ。目立たないだけのあの男が、いつの間にかそういう尊大さを身につけていたんだ」
大蔵商事時代の彼が、水を得た魚のごとく活き活きとし、さらに周囲が驚くほどの尊大さを身につけ始めたのは注目に値する。
やがて戸田から信頼を得た池田氏は本部の青年部を経て、参謀室長に抜擢されることになる。
池田氏は後に、大蔵商事時代について、こんな発言を残している。
「大蔵商事では一番いやな仕事をした。どうしてこんないやな仕事をするのかと思った。鶴見で、まったく未開の所へ地盤をつくりながら、同時に学会員を起してきた。私は何もないところから闘った。当時は戸田先生が世界一だと云っても通用しない。本当に苦戦の連続であった」
「戸田先生は葉っぱを御札にする。本当にする。そうしなければ広宣流布は出来ない。必ずそうする。広宣流布の為ならば葉っぱを札にしてみせる、と云う戸田先生のきょう(ママ)信が今日の学会を築いた。それだけにきびしかった。学会はこの精神を忘れてはならない」(いずれも６８年２月１０日の『社長会』にて)
この高利貸し時代は、あらゆる面において、今の池田氏をつくる基となったことは間違いない。
そして５８年４月、肝臓と糖尿が悪化して戸田が鬼籍に入った後、池田氏は権力闘争に勝ち抜き、６０年５月、第３代創価学会会長に上り詰めるのである。
池田氏はよほどこの大蔵商事時代に触れられたくないのか、先の『年譜』でも、〈・５０年(22歳) １１月２７日 この年の秋より戸田城聖を顧問として営業を開始していた大蔵商事の営業部長となる〉
と、簡単な記述があるのみだ。
やはり、「消費者金融の営業部長」の肩書は、「池田博士」にはあってはならないものなのだろう。怨念とコンプレックス
長い長い池田氏の人生を語るにはとても紙幅が足りないが、彼の人生を振り返ると少年・青年期の貧困や病気、そして学歴へのコンプレックスや怨念が権力を手中にした途端、それまでの欝憤を晴らすかのように一気に解き放たれたように思えてならない。
会長就任の５年後、３７歳の池田会長にインタピューした評論家・高瀬広居氏の『人間革命をめざす池田大作その思想と生き方』(65年)の一節は興味深い。
〈池田会長は、モダンな本部応接室のアームチェアーにアグラをかき直すと、煙草を一服し、静かに、そして激しい語気でいった。
「私は、日本の国主であり、大統領であり、精神界の王者であり、思想文化一切の指導者・最高権力者である」
同席の大幹部数人は深く肯(うなず)き、息をのんだ〉
何年か前までは、拭い難いコンプレックスの只中にいた青年が、短期間にこれだけの言葉を吐くほど変貌したことに驚くのは、筆者だけではあるまい。
そして同時にこの３７歳という年齢で、すでに池田氏を諫める人物もいなくなったのは、学会にとってだけでなく、池田氏本人にとっても不幸なことだったに違いない。
池田氏、そしてその周囲は、その後、“池田神格化”のために、滑稽なまでにあらゆる手を講じるようになるのである。
元学会幹部の解説では、
「日蓮大聖人が修行したという由緒ある千葉県の清澄寺というお寺では、寺を初めて訪ねた池田氏が、境内にある杉の大木をなでながら“久しぶりだな”と呟くエピソードがあります。池田先生は７００年前の日蓮大聖人の事を知っていらっしゃる。きっと大聖人の生まれ変わりに違いない、と会員に思わせるわけです。しかし、その木は実際には樹齢４００年だったそうです」
また、池田氏はよく会員の前でピアノを弾くが、これも鍵盤を叩くだけで、実際には自動演奏のピアノだったり、うしろからメロディーを流しているのだそうだ。それでも女子部員たちは感激で、涙、涙なのだという。
「池田が訪れる会場周辺の花を咲かせるという古典的な演出もあります。期日に合わせ、地元の人が何週間も前からドライヤーで花の蕾を温めるのです。多くの会員が梯子を持ち出して延々とその作業を行い、見事、満開の桜を咲かせたこともあります。先生のお陰で一夜にして桜が咲いた、というわけです。池田は”見事だ。よくやったね”と満足気に言い、それを聞いて会員達はまた涙を流すのです。魚など１匹もいないドブ池に事前に鯉を放流して池田に餌を撒かせ、“ここには魚はいないのに、先生が餌付けすると鯉まで現れてしまった”と会員達を感激させた例もあります」(同)
冒頭にも触れた異常な勲章や博士号のコレクターぶりといい、池田氏がここまで自分を神格化する根本は一体なんなのか。
前出の原島嵩氏によれば、
「やはり根底にあるのは池田のコンプレックスでしょう。例えば、彼の学歴は富士短大中退です。しかし、２０年近く経ってから、卒論を桐村という教学部の幹部に書かせてまで卒業しました。幹部には東大卒や早慶卒なども多いのですが、彼らを前にして“お前たち、馬鹿だろう”などといっては“はい”と答えさせ、悦にいっていましたね。最高学府を出た人たちをひれ伏させることに彼は喜びを感じるわけです。そしてもう一つは、権力へのコンプレックスです。彼は５７年の参院補選で選挙違反で逮捕(大阪事件)されたわけですが、この時に権力の恐ろしさを学び、復讐を誓い、それが今の行動につながっているのだと思います」
こうして独裁者となった池田は、折々にこんな発言を残すようになる。
「今の政治家は、やれ勲章を貰うとか、金をとるとか、また有名人は利己主義になって、自分の名だけ売って、金儲けをするとか、めちゃくちゃな世界であります。私ども創価学会員は、位もいらない、有名でなくともよい、大臣もいらない、また権力もいらない」(６３年８月３日付、聖教新聞)
「勝つか負けるか。やられたらやりかえせ。世間などなんだ。私は恐れなど微塵もない。勇者は私だ。(中賂)反逆者には『この野郎、馬鹿野郎』でいいんだ」(埼玉指導 ８９年３月１２日)
「２００１年５月３日、広宣流布の同志を裏切った者の大罪を、厳然と天下に公表したい。(略)宗門の悪侶、学会の反逆者を書き連ね、その罪科を、血涙をもって後世に残したい。永久追放の証としたい」(９４年９月２日付、聖教新聞)
「師である私が迫害を受けている。仇を討て。言われたら言い返す。打ち返す。切り返す。叫ばなければ負けである。戸田先生も、牧口先生の仇をとると立ち上がった。私も戸田先生の仇を取るために立った。私の仇を討つのは、創価同窓の諸君だ」(９６年１１月３日「創価同窓の集い」にて)
その言葉の激しさには、やはり驚嘆させられる。創価学会が持つ、敵対者への激しい憎悪や復讐心は、彼の屈折した半生から出てきたものと思わざるをえないのだ。日本支配の欲望
「彼特有の他人や敵への異常な攻撃性というのは、持って生まれた性格の他に自身の極貧、病弱体質、能力の凡庸さへのコンプレックスからくる世間への怨念が影響していると思います」
というのは、ジャーナリストの乙骨正生氏だ。
「池田氏は口癖のように“自分は戸田先生の復讐のために立ち上がった”“師である自分が追害された時は、自分の仇を討ってくれ”と言いますが、これは自分を認めようとしない世間への強い恨みに満ちたものだと思います。海外から何百という勲章をもらおうと、池田氏をよく知る日本では、静岡の富士宮市の名誉市民以外、なんの称号ももらえないのです。海外の大学から名誉教授の肩書をもらい、様々な勲章をもらって悦にいっているのは、いまだにそのコンプレックスを克服できない証拠ではないでしょうか」
宗教学者の山崎龍明氏(武蔵野大学教授)も、やはりコンプレックスをキーワードに、こう総括する。
「オウムの麻原もそうでしたが、私もやはり池田氏を考える場合にこの言葉が第一に浮かびます。大森海岸の海苔屋に生まれ、学歴もない彼が、社会的に認知されている人をコントロールできる快感を覚えたのではないでしょうか。彼らの共通点はエリートを支配することに喜びを感じることです。池田さんは実は非常に小心で、自信のない人だと思います。自信あるリーダーというのは、相手を一方的に支配しようとはしません。気が小さいからこそ、怖いのです。しかし、問題はそのリーダーに率いられ、肥大化した集団が信者どころか、日本全体を支配しようとしていることです。宗教、教団が持っている暴力性、排他性、差別性というものは物凄く強い。ヨーロッパの歴史を見れば分ると思いますが、肥大化したこういう集団を動かした時には無限のカが働き、人間一人一人を蹂躙していくことは歴史が証明しています。排他、除外というものは、
宗教によって美化されます。普通の組織、政治とは違った、宗教自身の持つ恐ろしさを忘れてはなりません」
日本人は、この特異な人間性を持つ人物にわが国の将来を託すのだろうか。それは果して国民の総意なのだろうか。
衆院でわずか３４議席をとるだけの政党と、その事実上のオーナー・池田大作氏に国の政策を襲断されることを容認するとしたら、それは民主主義の放棄に等しい行為なのではないか。
次回は、この特異なカリスマが亡き後、この巨大教団がどこへ進むのか、その将来を検証してみたい。
(次号につづく)http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
（貼り付け終了）
『噂の真相 １月別冊 日本のタブー 禁忌(きんき)』のＰ２４から貼り付けＲＣ：何度も書きますが「１億１千万人以上は創価学会員ではない」という事実を頭に入れて、冷静に対処しましょう。
（貼り付け開始）
検証 巨大宗教タブー
自民党も大手メディアも裏で操る創価学会“鶴のタブー”の恐怖支配
藤原弘太郎 ジャーナリストここのところ、創価学会系メディアによる、中吊り広告を介した凄まじい“対学会批判者キャンペーン”が展開されている。いわく、『新潮社の反人権とねつ造の歴史』『ガセネタ屋「乙骨正生」にまたも司法の断罪！』『「週刊新潮」による学会報道のウソ』……
創価学会によるこうした言論攻撃は今に始まったことではなく、メディアでは、テレビ、新聞、雑誌を問わず、創価学会批判は「鶴のタブー」として恐れられているが、彼らが攻撃の矛先を向けるのは、メディアだけではない。
一例として、一般人にすぎない東京都江戸川区に住むＡさんの経験を紹介しよう。
彼女が創価学会を脱会したのは９２年。その２年前に夫を亡くし、娘たちと同居になった。それと同時に、近所の創価学会ブロック長(既婚者で現職の高校教師)が多い時は週に４回、Ａさん宅を訪れるようになる。しかも決まって夜に、だ。娘さんはいまだ未婚。そんな家に上がり込んで、明け方の４時まで居座るのである。「可哀そうだ」 ―― そういっては、娘たちの肩を揉んだりする。(ＲＣ：池田大作が、青島幸男に「金と力があって、妻が文句を言わなければ、一夫一婦の枠外の行為を行って良い」と言っていた。また幹部が「仏法上の夫婦関係(ＲＣ：不倫･浮気)は、世法上の夫婦関係より優先する」という指導をしていた、という記事が過去ログにあります)
恐怖を覚え、玄関に鍵をかけるとブロック長は、非常口のサッシをどんどん叩く。
ことここに至って、Ａさん一家は創価学会を辞めようと決意。脱会するやいなや、今度は地域の学会幹部が４〜５人の集団で押しかけてくる。制止を振り切って、勝手に居間へ上がり込んで届座る。Ａさん一家への口汚ない中傷、誹謗をわめきちらすのである。
近所には、Ａは気が狂ったと触れ回り、ガス栓を細工するなどの嫌がらせ……。これがなんと１年半にわたって続いたという。(ＲＣ：田辺浩三さんや脱会した公明議員らが「気が狂ったと触れ回られた」という記事が過去ログにあります)
９７年初夏、Ａさんは彼らに対して遂に批判活動を始める。その時実施されようとしていた東京都議選に対して、「創価学会の選挙違反を監視・告発しよう」と題された「創価学会による被害者の会」のビラを近所に配布し始めた。その途端である。全国から学会員がやってきて、Ａさん宅を取り巻く。監視、暴言、暴力-ありとあらゆる嫌がらせがＡさんたちを襲った。いくら警察に届けても、まともに取り合ってくれなかったというのである。
現実にそんなことがあるのかと、読者は思うに違いない。選挙になると、どんなツテを介したのか公明党、あるいは連立を組む自民党への投票依頼電話が舞い込む。「とにかく取ってくれないか」と、学会機関紙『聖教新聞』の講読を勧誘してくる学会員のしつこさ。公立小学校に子供を入れてＰＴＡの役員を仰せつかった。ところが自分以外、他の役員たちは昔から知り合いの様子。皆、創価学会に所属していたと聞いて“納得”したというケース。（ＲＣ：「住民組織を掌握せよ」という指示を出していたという記事が過去ログにあります）
大方の人々にとって、創価学会(員)との接点はこの程度にすぎないだろう。勧誘の執拗さには辟易しても、ちょっとした迷惑で、家庭でも職場でも、街角や電車の中でも「創価学会の圧力」を感じることはなかろう。しかし、その実態を知れば前述したＡさんのように恐怖をおぼえざるを得ないのだ。●創価学会による言論弾圧事件
池田大作が学会会長に就任したのは、６０年５月３日。この頃、学会の世帯数は１４０万だった。それから１０年で、その数はおよそ５倍、７５５万にも膨れ上がる。高度経済成長をトレースするかのような激増ぶりだった。その数はすでに８００万を超え、選挙とあらば世帯数同等レベルの得票をはじき出す、まさに日本一の教団と化した。
この組織が産声を上げたのは、１９３０年。牧口常三郎という教育者が興した「創価教育学会」が母体である。牧口は４３年、治安維持法違反や不敬罪で逮捕され、翌年１月獄死する。このことが「戦争に反対したために弾圧された」宗教者としての神格化を呼び、現在の「平和団体としての創価学会」なる位置づけの根底に据えられている。
戦時下の宗教統制で各宗派へ、神社札を受け入れることの強要に反発したのが牧口逮捕直接の要因ではあった。が、それは、「神社への信仰では、大東亜戦争は勝ち抜けぬ。自ら信仰する日蓮正宗に立脚しなければ聖戦は完遂できない」という、およそ平和とかけ離れた思想だったのである。
それはさておき、順調に組織拡大が図られた学会に、ある転機が訪れる。政治評論家・藤原弘達の著書『創価学会を斬る』(日新報道)への出版妨害(６９年)である。この余りにも有名な言論弾圧事件に謝罪し(それが表面上のものでしかなかったことは、内部文書で明らかになっているが)同時に公明党と学会の政教分離を宣言して、現在に至っている。
言論弾圧事件を最初に報じたのは共産党機関紙『赤旗』で、学会が帰依する日蓮正宗徽章の鶴をもじって「鶴のタブー」のフレーズが使われ出した。
１９６０年代、拡大する創価学会にメディアは一応の警鐘を鳴らし続けてはいる。たとえば信者を獲得することで自らも功徳を受けるとする、強烈な入信勧誘＝折伏が、「寝ている老人を道路に引きずり出して」行われたり、「邪宗を信じれば地獄に墜ちる」と他人の仏壇を壊したりする行動へ大手紙が批判を加えたのである。それは今や、選挙への投票依頼や聖教紙講読に姿を変え、一見、柔和でソフトな路線となり、他者、他宗教に対する批判も陰を潜めたかに受け止められている。
だが、実際は「ソフト路線」に転換したとメディアが思い込んでいるだけなのである。
もっと言えば、メディアが沈黙し、学会批判を行わなくなったためである。言い換えると、言論妨害事件を教訓化して、学会は対メディア戦略を見直し、世間に対して「危険な宗教団体」というイメージを払拭させ、さらに池田大作以下、学会活動への理解から称賛へと仕向ける方法が成功したのである。
ある大手紙担当幹部はこう語る。
「とても学会批判記事などは書けない。理由は、聖教新聞の印刷を請け負っていること。新聞業界は８０年代初頭をピークに部数の頭打ちを経て衰退産業になりつつある。読者の奪い合いは、結果として多ページ建てとカラー化の競い合いとなり、サテライトエ場の建設に拍車がかかった。こうした設備投資には、輪転機ひとつとっても莫大なカネが必要で、コスト回収は必須の課題。機械の空いている時間に、他紙を『賃刷り』(印刷の請負)することはオイシイ仕事」
そこに現れたのが創価学会である。彼らは自前の印刷所を持たず、しかも全国で５５０万部(公称)という日本３位の部数を誇る聖教新聞を発行している。この厖大な印刷は、毎日、読売の関連子会社始め、ブロック紙、県紙など全国各地の新聞社が引き受けている。もはや新聞社は、聖教新聞の印刷収入なくしては立ち行かぬ状況に追いつめられている。
さらに別の大手紙広告担当者がこう語る。
「印刷だけじゃありません。学会は、広告でも大変なお客様ですよ。月１回は聖教新聞の一面広告が出るし、『潮』や『第三文明』など学会関連出版社の広告もある。これをそう簡単にソデに出来るわけがない」
印刷と広告 ―― この両面から新聞社は学会に頭が上がらない、つまり“馴化(ＲＣ：じゅんか)”されてしまったのである。学会批判記事を頻繁に掲載していたあの『日刊ゲンダイ』にも、学会関連の広告が出始めたことが象徴的である。
電波メディアでも、同様の事態が起きている。キー局、ローカル局を問わず完全パッケージの学会番組が持ち込まれ、放送されているのがラジオの現状。テレビでは、『母の詩』など、池田礼賛番組がキー局を除くほとんどのローカル局で放映された。新聞社の印刷収入のようなオイシイ話は電波メディアでない代わりに学会関連組織である「富士美術館」の巡回展、同じく芸能組織の「民音」コンサートなどでのタイアップで“手数料”が稼げるうま味がこちらにはある。もちろん、それら学会番組は、学会関連会社が制作するので、局のコスト負担はないし、スポンサー料も学会から入る仕組みときている。●電波、活字メヂィアを制圧する創価学会
以上のように、電波、活字を問わずメディアを制覇しつつある学会にとってうるさい相手は、雑誌メディアだった。ところがここでも同様の異変が起きている。ひとつは、学会関連記事への告訴である。雑誌を司法の場に引きずり出して、言論を封殺するのである。多額の賠償金は、出版社の台所を直撃する。
その一方で、各出版社を学会幹部が訪れ、広告出稿を依頼するというアメも駆使するのである。あらゆる場所に学会員を配置する戦略「総体革命」路線によって、もっとも力を入れて育て上げた弁護士が、こういう時の出番である。要するにメディアは、“怒らせたら”怖い相手である学会に対して、否応なくその軍門に下ってしまうパターンなのだ。しかもそのタブーは、日常的に見えにくいのが特徴である。
例えば社会的事件が起きたとしよう。主犯が学会員であることや、学会組織を通じて行われたものである場合でも、新聞記事に「学会」の二文字は、まず見られない。
例えば、９９年５月１４日、東京・立川市の「創価学会平和会館」内で不倫関係のもつれから女性会員に男性幹部が刺されるという事件が起きた。本来なら学会施設という“聖域”でこうした事件が起きることの異常さをメディアは報じるものだ。ところが毎日に至っては、それを一行も報じなかった。他紙においても学会職員を「団体職員」とし、学会に配慮したことがミエミエの記事だった。ちなみにこの事件の被害者は、聖教新聞の幹部であり、創価学会男子青年部全国副書記長の肩書を持っていた人物だった。
ことほどさようにメディアは堕落したのである。つまり学会報道が変質する中で、学会組織そのもののタブーに挑戦する気迫など、記者自身にも組織にもなくなった。これは企業の不祥事暴露記事を広告出稿でもって自粛させ、差し止めるのとワケが違う。宗教法人は原則、非課税だ。その団体の、大量の広告出稿じたいに疑問を持つべきで、法人としては聖教新聞が存在せず聖教紙の広告は紛れもない宗教広告であることに議論が起きないほど、タブーが貫徹されているのだ。
もちろん創価学会のタブーは、単に広告出稿、番組提供に止まらない。彼らが最も熱心に、功徳があると邁進する選挙活動。その結果として出てくる組織票。この票シバリこそ、少数派を多数派に変身させる強力なテコとなる。
今年１１月の総選挙でも、自民党議員のほとんどが学会票のお世話になっている。とりわけ自民党単独政権崩壊以降、学会への擦り寄り、逆に言えば学会による自民党議員の籠絡はすさまじく、学会票の毒饅頭はほぼ全選挙区に行き渡った感さえある。
メディアが学会批判、タブーへ挑戦できなくなったのと軌を一にして、自民党政治家もまた宗教法人法改正時の発想や勢いを完全に喪失している。タブーがタブーとして存在するのは、恐怖感のイメージがあるからだ。いまや全国の小選挙区で平均２〜３万と言われる学会票がなければ当選できない、あるいは公明党を取り込まねば政局運営に困難をきたすと思う恐怖――。しかし、だ。選挙担当の政治部記者はこう冷静に分析する。
「学会票はそれほど恐ろしいかといえば疑問だ。先般、参議院の埼玉補選があって自民党候補が勝った。勝つには勝ったが、１万票余のいわば僅差だ。２７パーセント台の低投票率で、これしか差がつかなかった。確かに(学会の)支援はいらないと断ったら、対立候補に票を回すと脅されるだろうが、自力で戦う勇気がないから、少数派につけ込まれる」
自民と公明の連立政権成立後、おびただしい反動立法が成立してきた。盗聴法、個人情報保護法、住基ネットワークの稼働。公明党はそのお先棒を担ぎ、ある時は自民党が野党案に妥協する態度を見せれば、ケツまで叩いて成立に加担してきた。
しかし彼らが最も恐れるのは、あの宗教法人法改正論議で巻き起こった「池田大作国会喚問」の再来だ。自民党議員が選挙で恐怖を抱くのと同じように、創価学会・公明党の危機意識、恐怖感はまさにそこにある。内々の会員の前でなく、国民の前で「宗教者・池田大作」が喋らせられることへの恐れである。●封殺された池田夫作の国会喚問
創価学会は、大量の訴訟を起こしている。しかし不思議なことに、対メディア訴訟など一部を除き、そのほとんどは法人が原告ではない。また、理事長(代表役員)が原告のケースはあっても、池田大作本人が原告のものは皆無である。では誰が原告か。圧倒的多数は、末端の会員らである。
聖教紙は、学会(正確を期せば会員)が提訴するたびに大々的に報じるが、民事訴訟で約半分にわたって敗訴している事実は決して報じないのである。末端の会員が敗訴したところで、本体には関係なしとでもいうことなのだろう。これらは、「先生を守るために」という会員独特の行動原理から発したものといえる。
そのために会員は、池田先生に弓ひく者、批判者を徹底的に責めたてるよう煽動、指導される。そのことでひき起こされる冒頭のような事件は、全国には山のようにある。
これらの事件を国会で取り上げれば、それこそ宗教法人法の改正問題、ひいては創価学会の法人としての適格性が問われる事態となる。現に、元公明党都議が東京都を相手取って宗教法人の認証を取り消すよう求めた訴訟が進行している。
票シバリの効用は、そんな議論を封殺するために威力を発揮する手段だろう。学会・公明党はさらに歩を進めて、メディアを立法の力で縛り上げようと腐心している。冬柴鐵三幹事長らがことあるごとに強調するのは、報道被害賠償額のさらなる引き上げと、あらたな規制法案の立案、成立だ。言論妨害事件に遭遇した故・藤原弘達は、著作の中でこう述べている。
〈もし自由民主党が過半数の議席を失うことになった場合、公明党に手をさしのべてこれとの連立によって圧倒的多数の政権を構成するならば、そのときは、日本の保守独裁体制が明らかにファシズムヘのワンステップを踏み出すときでないかと思う〉。
２５年前、小泉首相の親分である福田超夫政権に年明け早々、嬉しいニュースが飛び込んでくる。公明党が党大会で、自衛隊を認知したのである。同党が、明らかに政権志向を持ち始めたのはこの時だった。７０年前後まで学会は、自力で政権を奪取して、日蓮正宗を国教化することを目指していた。言論事件などで指弾を浴びた彼らは、その看板を降ろし、自民党との連携を模索し始めたのである。
それと同時に、当時の中選挙区制の中で派閥候補に票の恩義を売って、ウラの選挙協力が行われるようになった。小選挙区制導入で力を削がれると、政治記者の誰しもが公明党の退潮を予測した。しかしその予測は外れ、ついに今回の総選挙において、自民党池田派または、自創(公)政権とも呼びうる権力の図式が完成したのである。こうしたカネと票にものを言わせた学会の「力」が、今後は一体どこに向かうのであろうか。
公明党の政策がいかに微温的で、中途半端に見えても、その支持母体である学会は「平和」、「人権」を標榜するのとは裏腹に、非常に攻撃的な団体だ。先に述べたように、読者に投票を依頼したり、聖教紙の講読を勧める学会員は、一見優しくかつ親切だろう。しかし、もし実際に入信し、そして疑問を持って辞めると言い出せば、徹底的な嫌がらせが待ち受けているのだ。●恐怖にもとづいた学会の組織支配
学会は９２年、日連正宗から破門された。これは通常の宗教紛争と異なり、本山が信徒を破門したのである。この時以来、創価学会は、本山、末寺僧侶、本山側の信徒団体に激しい攻撃を加えてきたが、その一方で「創価ルネッサンス」と称して独自路線もとり始める。本山側は収入面も含め、大きな打撃を受けることを覚悟で、学会を切った。
もともと創価学会と本山は別の宗教法人なのだから破門されれば別の道を歩めばいいだけのことである。にもかかわらず本山への憎しみ、怨念は一向に収まる気配はない。この例に如実に示されるように、池田大作の意図がそうと決まれば、信教の自由などどこへやら、宗教戦争を厭わぬ組織の本性を露にする。
いつ何時、その風向きが変わるか――。多くの他宗幹部は、そのことを一番憂えている。
実際、そうした宗教戦争に嫌気がさして脱会する会員もいる。が、日常生活がまともに送れないほどの攻撃を、かつて自分が脱会者に仕掛けていたこともあって恐怖感は消えない。
「辞めたらどんな目に遭うのか」。おそらく創価学会最大のタブーだろう。恐怖をベースにした組織支配、いや、池田支配といっても過言ではあるまい。創価学会は、カネと票を使って、政権与党にその別動隊が食い込み、メディアを徹底的に封殺していても今なおこう考えている。「不当空言論で中傷されている。ありもしないことで批判を浴びている」。
いつでも自分たちは被害者で、理解されない。そして、組織を拡大すれば、必ず魔物が現れ、行く手に立ちふさがると彼らは教えられ、信じ込んでいる。この理屈でいくと、いつまで経っても彼らの敵は現れ続けることになり、誰かを血祭りにあげねばならない行動原理が導き出される。恐怖を母とし、憎悪を父とするこの宗教組織の恐ろしさは、一貫して変わっていない。(ＲＣ：独善的な“折伏”を止めれば良いのだが……)
それが証拠に、池田大作が言論事件で詫びたにもかかわらず、同種の事件は次々と起きている。あの時のように、国民世論が沸騰しないのは、事件をまともにメディアが報じないからでもある。かつて新聞は、学会批判記事を掲載すると、「不買運動を起こしてやる」と脅されたものだった。しかし１月２０００円弱の聖教新聞を広布のために２部、３部と買い込んでいる会員も多い。一般紙を買うほどの経済的余裕はないはずなのだ。従って、不買運動など恐れることはないのだ。
憎悪と恐怖で形成された集団が、表向き柔和な顔をして立ち現れても、誰が信用できようか。しかも彼らは、人口比では少数派だが、組織的にはすべての面で日本一だ。輩出される人材は、中央官庁、大手企業、そして法曹界、教育界、さらに警察組織にも存在する。創価学会員であることの「会益」と、社会的な「公益」のどちらが優先されるか。
このような選択を迫られた時、政治と宗教が別々であるなら、おそらく問題は起きまい。それに反して、創価学会と公明党のように政教一致の関係であると、何が起きるか自明だろう。現に、ドコモを舞台にした通話記録盗み出し事件において、学会員のひとりは、学会に対して批判的な人物の通話記録も盗み出していた。その明白な事実があるのに、警察は立件すらしないのである。藤原弘達がかつて予言してみせた状況は、「今、そこにある危機」として、我々の目前に差し迫っていることを忘れてはなるまい。〈敬称略〉（貼り付け終了）
巣鴨プリズンの話は、児玉の「獄中獄外」で、明快に書いていることですが、彼らは基本的に単独房です。ただ、同じところにはいるので、散歩のときなどに会話はできました。児玉の日記にも、今日は笹川と話した、誰某と話した、というのが頻繁に出てきます。
『日本の秘密』弓立社 のＰ６５から貼り付け（貼り付け開始）
それは巣鴨プリズンから始まった
岸信介の戦後の出発点は、巣鴨プリズンの中からであった。
米占領軍当局は、Ａ級戦犯容疑者の岸を巣鴨で尋問した後、この戦前の超国家主義者が戦後日本における共産主義の急激な拡大を阻止するために、役に立つことに気がついた。岸が児玉誉士夫、笹川良一とおなじ拘置所に留置されたのは、おそらくそのためであろう。三人はそれぞれ絞首刑を免れることと引き換えに親米的な特殊任務を担った――岸は政界において、児玉は右翼運動と政界のフィクサーとして、笹川は政府公認の競艇の収益から得るカネを世界中にばらまく「国際的な慈善家」として。『軍隊なき占領』グレン・デイビス、P.113)岸と児玉と笹川良一の３人は、何と、拘置所内の同じ房に入れられていた。この事実に、日本の戦後の出発点があった、と言っても過言ではない。そして３人は、東条英機ら７人に絞首刑が執行された翌日である、４８年１１月１３日の夜、突然、不起訴処分が言い渡され、釈放されている。その様子は次のようになる。
東京では、占領軍による戦犯容疑者の裁判が進められていた。ＧＨＱが逮捕したＡ級戦犯容疑者のうち最終的には１９人が残り、第２陣として起訴される予定だったが、東条英機らの刑が執行された翌日、残りのＡ級戦犯容疑者は全員、釈放された。そのなかには、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫がおり、この３名は全員、ジャパン・ロビーの後ろ盾を得て、それぞれの分野で特別な役割を演ずることになる。 (前掲書、P.99)日本を「反共の防波堤」にするために必要な人材は全て活用する、というアメリカの戦後戦略の中で日本人は、このように動かされてきた。国家指導者から官僚、財界人、旧軍人にいたるまで、登用されるべき人々は、全て登用されたであろう。しかし、このことは、岸信介系の人々だけが、ことさらアメリカの手先になったということではない。吉田茂系だって同じようなことをやって動いている。しかも、ここにも当時の「財界四天王の筆頭」であり、ジャパン・ロビーの小林中が顔を出す。
げんに、吉田茂が政権をとって宮島一清次郎、日清紡会長一が協力者第一号として引き込んだのが小林だった。
「実は宮島さんは金づくりには最も不向きな性格で、だからぼくとか桜田武などが手下として働いたのだがね」(小林中＝阪口昭・前出書)
同書の中で、小林は５３年３月の、いわゆる“バカヤロウ解散”に伴う総選挙のときに、吉田茂から直接電語を受けて、当時、日興証券の会長だった遠山元一に頼んで３千万円、そして池田勇人、佐藤栄作をまるで手下のように使って銀行筋から２千５百万円、合計５千５百万円の資金を１日でつくった経緯を次のように克明に語っている。
「解散するその日の朝だったかなあ、吉田さんから電話があって、『ちょっと話があるから来てくれ。いま使いの者を出すから』というんだ。
(『総理を操った男たち』田原総一郎、講談社文庫、1989年刊)このような政界実録ものは、国内ジャーナリストたちが得意とするので、私は立ち入るまい。
岸信介と児玉誉士夫と笹川良一の３人は、同じ房の中で「僕たちが釈放されることはないよ」と語り合ったことに自伝ではなっている(『獄中獄外――児玉誉士夫日記』廣済堂出版、1974年による)。しかし、このとき既に、児玉は着々と生還への布石を打っている。児玉は、アメリカと取り引きをしている。それは、旧軍の隠匿物資を米軍に差し出すことであった。
この時点で、児玉はすでに米情報機関と協力関係を結んでおり、情報機関の介入により彼および彼の友人が釈放されたことは知られている。ハリー・カーンとＡＣＪの共同会長ウィリアム・キャッスルの手紙のやりとりから、以前中国で活動していた日本の情報局員をアメリカが雇い入れていたことが浮かびあがる。そのひとりが児玉であったことは複数の資料からあきらかだ。彼の得意とするところは、稀有金属(レアメタル)の調達と密輸だった。戦犯容疑者として米当局の尋問を受けたとき、彼は、戦前、「昭和通商」という商社の仕事をしていたことを打ち明けた。
アジアの国ぐにで戦略物質、とくにタングステンを得るために日本のヘロインを売っていたのである。それどころか、児玉が戦争中「児玉機関」(日本海軍の民間の代行機関)を通じて収集したレアメタルの財宝(ダイアモンドやプラチナ)は、占領中アメリカ軍政府により一部没収された。
残りは、１９５５年の自由民主党の創立のための資金に回された。(前掲書、P.100)児玉が、海軍の倉庫に隠してあったタングステンなどの戦略物資を敗戦後いちはやく確保して、これをアメリカ軍の退役情報将校たちと山分けすることで巨利を得ていたことは、日本国内の戦後秘話でも語られている。そして児玉が同じく確保していた、戦時供出させられたダイヤモンドの大袋が、１９５５年の保守合同の際の資金になったという話もよく知られている。それらの話を一部裏づける文が、この文である。チタンやタングステンは、ミサイル弾の先頭部に必要であり、あるいは、戦車の前面甲板の強度を保つのに必須なので、アメリカ軍がひどくほしがったからだ、という説明もある。それらは朝鮮戦争時の兵器製造に貴重視されたであろう。
それから、これらジャパン・ロビイスト及びその日本の受け皿(カウンター・パート)たちはどうなったか。１９７０年代なかばに、カーンの日本での政治基盤をゆるがしたロッキード事件が表面化し、(アメリカが支えた)パーレビ国王を打倒するイラン(ホメイニ)革命が発生した。岸はかなり前に引退していたし、ハリー・カーンも日本での足場があやうくなっていた。アドナン・カショギはロッキード事件で正体をすっかりあばかれ、その２年後には川部美智雄もグラマン事件でカーンとともに仮面を剥がされた。(前掲書、P.126)１９７６年２月にアメリカで発覚したロッキード事件で、田中角栄と児玉誉士夫が逮捕・起訴された。つづいて２年後の１９７９年１月にダグラス・グラマン事件が起きた。岸信介はこれらも上手に生きのびた。田中角栄は、８５年２月に脳出血で倒れるまでずっと刑事被告人のまま、自民党の最大派閥を率いた。自民党の長老職にあった岸信介が、党の外から自民党を動かす田中角栄に向かって「もう引退したらどうか」と御意見した。そのとき田中は、「岸さん。あんたも巣鴨の塀の中から生きて帰ってきた口じゃないか。人のことが一言えるのか」と言い返している。 (書き下ろし)
（貼り付け終了）
ＲＣ：ここから番外編です。
『週刊文春』文藝春秋社 １９７６年２月１９日号、「特集 ロッキード・スキャンダル 児玉誉士夫氏につながるトップ紳士３８人の名鑑」Ｐ２６から一部貼り付け
（貼り付け開始）
塚本素山氏(塚本総業社長)が創価学会の隆盛に一役買ったことは知られているが、塚本氏もまた古い知人とされている。
（貼り付け終了）
『増補新版 池田大作 金脈の研究』野田峯雄、第三書館のＰ２１２から一部貼り付け
（貼り付け開始）
塚本総業は戦後の怪商の一人といわれ黒幕・児玉誉士夫たちと親交が厚かった塚本素山の会社である。彼は旧陸軍(東部軍)物資を横流しして事業基盤を築き、朝鮮戦争やベトナム戦争で武器などを扱って大儲けしたいわゆる死の商人でもあった。また児玉たちと組み、出所不明の巨額闇資金にかかわり(たとえば６５年に発覚した千葉銀行事件)、政財界の裏舞台を俳個し続けた熱狂的な反共主義者でもあった。彼が創価学会員になったのは５０年代の前半。戸田城聖第２代会長の時代である。その約８年後の６１年、第３代会長に就任した池田はわざわざ顧問のポストを新設して塚本を日蓮正宗法華講初代会長の平沢益吉および戸田城聖の遺児の戸田喬久(当時・三菱銀行勤務)とともに迎え入れている。
池田は塚本を介して児玉と知り合い、ほどなく直接結びついたという。少なくともロッキード事件が起こるまで北條浩理事長(当時)がたびたび児玉邸の門を出入りしていたことは周知の事実である。６１年８月２日付の聖教新聞は塚本の横顔をこんなふうに紹介していた。
「恩師戸田先生からも信頼を受け、その純真な信心と努力によって、現在、日本でも一流の実業家として築きあげてきた人。会長池田先生も深い信頼をおかれていた」ＲＣ：更に２３０から貼り付け
笹川良一と二人三脚
大田区の工場や木造民家やマンションなどの密集した大森南と糀谷の間を西から東へ、新呑川(護岸を含む川幅３５・３メートル)がゆっくりと流れている。黒い水面が真昼の太陽にテラリと光っていた。
池田大作の親族やかつての同級生や仲間たちの住まいはこの川の南北に散在していた。郷友会の世話役の一人だった茨田鏡次さん(工場経営者)はこう話す。
「池田は吉田絃二郎(人生の悲哀や流転や死や自然を詩的・感傷的に描いた大正から昭和にかけてのクリスチャン作家)を好きだった。きれいな心の持ち主でした。他方、彼は須山さんの話を聞いて政治に関心を抱いたのではないでしょうか。私たちは銀座７丁目の松村眼鏡店の２階の笹川(国粋同盟)の事務所へいったことがあります。そのとき、池田はいっしょじゃなかった。でも、彼は別の機会にいっていると思う」
同じく郷友会の一員だったＳ・Ａさんは、こう断言した。
「池田は確かに銀座の国粋同盟の事務所へいっています。彼は右翼によって政治の洗礼を受けたのです。もしくは扇動の心構えのようなものを刻印されたのです。選挙では豚箱に入る覚悟でなりふり構わず猛然とやらなくては勝てない、と須山さんはいっていました。勝つか負けるかだ、と」
勝つか負けるかいみじくも池田が９３年３月１２日の埼玉指導の席でこう力説していたのを思い出す。
「全員が『勝つ』と強く決めていけ。勝つか負けるか。やられたらやり返せ。世間など何だ。私は恐れなど微塵もない。勇者は私だ。私だけ戦っている。強気でいけ。強気で勝つんだ。強気。強気。強気。強気……でいこう。どこまでもしぶとくいくんだ。……怒鳴っていけばいいんだ」
また、池田は折に触れ「仏法は勝負である」と叫ぶ。その信念は堅い。
このような郷友会時代の鮮烈な刻印とみえなくもない池田のいくつかの言動のうち、けっして見落とすことができないのは右翼とのつながりそのものである。いままで池田＝創価学会はしばしば笹川や児玉と二人三脚を組んできた。たとえば、７６年から８３年まで約７年間にわたって続いた『月刊ペン』裁判(池田の女性関係の暴露問題)において北條浩(故・７９〜８１年＝学全第４代会長)が笹川にモミ消し工作を依頼し、そのあと池田が東京信濃町の学会本部前の高級料亭「光亭」へ笹川を招いて会食したことは周知の事実である(ちなみに笹川と児玉の結び付きは戦前から。児玉と池田の関係は前述)。つまり、「郷友会」は池田創価学会をめぐるいわば悪の連鎖の芽生えを示唆しているようなのだ。信仰とは相容れない闇のビジネスの文字通りの起点のような感じすら与える。実際、そうだからこそ彼は「郷友会」を偽装抹殺したのではなかったろうか？（貼り付け終了）
ＲＣ：笹川良一との関連で同様の記述がありました。 『カルトとしての創価学会＝池田大作』古川敏明、第三書館のＰ１５９から一部貼り付け
（貼り付け開始）
語られることない青春時代の池田大作と右翼との接点
「空白の青春時代」という言葉があるように、あてもなく彷徨い、戸惑い、悩みながら将来の人生行路を探し歩いていたなかに、その後の道のりを決定づける要因がえてしてあるものだ。
池田にとっては、戸田城聖との出会いが最も大きかったのは間違いないが、その「郷友会」時代には、池田の思想遍歴を探るうえで、非常に重要と思える「ヒント」がある。それは右翼とのつながりである。
その郷友会のメンバーの中心にいたのは、池田よりは６歳年上の、須山秀吉という一般にはまったく無名の人物だった。
ポツダム宣言受諾後、天皇の無条件降伏を録音した玉音放送が昭和２０(１９４５)年の８月１５日に流れ、戦争は終結するのであるが、軍部や右翼の一部が徹底抗戦し、その中に右翼の摺富士夫をリーダーとする尊援同志会のメンバー１１人が愛宕山１(東京・港区)に立てこもった。しかし、警察に包囲された彼らは、児玉誉士夫の武装解除の説得をも受け入れず、最後は全員が丸くスクラムを組み、その真ん中に手榴弾を投げ込んで、自害を図った。その唯一の生き残りが、この須山秀吉だった。
須山は、当時、森ケ崎に住んでいで、笹川良一が率いる国粋同盟(のちに、ＧＨＱによるパージで「全国勤労者同盟」と名を変える)の青年隊長でもあった。
池田をよく知る郷友会のメンバーの１人が言う。
「これは池田にとってはタブーですが、彼は決して、長い付き合いではなかったけれども、池田は須山さんの影響を強く受けています。彼は須山さんに政治の洗礼を受けたのだと思います。こうした体験が、政治的に自民党とくっつく契機になっているのではないでしょうか。
郷友会のメンバーは、須山さんの家に行き、いろいろと彼から政治の話を聞かされましたが、初めて行ったとき、机の上にヒットラーの『マイン・カンプ(我が闘争)』があったのを覚えています。須山さんは選挙の大切さを熱心に説いていて、『(選挙の際は)だれかがブタ箱に入るのを怖がっていてはダメだ』って言ってました。(昭和３２年の)大阪での選挙では、実際に池田はブタ箱に入ったわけですから、それは須山さんが言った通り、覚悟していたのだと思います」
須山はもともと体が弱く、晩年には結核を病み、１９６５(昭和４０)年ごろに亡くなったという。右翼へは、一般には、政治目的で利用しようとして入る人間と、純粋な思いから入る人間と２通りあるが、須山は後者のタイプだった。親分の笹川良一に頭を下げれば、モーターボート関連のアガリに与かることができたはずだが、それを潔しとせず、森ケ崎の町工場のプレーナー工として生計を立てていた。そして、生涯独身だった須山は、後年は右翼を批判する方向に行ったというが、おそらく、こうした生きざまも含めて、池田の心を強く捉えたのかもしれない。
この郷友会のメンバーによれば、池田はこのメンバーと一緒に、銀座にあった笹川良一の国粋同盟の事務所にも出入りしていた。「ですから、そこで池田は笹川良一や児玉誉士夫に会っているはずだと思います」ともいう。池田はその後、創価学会会長のポストを手にしたことで、「天下取り」の道をひたすら突き進む。その中で例えば、１９６９年に当時毎日新聞記者だった内藤国夫が著した『公明党の素顔」に対し、笹川良一が内藤と会い、「私がその本を全部買い取りたい」と裏取引を持ちかけるなど、しばしば右翼人脈との関係が取り沙汰されることになるが、そのルーツは、実は「郷友会」時代にある。
（貼り付け終了）
（続きます）
ＲＣ：次は、創価学会であまり語られる事がなかった話です。塚本素山氏の影響でしょうか。「組合破り」をやっていました。 『大宅壮一文庫 雑誌記事検索総目録』１９８５年６月１日 財団法人大宅壮一文庫のＰ１１６６から一部貼り付け（貼り付け開始）
０００９ “創価学会”攻勢 炭労を食い破る？！ 右翼陣も感心する“活動” 毎日新聞 １９５７．６．１５
００１０ 週間レーダー 衝突した“現世利益” 炭労と創価学会 Ｐ１４ 週刊サンケイ １９５７．６．１６
００１１ 創価学会の“細胞”炭労など食い荒らす 朝日新聞 １９５７．６．２７
００１２ 組合運動に“法難”創価学会と対決する炭労 週刊朝日 Ｐ１１２ １９５７．７．７
００１３ 創価学会 炭労に大攻勢(鈴木一郎) Ｐ２０ アサヒグラフ １９５７．７．２１
００３７ 三池に潜行する創価学会 信者を中心に第二組合結成か？ Ｐ１２ 財界 １９６０．４．１（貼り付け終了）
ＲＣ：別の面から意外な人脈が浮かび上がってきました。
『週刊新潮』１９８０年１０月９日号、「ＣＬＵＢ 銀座ネオン街を支える創価学会員たちの生態」から一部貼り付け
（貼り付け開始）
銀座の学会員ホステスの溜り場は、意外にも、あの東亜相互企業の『シルクロード』や『デロア』だったのだという。東亜相互の社長だった町井久之氏の夫人が、実は“折伏七百世帯”の実績を誇る熱心な学会員で、そのために、他の店で煙たがれた信者ホステスたちが、寄り集ってきたのだそうだ。「だから、矢野書記長や竹入委員長も、よく、あそこの店には来ていました」と元従業員。
（貼り付け終了）
『東京アンダーワールド』ロバート・ホワイティング著 松井みどり＝訳 角川文庫 12440 のＰ１０３から貼り付け
（貼り付け開始）
もう一人、見逃せない人物がいた。東京の悪名高き暴力団の親分、町井久之である。
身長１８５センチ、体重９１キロ。容貌だけでもかなり凄みがあるのに、かならずボディガードを伴ってやってくる。“ボディガード”といっても、体重はほんの５０キロ足らず。韓国武道テコンドーの達人だとはいえ、体格が雇い主の半分というボディガードは、この街でもごく珍しい。親分を店内に入れる前に、彼はあらかじめ独自の方法でくまなく店内の安全確認をする。その厳密さは、皇太子の警備にまさるとも劣らない。店の外では、武装した十数人の子分たちが見張りにつく。
町井は、戦後の暴力団組織＜東声会＞（ＴＳＫ）を率いている。千五百人のメンバーは、おもに韓国人のごろつきだ。
彼らのライバルに、生粋の日本人から成る＜住吉会＞という暴力団があった。住吉会の前身は、戦前のバクトで、起源は明治時代にさかのぼる。その住吉会と東声会は、西銀座の縄張りをめぐって血戦を交え、東声会が勝利したばかりだった。
にわか景気にわきたつ西銀座界隈には、バーやキャバレー、パチンコ店などがびっしりと軒を連ねている。東声会は、その用心棒代や借金の取り立て業、および、韓国人のスリ・グループに“操業権を貸しつける”権利を、手中におさめたことになる。力道山の試合の興行も、数多く手がけていた。（貼り付け終了）
河北新報ニュース（２００２年９月２１日）から貼り付け
（貼り付け開始）
町井久之氏が死去 故児玉誉士夫氏の側近
右翼の故児玉誉士夫氏の側近として知られた東亜相互企業社長の町井久之氏が１４日午前５時ごろ、東京都内の病院で心不全のため死去したことが２１日、関係者の話で分かった。７９歳だった。
葬儀・告別式は１８日に東京都港区の自宅で近親者だけで行われた。
在日韓国人で、本名は鄭建永。戦後、暴力団「東声会」をつくった。その後、実業界に転身し東亜相互企業の前身の「東亜友愛事業組合」を結成、日本と韓国を結ぶ関釜フェリーなどの事業を手掛けた。
韓国の政界要人ともつながりが深かったほか、プロレスラー力道山（故人）と親しく、さまざまな支援をしたことでも知られる。
(09/21 13:16)（貼り付け終了）
ＲＣ：東声会は、住吉会と西銀座の縄張りを巡って争っていたので、山口組と関係があるようです。
『増補新版 池田大作 金脈の研究』野田峯雄、第三書館のＰ１１９から一部貼り付け
（貼り付け開始）
ホステス学会員たちすら「白百合」や「なずな会」(全国組織)と称するグループをもっている。
（貼り付け終了）
『諸君』１９８１年９月号 文藝春秋 から貼り付け
（貼り付け開始）
「昨日の師・池田大作への手紙」第２部
池田大作“天下取り”秘中の秘策
山崎正友（元創価学会顧問弁護士）１：貴方の“天下取り構想”の根底には、“三国志”があります。そしてそれは万年野党の社会党や共産党と組んずほぐれつの“三国志”ではなくて、議会の第３勢力として、キャスティングボートをにぎったら日本株式会社の上部構造である、自民党内での主導権争いに参加する資格をもつことこそが、秘められた“三国志”の構想であり、貴方にとって“本命中の本命”の戦略であります。（中略）
もちろん、日本のエスタブリシュメントの構造が貴方のようなウサンくさい成り上りものをパートナーとして、容易に体制内にうけ入れるとは考えられません。あくまで突っかえ棒であり、体制外の協力者に止めておくよう努力するでしょう。
しかし、貴方の方もそのカベをどう突破するか、そこのところは読んでいます。“日本株式会社の支配層は、下からせめてもだめだ。幸い、議会政治、議院内閣制という制度では、人の数を結集して議席をとり、上から押えれば官僚も財界も支配できる。現に自民党では、成り上りの異端者(ＲＣ：田中角栄)でも、金力で力を持つことができるではないか”と考え、そしてその力の源泉としての人集めの手段として、人の内心を完全に支配する方法即ち宗教をより利用するため“仏”になることを考えたのでした。（Ｐ１７７）２：私は、世間から軽んじられ、権力者が、“反共の犬”扱いして軽くみている間に、いわば盲点になっている間に、いつの間にか権力の座に手がとどく位置についている貴方に、ヒットラーが政権を奪取したプロセスに似たものを感じて、危惧をいだいています。そういえば、ヒットラーの“我が闘争”も、貴方と側近幹部の必読の書でした。（Ｐ１７８）（ＲＣ：田中角栄は、“池田大作を法華経を唱えるヒットラー”と呼んだ）
（貼り付け終了）
ＲＣ：敢えて「池田大作」を中心にした図を作りました。児玉誉士夫と笹川良一の両方に繋がっていた事が、後に役立ったようです。(日本四大闇組織)
野中広務
｜
田中角栄
｜
小佐野賢治
｜
児玉誉士夫 ―― 塚本素山 ―― 池田大作 ―― 笹川良一
｜ ｜ ｜
町井久之――――――――――――｜ 笹川陽平
｜
山口組
｜
後藤組ＲＣ：公明党は「反戦・平和」の党と宣伝していますが、昔は、塚本素山という“死の商人”が創価学会の顧問になっていました。この団体もいろいろあるようです。
皆様、よろしくお願いします。「自衛隊のイラクへの派遣」＝「米国が日本に課した踏絵」のような
気がします。米国のイラクへの侵攻は、
今後の「米国の対中国政策＝中国封じ込め戦略」の一部でもあると
考えられます。米国が今後の中国封じ込め戦略を行う上で、
日本を米国側にする必要が一層高まります。「日本の自衛隊のイラクへの派遣」という問題を日本に突きつけることで、
日本に「中国か？」、それとも「米国か？」の選択を、
イラク派遣という踏絵で、確かめようとしてるような気がします。今までのように日本が優柔不断な外交政策
（のらりくらりとはぐらかすような、本音をひたすら隠す外交政策）を、
行えないように、
コーナーに追い詰められているように見えます。ちなみに、
台湾とキリバス？が、公式な外交関係を成立させたようです。
キリバスは、中国から、台湾に乗り換えました。
台湾の変化を、さらに注意してウォッチしないと、
重大な変化を見逃すかもしれないです。一方、中国は、インドとの関係を良くしようとしてるようです。
刻々と環境は変化しているのに、
その変化に日本政府、指導者層は、
今まで以上に対応できなくなってるような状況に見えます。
通貨とは鉱物や米を通じたエネルギーの相対化である。エネルギーの相対化がさらに進むと紙幣になる。相対化とは何か。ラチオのことである。エネルギーという絶対的なものを相対化する（ラチオ）とき通貨を生み出すことができる。エネルギーから通貨を借りるから金利が生じる。全ての覇権通貨は金利を含む時間軸上にある。だから全ての覇権通貨は長期的に目減りする。長期的な覇権通貨の価値減少によって属国に金利を支払わせ続ける。この金利が権力の実体である。インターナショナリズム、リバータリアニズムは絶対権力（王権神授）から権力を奪った通貨覇権（相対権力、ラチオ）を覆い隠す道具として使われてきた。世界の田舎ではこれを左翼とも言う。
ラチオ（相対化）は発展し近代を生む。今度はリスクという時間軸上のエネルギーを分割する。当時の資本家は交易によりアジアに埋没したゴールドをヨーロッパへ逆流させる必要があった。そのために海賊を雇い、軍隊としてアヘン戦争までおこしたのが東インド会社である。戦争という最高のリスクを分割する（ラチオ）ために株式がオランダで生み出された。株式なるリスクの相対化はゴールドというエネルギーを奪い返す軍隊の派遣のために生まれた。オランダでは絶対権力を分割し、つまり相対化（ラチオ）、近代資本主義の他、近代民主政体と近代法が生まれた。ラチオの思想が発展して近代が生み出されたということはこういうことである。小室氏が印したオランダの３大相対化（ラチオ）以降を近代という。これ以外の近代の定義は芋であり無意味である。勝手にどうぞである。
証券会社はリスクを分割しSecuritiesと呼ばれる。Securityというのは安全のことではない、リスクの相対化のことである。株式によりリスクを分割すると逆に大きなリスクをとることができるようになった。巨大なリスクを個人的に最も低いリスクで行使し利益を得ることを資本主義という。時間軸においてリスクをとることをポジショニングという。時間というエネルギーを分割するのだから絶対から相対の世界に入るということである。市場はあらゆるエネルギー（株、商品、時間）を相対化する場である。日本株は持ち合いを強制的に解除され売りが集中し下がりきったところで欧米、アジアの外国人が買って外国資本率は大きく伸びた。外国人は株のような相対的世界ではラチオが重要であり株価の上下が二の次であることをよく知っている。持ち合いによってリスクをヘッジしていたのだから日本は株式＝資本主義の基本を有していた。500年前の株式発祥と思想的に何も変わっていないヘッジファンドには株式持合いというポジションが赦せなかったのだろう。
Godが絶対であるからあとは相対の世界でしかありえない。Deus ex machina. とはそういうことである。Secularな世界は所詮、相対的な世界でしかない。SecularとSecurityは語源が同じではないだろうか。Secularな人生とはアメリカ人にとってポジショニングである。何時どこでどのように、どの程度のリスクをとるかを決定する事である。これがアメリカ人のhuman doctrineであり、世界観である。アメリカ人の30％は実際に株式取引を行い、公的資金や年金が株式市場へ色々な形で投資され運用されている。つまりほとんど全てのアメリカ人が株式市場に関係して様々なポジションを取っていることになる。株式取引を行わないアメリカ人の家庭にも年金の運用成績が毎月郵送されてくる。田舎のボイラーマンの年金はフィデリティーという投資会社を通じて極東の三井住友FGの株を購入し20％の利益を得ていることは郵便物を少し読めばわかることなのだ。株式の取引経験のない人が果たしてアメリカを論じることができるかどうか大変疑問である。あるゆる分野においてである。日本人の株取引率は5％、アメリカを論ずる職業人の株取引経験率はそれ以下だろう。勝手にどうぞである。それでもお金のことはお上に任しておけば安全だと信じている人々の預金と年金は今後次々と株式市場へ放り込まれていくだろう。
ラチオは相対化であり、全体と部分の認識である。上流だけでなく下流、ミクロの把握がなければラチオではない。今春からの日本株上昇をはずした評論家には中国経済発展や日本株の持ち合い解消というミクロの視点がなかった。
以上、ラチオという重要な概念を何度も著書に記して80年代から日本へ紹介しているのは藤原肇氏である。通貨や時間がエネルギーであるというのも彼の思想である。エネルギー支配が政治経済の上位次元であるというマクロの視点とオイルビジネスのミクロな視点の双方がなければラチオは明確にならない。
小山みつねさんへ。どうもありがとうございます。
助かりました。
標記の本が、最近本屋に並びました。この本の第２章では「“属国”日本のプロフィール」と題して、日本が中国との付き合い昔の時代から以下に属国であったかを記述しています。属国という言葉を沢山使用しています。ただし、副島隆彦氏についての言及はありません。 正面突破を図るつもりのようです。（本の紹介ページの転送開始）
http://www.j-n.co.jp/books/index.html「アメリカからの“独立”が日本人を幸福にする」
カレル・Ｖ・ウォルフレン
四六判上製 200ページ
2003年12月06日 発売
本体 1600円 + 税
ISBN 4-408-32202-4
在庫あり
世界秩序を守る存在から、世界を混乱に陥れる“帝国”へと変貌しつつあるアメリカ。そして、相も変わらず“属国”としてアメリカに追随する日本――。
イラク戦争の混沌に巻き込まないために、そして北朝鮮問題で道を誤らないためには、日本は一刻も早く真の政府をつくり、本当の独立を果たさなければならない。
時代を代表する国際ジャーナリストが、アメリカの本質と日本の課題について、鋭く切り込む。
（本の紹介ページの転送終わり）
こんにちは、小山 みつね です。ＹＫ（１０４４） 様へ。
拙論に注目していただきどうもありがたうございます。＞＞＞＞＞☆批評のような言葉を口にした時、その後で何か後ろめたい気持ちになることがある。ああ言ったけれど「俺は本当はもっと別のことを考
えていたんだけれど…」。表現というものは必ず、沢山の落ちこぼれゆく事実のうちに成立するもののようだ。
（[4186] 間宮陽介『丸山真男』（１／２）ＹＫ（１０４４））↑上 いいですね。
「沢山の落ちこぼれゆく事実」を、以下、落穂拾ひしていきませう。
＿＿＿丸山真男関連では、『論理の方法』小室直樹 の丸山評が鋭いですね。「丸山は、東洋政治思想史の学者としては、たいした事はない。資料の扱ひ方からし
てなつてゐないから。四次資料（！！）とかに依拠してゐる。しかし、丸山のすごさは、そんなところにはない。モデル思考ができたこと、これが 丸山のすごさ
だ」といふものです。
＿＿＿小林正弥（こばやし まさや）千葉大学教授もなかなか鋭い丸山研究書を出していた。（共産党系？ なのが難点かな？？）
http://homepage2.nifty.com/kobayashizemi/top.htm「丸山真男論―主体的作為、ファシズム、市民社会 公共
哲学叢書
小林 正弥 (編集)」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4130301292/qid=1070698347/sr=1-1/ref=sr_1_0_1/249-1559477-0232346小林正弥氏によると、丸山真男は、
初期（研究者）
中期（政治評論家）
後期（引退期）に分かれるといふ。「丸山真男は３つの顔持つてゐる」といふことです。
この仮説が正しいと仮定すると、私の評価は、
初期（研究者 戦前）・・・まあまあ
中期（政治評論家 戦後−60年安保のころ）・・・まったくダメ
後期（引退期 60年安保−退官・引退）・・・得に業績なしといふところでせうか。
＿＿＿最近、『挑発する知』 （姜 尚中 (著), 宮台 真司 (著) 単行本（ソフトカバー） (2003/11/30) 双風舎 ）なる本を立ち読みした。
姜 尚中 氏 が 宮台 真司 氏のことを「丸山真男の真の後継者」 とて評価してゐた。少しびつくり。（藁）
論駁したいことがたくさん書いてあつた。ここでは、省略。（小山 みつね 記 書き散らし）
以上。御無礼。
＿＿ＰＳ．今から 飲み会がありま〜す。行ってきま〜す。（爆）
こんにちは、小山 みつね です。よしかわ邦弘 様へ。
（２ちゃんねる ）
（転載）
http://money.2ch.net/test/read.cgi/eco/1069204220/738 ：金持ち名無しさん、貧乏名無しさん ：03/12/06 08:32
[4188] ある架空の会話―イラクでの日本人外交官殺害事件での日本国の対応をめぐって
>本当は、次の日に、副島隆彦氏がこの会話の内容を人づてに聞いて、
>「栗山氏が典型なのだが、日本人は、願望（こうだったらいいなあ）
>と事実認識（こうなのである）とを明確に区別することができない」
>と解説するような箇所と最後に付け加えたかったのですが、あいにく
>小生がその箇所の出典を見つけることができませんでした。
>どなたか、副島隆彦氏の著作・発言の中で、このような箇所があれば、
>ふじむら掲示板に投稿いただきたいのでよろしくお願いします。みつね君、もしこの箇所であれば、ふじむら掲示板に転記してください。
（ほかのひとでも、かまいませんが。私は遠慮します。）〜「続・英文法の謎を解く」p.155〜
「私は思う」は、個人の主観的判断であって、自分の意見の表明である。
このことと事実の客観的記述は異なる。ここの区別が日本人は弱い。
私の知る限り、事実 facts なのか、個人の主観的な意見 opinion なのか、
区別をつけながら慎重にしゃべっている日本人はあまりいない。
私は知識人層の人々を含めて、この「事実」と「主観」の区別を自覚しながら、
ものごとを考えている人間に日本であまり出会ったことがない。http://money.2ch.net/test/read.cgi/eco/1069204220/
（終了）
（２ちゃんねる）（小山のコメント）
なぜ私が名指しされたのか ｢謎｣｢謎｣｢謎｣？？？？ ではある。
自分で投稿すればいいのに。ＣＯＭＥ ＯＮ ！！
なぜか、たまたま私も「続・英文法の謎を解く」p.155」を手元に持つてゐたので、早速確認しました。上記の引用は正しい
です。以上。御無礼。
Ｐ．Ｓ．
よしかわ邦弘様。
「重掲」の拙論に注目していただき、感謝します。
>ＢＢＳを一通り見たのですが、この掲示板はどういう趣旨の掲示板なんです>か？ふじむらって人の名前ですよね？ここだけどう理解していいのかわから>ないです。ここの使用法を教えてください。中澤様、はじめまして。２１１７番です。私の記憶が正しければ、この掲示板は先進生の一人である藤村さんという方が管理されている掲示板で、“気軽ではなく重たい気持ちで書く掲示板”に投稿するには気が引けるが、自分の考えを投稿したいという人が自己練磨の場として文章修行するために開設されている掲示板です。そのためふじむら掲示板は、政治や経済、医療といった特定の分野に限定することなく、幅広い分野を対象としているのです。
まず、
アルルの男・ヒロシさんのぼやき「５０３」が素晴らしかったです。とても勉強になりました。ありがとうございます。ぼやき「５０３」に刺激され、このサイトに掲載された内容から引用して、架空の会話を作ってみました。
なお、登場人物の最初には、アルルの男・ヒロシさんに登場いただきます。それでは、架空の会話開始。（発言内容の出典は後記いたします。）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊最初に、アルルの男・ヒロシさん。今回の日本人外交官殺害事件での日本の対応に、疑問を投げかけます。
【発言開始 アルルの男・ヒロシさん】
この事件のニューズ報道を調べていくと、米軍が情報統制をしいているばかりか、この二人の外交官の事件捜査が米軍によって隠蔽された可能性も出てきました。当初の報道では、日本・外務省は、米軍の当初の発表と日本側が得た情報との食い違いを指摘し、「腑に落ちない」という発表をしていましたが、１２月３日になって、「ほぼテロ」と断定しました。この間の政府内のゴタゴタを見ていく限り、日本政府は「アメリカ側の発表を全面的に信用する」ということに決めたようだ。（略）
そして、日本政府は、事件捜査をＣＩＡに丸投げするという事が報道された。自国の外交官が不可解な死を遂げたにもかかわらず、専門調査団を派遣しない姿勢は不可解である。
【発言終わり アルルの男・ヒロシさん】（※１）この発言にかみついたのは、外務省の条約局長として日米外交を仕切ってきた、栗山尚一氏です。
【発言開始 栗山尚一氏】
米国は日本と共通の価値観を有する信頼できる唯一の国である。そのような国に対して（略）疑念を抱くこと自体、誤りであり米国に対して失礼である。
【発言終わり 栗山尚一氏】（※２）これまでの日米同盟の経緯を踏まえて栗山氏は、確信を持って上のようにアルルの男・ヒロシさんに反論しました。
この発言をたまたま横で聞いていたのが、田中宇（たなか・さかい）氏です。
田中宇 氏は、栗山尚一に対し聞こえよがしにこうぼやいてみせるのでした。【発言開始 田中宇 氏】
「米政府がいくらおかしくなっても、日本はそれに従属するのが良いのだから、庶民に余計なことを知らせない方がいい」という考え方は、日本の上層部が考える国家戦略の選択肢としてあり得るかもしれないが、そのことと「米政府はおかしくない」と考えることとは別のことだ。
【発言終わり 田中宇 氏】（※３）栗山さん、あなたほどの立場の人がそんなことの区別すらできていなかったですか、と田中氏は問いたげでした。しかしながら外務省の現実世界での対応が、栗山氏の考え通りに動いているのを見て田中氏は、栗山氏にこれ以上言うのをやめて、やおらパソコンに向かい、世界中の情報をネット検索しはじめるのでした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
後記：（※１）出典
今日のぼやき「５０３」
「ベンジャミン・フルフォードというカナダ人ジャーナリストの『ヤクザ・リセッション』という本は、副島隆彦やその他の国内ジャーナリストの本からの寄せ集め本である。ついでに、最新の角栄研究本の書評もまとめてやります。 ２００３．１２．０４ 冒頭加筆。副島隆彦 ２００３．１２．５」（※２）出典
アメ政掲示板[6655]「「外務省員洗脳の書」の読まれ方 投稿者：会員番号１２５９さん」
での、「『さらば外務省！』天木直人 講談社 のＰ６４」からの転載内容。（※３）出典
ふじむら掲示板「[4092] 田中宇（たなか・さかい）氏のこの表現が気にいった。 投稿者：よしかわ邦弘」での、田中宇氏サイトでの文章「テロリスト裁判で見える戦争の裏側」（２００３年１０月２８日）からの転載内容
＊ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ＰＳ：
よしかわ邦弘です。
本当は、
次の日に、副島隆彦氏がこの会話の内容を人づてに聞いて、「栗山氏が典型なのだが、日本人は、願望（こうだったらいいなあ）と事実認識（こうなのである）とを明確に区別することができない」と解説するような箇所と最後に付け加えたかったのですが、あいにく小生がその箇所の出典を見つけることができませんでした。どなたか、副島隆彦氏の著作・発言の中で、このような箇所があれば、ふじむら掲示板に投稿いただきたいのでよろしくお願いします。（実は１年以上探しているのですが、いまだ見つかりません。）
つい最近会員になりました、中澤 健（たけし）といいます。法律を勉強しており、将来は日米の弁護士資格を取得して、真の国益のためにアメリカとケンカできるような弁護士を目指しています。学問道場の先輩方、よろしくお願い申し上げます。ＢＢＳを一通り見たのですが、この掲示板はどういう趣旨の掲示板なんですか？ふじむらって人の名前ですよね？ここだけどう理解していいのかわからないです。ここの使用法を教えてください。
☆批評のような言葉を口にした時、その後で何か後ろめたい気持ちになることがある。ああ言ったけれど「俺は本当はもっと別のことを考えていたんだけれど…」。表現というものは必ず、沢山の落ちこぼれゆく事実のうちに成立するもののようだ。
☆小山みつね氏の『丸山真男論』に刺激されて、間宮陽介氏の『丸山真男』を斜め読みしてしまった。初めて「丸山真男」の勉強が少しばかりできたような気がした。小山みつね氏にはいつも啓発されている今日この頃である。
☆以下に自己流の抜粋を試みてみた。（１）吉本隆明の丸山真男論の書き出し（２）間宮陽介が考える丸山真男とは？（＝吉本隆明批判）（３）丸山真男は「荻生徂徠」をどう捉えていたのか？それは吉本とはどう違っていたのか？（４）丸山真男が問題としたものは何か？まとめ（５）丸山真男『日本政治思想史研究』（６）丸山真男『忠誠と反逆』（１）吉本隆明の『丸山真男論』の書き出し
★（吉本隆明全著作集１２『丸山真男論』から引用）
いま、眼のまえに丸山真男の『日本政治思想史研究』（東京大学出版会）、『現代政治の思想と行動』（上・下）（未来社）、『日本の思想』（岩波新書）の三著がおかれている。そして、それは肌合いのちがった奇異なものがあるということとおなじである。ここには思想家というには、あまりにやせこけた、筋ばかりの人間の像がたっている。学者というには、あまりに生々しい問題意識をつらぬいている人間の像がたっている。かれは思想家でもなければ、政治思想史の学者でもない。この奇異な存在は、いったい何ものなのか？
もしも、わたしたちが、ひとつの思想、ひとりの思想家に遭遇するとき感ずる苛立たしさを、たんにそこからうけとる知識の総和に解消させず、また、あらゆる即興的な思いつきの鋭さや、感覚的なアクロバットのおもしろさにも幻惑されずに凝視するとすれば、この学者でもなく思想家でもない「奇異なる存在」という印象は、それ自体が、現在の思想的情況のなかで稀少価値であり、優越性のしるしであるということができる。
丸山は、わたしたちの思想的な土壌が、ひとりの「独創」的な思想家を生み出すにはあまりに未熟であり、わたしたちのあいだで流布している「独創」性のごときものは、ただ無知と性急からくるごうまんにすぎないということを熟知しているし、わたしたちのあいだで「学者」と称するものが、箸にも棒にもかからぬ連中で、たゆみない実証的な探索のはてに、事物の像がおのずからうきあがってくるのを待ちきれず、文献のなかに小さく挫折するか、あるいは素人にも容易く手に入る知識をかきあつめて、ひとかどの学者づらをしているジャーナリストにすぎないことを知りつくしている。
しかし、かれの政治思想史の著書は、いかなる政治的実践をも示唆しないし、かれの著書は学問的な研究としては、実証性にかけているようにみえる。また、かれの著書に、弾きかえすような思想の生々しさはない。これらについて、糾問すべきは、わたしたちの思想的な風土だけなのか、あるいは、丸山真男自身の思想なのか。これをあきらかにする課題はのこるのである。
★（引用終わり）（２）間宮陽介が考える丸山真男とは？（＝吉本隆明批判）
★（『丸山真男』間宮陽介【著】筑摩書房１９９９年 から引用開始）
(p8〜)ある思想家を理解するには、彼がどのような問題と格闘したかを理解することが不可欠の作業である。彼が「何に抗議し何に抵抗しようとしたか、を離れては著者の分析は理解しえぬ」（『自己内対話』）にもかかわらず、この点にまで掘り下げて丸山の思想を論じたものはほとんど皆無といっていい。吉本隆明の「丸山真男論」もその例に漏れない。「ここには思想家というには、あまりにやせこけた、筋ばかりの人間の像がたっている。学者というには、あまりに生々しい問題意識をつらぬいている人間の像がたっている。かれは思想家でもなければ、政治思想史の学者でもない。この奇異な存在は、いったい何ものなのか」（『吉本隆明全著作集』という問いかけで始まる吉本の「丸山真男論」は、丸山真男の思想を論じてはいない。丸山が「何に抗議し何に抵抗しようとしたか」を論じてはいず、ただ彼の論じ方を論じただけである。そして丸山の論じ方に対して吉本自身の論じ方を対置させる。多くの丸山真男論と同様に、吉本の丸山真男論は「論じ方」論である。「学者というには、あまりに生々しい問題意識をつらぬいている」といいながら、その問題意識なるものがいかなるものか、論文を読んでもいっこうに浮かびあがってこない。
(p18〜)吉本の「丸山真男論」は丸山の『日本政治思想史研究』を主たる素材として丸山の思想を論じたものであるが、つぎの一文には彼の「論」の性格がよく表われている。「近世儒教の思想的展開のあとづけの意味をもつこの『研究』で、おどろくべきことは、実証性の豊かさでもなく、裁断の切口の見事さでもない。じつに方法の原理的な一貫性と整序性である。アカデミックな研究として、べつにずばぬけた年季がはいっているものとはおもえぬこの『研究』のなかで、特色をみつけるとすれば、この方法の整序性の貫徹という点にしかもとめえない。すべてのアカデミズムの学者は、そのほかの点ではこの程度の研究はできるはずである」（『吉本隆明全著作集』）。いったい、すべてのアカデミズムの学者がなしうるはずだという「この程度の研究」とはどの程度の研究なのか。また「ずばぬけた年季」とはどれくらいの年季に対してのものか。これらの点は論文を読んでも一向に明らかではない。あるいはまた、実証性の豊かさや貧しさをいうためには実証すべき問題や仮説が明示されていなければならないが、丸山が何を問題にしたかは論文からはみえてこない。彼はある（架空の）対話で、「おれの丸山真男論が、丸山の方法、思想、その発想の根拠を押えきっていることは丸山真男自身がよく知っているはずだよ。（中略）丸山真男なぞ、おれが論じた以上でもなければ、以下でもない進歩ジャーナリズムに弱いただの学者だよ」（「類廃の名簿」、『吉本隆明全著作集』）と啖呵を切っているが、彼は自分がこしらえた丸山のワラ人形を相手に相撲をとっていることには気がついていない。
（３）丸山真男は「荻生徂徠」をどう捉えていたのか？それは吉本とはどう違っていたのか？
(p19〜)『日本政治思想史研究』の主役は荻生徂徠と本居官長である。伊藤仁斎、山鹿素行、貝原益軒らの儒学者は、朱子学の徹底した解体者である荻生徂徠の前座の役をつとめさせられているにすぎない。吉本の不満はここにある。丸山は朱子学の解体を思惟構造の内部過程として考察したが、そうではなく思想主体の内部過程として、つまり現実の社会のなかに生きる人間の内部過程として考察しなければならないというのが吉本のいい分である。彼は冷たい理論の体系よりも、「社会に躍動している人間たち」のほうが大事だと考える。生の躍動という点では素行や仁斎、なかんずく仁斎のほうが、徂徠の上を行く。彼らの手によって儒学は日本に「土着化」し、抽象的体系としての儒学は社会と風土に根を張る儒学へと転換を遂げた。ところが後の徂徠は素行や仁斎によって土着化された人間の学を治国の学に風化せしめた。儒学を政治「思想」から「政治」思想へとおとしめた徂徠に、あろうことか高い評点を与える丸山自身、「思想」家というよりは「政治学」者だ。「丸山真男は、徂徠に科学としての政治学の成立の端緒をみたのである。そして、ここに徂徠を評価する「政治学」者、丸山真男のある根源がみえている」（『吉本隆明全著作集』）、「体制」の学、「支配」の学としての政治学をわが道とする丸山の根源が。
丸山は徳川期儒学の転回をそのなかに表われた政治思想の転回という視点から考察しようとしているにもかかわらず、吉本はそのような限定は特殊丸山的な限定だという。すなわち、「徂徠の思想的意義と、その江戸期における存在の大きさを否定することはできまいが、丸山のような「政治的思惟の優位」性という点にしぼって、徂徠をおおきく意味づけることはできないはずだ。徂徠の病理のようなものは、その思惟のなかにあり、その病理は、丸山真男の「政治学」の下層に累積しているものの影にほかならない」（同上）というのが吉本の丸山論の骨子である。
徂徠を政治思想史の観点から考察するのが「病理」だというのだから、吉本の丸山沢男論が丸山の問題意識を素通りするのは当然である。政治学を支配の学、体制の学とみるのはおそろしく単純化した見方であるが、といっても政治学にそうした側面がないわけではないし、徂徠の政治学が支配の学、体制の学としての一面をもっていないわけでもない。『政談』などはしだいに傾きつつあった封建体制の建て直しを企図して書かれたものであり、『政談』を著した徂徠を体制と支配の政治学者といってもおかしくはない。だがそれはあくまでも徂徠の一面にすぎない。丸山が徂徠にみたのは吉本のいうような「政治」思想家としての徂徠というよりは、むしろ政治「思想」家としての徂徠であって、体制＝政治社会が支配の対象として意識されるには政治社会についての見方の旋回（自然から作為へ）がなされなければならなかったこと、そして徂徠こそは「思想」の次元でこの旋回を決定的になしとげたことを、丸山は論じたのである。
吉本は、丸山の『日本政治思想史研究』においてみるべきものは唯一、原理的一貫性と整序性であり、その原理的一貫性すら悪しきヘーゲリアンのそれだという。「『日本政治思想史研究』をつらぬいているのは、いわば悪しきヘーゲリアンであるようにみえる。かれの近世儒教思想の変遷を記述する筆は、充分に理性的であり、またヘーゲルの歴史哲学の弁証法はうまく使われている。しかし、いわば近世の集権的な封建社会の歴史に、血まみれたヴィジョンをみていたかどうかはうたがわしい。すでに、「思想」の歴史は、それ自体弁証法的に進行するオートマティズムのようにとらえられている」と述べて、彼は丸山の朱子学解体の図式を、「藤原惺窩や林羅山によって飛躍的に展開された朱子学が、それ自体にはらんでいる矛盾から山鹿素行の実践的な学説と、伊藤仁斎の復古的な儒学に分化し、荻生徂徠によって大成され、徂徠の学説の政治的な側面が幕府の政治イデオロギーとして実践的性格をもち、その私的な側面が元禄文化によって拡大され、服部南郭などを媒介にして、国学にひきつがれるといった図式」（同上）として整理している。
この図式は丸山の図式というより、吉本流に脚色された図式である。なぜなら、朱子学は、吉本のいうように、必ずしもそれ自らのなかに矛盾をはらんでいたわけではない。それはむしろ天・地・人を包含する壮大な自己完結的な思想体系、矛盾を宿すよりは無矛盾性を特徴とする思想体系である。仁斎や素行らは、この天・地・人の無矛盾的、道徳的にはリゴリズムの体系から、人間（人欲）を救い出そうとした。徂徠はこの人間の宇宙からの分離を徹底的におし進めた。違うのは仁斎や素行らが道徳の革新者にとどまったのに対して、徂徠は政治社会観の転回をなし遂げたことである。丸山は吉本のいうほどヘーゲルの弁証法を方法的に用いているわけではなく、むしろ朱子学の解体過程をヘーゲルの弁証法的過程になぞらえただけである。
(p26〜)吉本の丸山真男論はある意味では荻生徂徠論でもあるのだが、彼はその徂徠を伊藤仁斎と比較する。思想の「徹底性」では仁斎が上、「浸透範囲」、「思想の幅」では徂徠が、「密度」では仁斎が勝り、「多産性」では徂徠が勝る。比較較量の結果、丸山は徂徠に軍配をあげているが、自分は仁斎を思想家としては偉大だと思う、というのが彼の人物比較である。
だがこのような比較は無意味である。思想の「徹底性」「密度」も、ある問題に対する解答の徹底性であり密度であって、徂徠と仁斎が共通の問題を抱えているのでない限り、思想の比較を行うことに意味はない。プラトンとニュートンを比べていずれが偉いかを問うのが無意味であるのと同じである。
（４）丸山真男が問題としたものは何か？まとめ
(p78〜)では丸山の問題とはなにか。彼の問題を生み出した大問題状況とはどのようなものであろうか。従来の丸山論に欠けているのはこの点についての考察だと思う。そのために、彼の片言隻句をあげつらう丸山論が丸山論の大半を占めることになったと思われる。丸山の思考の大きな特徴は原初的な問いがいくつかの問題に分岐しさらに細分化していくところにある。問いがいわばツリー状に分岐していくのである。「正統と異端」というテーマが三十年以上を経てついに作品化されずに終わったのも、このような問題の分岐と増殖にその一因があったように思われる。だから彼の作品を読む場合には、作品を自己完結した作品としてではなく、彼自身の問題史（問答史）の一局面として読む必要がある。「芸術の場合でも、これはコリングウッドがね、「完結した芸術作品は本来あり得ない」と言ってるんですよ。（中略）つまり出来上がった芸術作品はなくてね、書かれた原稿とか書かれた絵があるだけだ、それは完結した作品じゃない」（「丸山真男氏との一時間」、『丸山真男座談』第四冊）という丸山発言は、自己の作品についてもいえるはずである。ツリー状のネツトワークを成している彼の問題史にはそこからいくつもの支線が分岐していくところの主線が二本あるように思われる。もちろんこの主線じたいが密に絡みあっていることはいうまでもない。
明治維新を迎え、急激に近代化を推し進めた日本は現に科学技術、産業、教育制度などの面ではかなりの成功を収めたにもかかわらず、なぜ超国家主義とファシズムに逢着せざるをえなかったか。この切実な問題意識から、丸山は日本の近代化の道程にまつわる思想史の考察へと向かい、また現代政治の考察へと向かう。丸山の問題史の一つの主線はこのような問題系を貫く線であり、主体と客体、自己と他者、私と公、要するにウチとソトとの二項対立が十分に「止揚」されず、そこに日本における近代的主体と近代的政治社会の成熟を阻害する要因があったのではないか、というのがここでの基本的視座である。ウチとソトのずるずるベッタリの一体化か、さもなくば両者の一刀両断的切断、およびその政治的帰結。徳川期儒学の思想史研究、ファシズム論、現代政治論などには丸山のこうした基本的視座が貫かれている。この視座を仮りに丸山の空間的視座と呼ぶことにしよう。もちろんここでの空間とは社会空間としての空間のことである。
第一の線を貫く視座がウチとソトの関係をめぐる空間的視座だとしたら、第二のそれは時間的視座ということができるだろう。一言でいえば日本人はなぜかくも変わり身が早いか、という問題意識である。骨の髄まで西欧的教養で浸された西欧派知識人が一夜明けると牢固たる日本主義者へと変貌する。まるで遠い昔の思い出が一瞬のうちによみがえるように。戦争が終わってみるとつい昨日まで八紘一宇のイデオロギーを担いでいた彼らが、こんどはデモクラシーの御輿を担いで回る。彼らはたんなる機会主義者、日和見主義者なのか。丸山の戦前・戦中・戦後の時代体験、知識人の転向ばかりか、過去においても現代においても遍（あまね）くみられる日本人の変わり身の早さという現象は、思想史家丸山の頭のなかでしだいに比重を増していく。その結果発酵していく問題意識は、日本の歴史、日本の思想の歴史は、普遍的規準で裁断することのできない独自の一面をもつのではないか、このことは日本人の時間意識と密接に関わっているのではないか、という問題意識である。
キリスト教をはじめとする外来文化の受容、自由民権運動、革命運動、戦後の民主化、六〇年安保に六〇年代後半の全共闘運動。民衆史観の歴史学者はこれら一連の運動のなかに民衆のエネルギーの高揚をみるが、丸山はそれとともに高揚後のエネルギーの急激な冷却化をみてとる。彼にとっては運動の過熱と冷却は双対的な関係に立つものであった。運動の過熱と冷却が交互に繰り返すパターンは転向が再転向を生むというパターンと相同的だと彼はみた。彼のこのような問題意識は問題をさらに分岐させながら、やがて「開国」、「忠誠と反逆」、「日本の思想」らの論文において考え抜かれ、最後に、丸山の時間論である「歴史意識の「古層」」においてより原理的に考察されるのである。
（５）丸山真男『日本政治思想史研究』(p98〜)『日本政治思想史研究』（に収録された三つの論文）は、なによりも「問題史」である。先学の諸研究を継承・批判・発展させるといった類の思想史ではなく、彼自身の問題意識と視座構造によって再構成された思想史である。他ならぬこの問題意識と視座構造とに彼のファシズムの時代体験が深く反映されている。この意味で彼の日本政治思想史研究には超学問的動機が学問化されているといえるだろう。
とりわけ『日本政治思想史研究』の第二、第三論文がそうである。第一論文（いわゆる助手論文）は、「暗い谷間」の時代のなかで、挫折した近代という思いを深くする丸山が、封建時代といわれる徳川時代の思想史に近代の萌芽をみてやろうとの反時代精神に駆られて書いた、といえなくもない。そのせいか、内容的にみても「正統的なイデオロギーの解体過程を裏返せばそのまま近代的イデオロギーの成熟になるという機械的な偏向に陥ってしまった」（『日本政治思想史研究』あとがき）。しかし第二、第三論文になると、徳川思想史を考察する視点がシフトする。
正統的イデオロギーの解体はそのままでは近代化の開始を意味せず、ただ近代意識の成熟を準備する前提条件にすぎない。つまり近代化の必要条件ではあっても十分条件ではない。十分条件でないだけでなく、現実にも十分条件とはならなかったという視点が、第二、第三論文では領著になってくるのである。
第二論文について彼は、「「作為」の系列の近代性の程度に対して重大な制約を附している点ではヨリ観点が具体的になっている」（同上）と注記しているが、たんにより慎重になったということではあるまい。第二論文、そして第三論文では、徳川期の思想に近代意識の芽生えをみようとするよりも、挫折した近代、近代化がなぜ挫折したかということの、思想的淵源を求める方向に重心がシフトしている。
あらかじめかんたんにいっておけば、体制の正統イデオロギーたる朱子学を批判し、私的領域を自立させた仁斎や徂徠らの古学・古文辞学は、近代的意識が発酵する土壌を作ったが、必ずしも近代的意識の先駆けになったわけではない、ということである。仁斎は論語・孟子の丹念な読み直しを通して、原始儒教のなかに古くて新しい人間学を再発見し、徂徠は儒教の経典、とりわけ六経（詩・書・易・礼・楽・春秋）に新たな位置づけを与えることによって、原始儒教のなかに治道としての聖人の道を再発見した。もっといえば、仁斎は天・地・人を一貫する宇宙論的形而上学を解体して天と人を分離させ、原始儒教に内在していた人間学を再構成し、徂徠は天から切断された人間世界を公的領域と私的領域に分節化させて、政治的領域としての公的領域に新たな光をあてた。前者は「社会」を発見し、後者は「政治」を発見したともいいうるであろう。
しかし彼らがなしとげたのはイデオロギーの刷新、近代化では必ずしもない。もしそうなら、人間学と治道をもつ原始儒教そのものが近代的イデオロギーを内包していたことになろう。彼らがなしとげたのは近代化の前提条件＝土壌を準備したことであって、彼ら自身近代化への第一歩を踏み出したわけではないのである。このことを念頭に置きながらつぎの二つの節では、朱子学の解体とそれに伴う公私の分岐、およびその後の思想動向を、『日本政治思想史研究』に即して追っていくことにしよう。その目的はあくまでも丸山の所説を理解することであって、彼の儒学の理解が正しいか否かということは関心の外にある（またそのことを論じる資格を私はもっていない）。なお次節の前半で解説される宋学（朱子学）の理解は主として島田虔次『朱子学と陽明学』に負っていることをあらかじめ断っておきたい。
（６）丸山真男『忠誠と反逆』
(p180〜)忠誠と反逆とが必ずしも相容れない概念ではないことに丸山は論文の最初のところで注意を促している。「忠誠と反逆とは相互に反対概念contrariesをなすが、矛盾概念contradictionsではない。忠誠ならざるもの必ずしも反逆者ではなく、反逆は不忠誠のある種の表現形態なのである。ただ集団もしくは原理の思想的凝集性がもともと強かったり、あるいは一定の状況−たとえば政治的緊張の高度化−の下で強まるほど、忠誠と反逆との間の広大な地帯は縮小して、不忠誠はただちに反逆を意味するものとなるだけのことである」（集八）。忠誠も反逆も、「自我を超えた客観的原理、または自我の属する上級者・集団・制度など、にたいする自我のふるまいかた」（同）であり、忠誠と反逆はそうした自我のふるまいかたの二つのタイプである。集団や原理の思想的凝集性がきわめて強いときには忠誠対象は一点に集中し、それゆえ忠誠の解除は全面的な不忠誠（「不忠誠」）＝反逆となる。しかし、忠誠対象が複数の場合（忠誠の相克）には、原理（や集団）Ａへの不忠誠（「不忠誠」）は原理（集団）Ｂへの忠誠を排除せず、Ｂへの忠誠はＡへの反逆という形態をとらせることがある。また忠誠ならざるもの必ずしも反逆者を意味しないのは、忠誠の喪失もしくは否定がネガティブな疎外感となって、不忠誠が反逆ではなく、「隠遁」や「頽唐的個人主義」という形の世間からの逃避となって表われる場合があるからである。「忠誠と反逆」で丸山が日本思想史のなかに辿ろうとしたのは、「忠誠か反逆」でもなければ「忠誠もなければ反逆もなし」でもなく、まさしく「忠誠と反逆」の、細々としてはいるがそれでも脈々と脈打つところの思想史であった。
忠誠と反逆の思想史の源流は「封建的忠誠」に求められる。封建的忠誠というとその前近代性ばかりが強調され、主君への忠誠がそのまま近代に人っての天皇への忠誠に転移したと考えられがちであるが、丸山はむしろ封建的忠誠のなかに、近代に人って減衰していく抵抗精神の原流をみてとるのである。
封建的忠誠の原型をなす人格的忠誠は主従の情誼的＝非合理的な関係を基礎にした忠誠であるが、必ずしも君主へのべったり忠誠ではないし、むろん「君、君たらざれば去る」式の、双務契約的観念に基づくその場かぎりの忠誠でもなく、主君への能動的な働きかけを内包した人格的忠誠である。もちろん封建的忠誠においては能動的な働きかけが主君への反逆という形をとることはない。「君、君たらずとも、臣、臣たらざるべからず」というのは封建的忠誠の核心である。だが、「「君、君たらずとも」云々という観念自体が、こうした能動性とけっして無縁ではなかった。もしこれをスタティックに受けとるならば、どんな暴君に対しても唯々諾々としてその命に服するという、きわめて卑屈な態度しかでて来ない。けれども「臣、臣たらざるべからず」という至上命題は一定の社会的文脈の下では、無限の忠誠行動によって、君を真の君にしてゆく不断のプロセスとしても発現する可能性を包蔵する。ここには「君、君たらざれば去る」といういわば淡泊な――そのかぎりで無責任な――行動原則を断念するところから生まれる人格内部の緊張が、かえってまさに主君へ向かっての執拗で激しい働きかけの動因となるのである。いわゆる絶対服従ではなくて諌争が、こうしてその必然的なコロラリーをなす」（集八）。
家臣は忠誠対象を転移させることによって主君に反逆するのではなく、唯一の忠誠対象である主君への無限の忠誠行動によって、それを諌争という形でのある種の「反逆」に転化させようとする。というより、「反逆」は忠誠の証しなのだ。
徳川幕藩体制が確立し、室町から戦国にかけての戦国割拠の領主分国制がスタティックに凍結されると、ほんらいの戦闘者としての武士は家産官僚化し、幕府の文治政策・教学振興に後押しされて、武士は「さむらい」から教養人としての「君子」を理想像とする士大夫へと変質を遂げていった。しかし武士のエートスが家産官僚的精神のなかに吸収し尽くされたわけではないように、体制の教学となった儒教的世界像の浸透も封建的忠誠の静態化・固定化の役割だけを演じたのではない。情誼的・非合理的な人格的忠誠の相対的減衰を補完したのが儒教（朱子学）の天道・天命概念であった。天道の観念こそ「日本の思想史において、人間または集団への忠誠と関連しながら、しかもそれと区別された原理への忠誠を教えた」（集八）（おそらくは）最初のものである。幕末維新期にあって、国際法などの普遍的諸観念を比較的スムースに受容することを可能にした一因がこの超越的な「天道」観念であったことを丸山は到るところ（例えば「開国」、「幕末における視座の変革」など）で指摘している。
徂徠学による朱子学の解体と公私の分岐が丸山にとって両義性をもつものであったことはあらためて指摘しておこう。徂徠は「理」の汎神論的な宇宙観を否定し、規範を聖人の作と考えることによって、規範を人間の外部に疎外した。反面、彼は、規範を人間性から疎外することによって、「公的なものと私的なものと、さらには、内的なものと外的なものとが分離され、かつ無関連に並存するという事態」（『丸山真男講義録（第一冊）』）を招いたのである。公私の分岐は、規範を外化することによって、私の側面では私を「私化」する方向に作用した。このような認識は朱子学のリゴリズムの別の面に丸山の目を向けさせることになった。その道学的側面とは別の、原理への忠誠という側面に、である。朱子学的天道の原理的超越性はやがて「天下を公と為す」、「天下は天下の天下なり」といった観念を生み、「「君臣主従の義」という「合理主義的」範疇が封建的階層制のあらゆるレヴェルにちりばめられたとき、それはけっしてたんに臣下の恭順を一方的に義務づけたのではなく、同時に「君」もまたある目に見えない、自然法的規範に拘束されるという考え方をも社会的に定着させ」（集八）ることになった。このような原理への忠誠は幕末において政治を動かす原動力となり（尊王論や公議輿論という形で）、やがて倒幕へと到ったことは局知の通りである。
しかし、と彼はいう、「われわれの国の「近代化」は、「封建的忠誠」とその基盤を解体させることによって、同時にそこに含まれたかぎりの「反逆」のダイナミズムをも減衰させて行ったのである」（集八）。対外的危機のなかでの近代国家の形成――近代国家の形成過程は自然法的秩序観が現実政治の前にもろくも崩れ去っていく過程であった。自然法的国家平等観念に拠って、「天理人道に従って互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス、アメリカの軍艦をも恐れず……」（『学問のすゝめ』初編）と福沢諭吉が書いたのは明治五年のことである。その彼がそれから六年後には、「百巻の万国公法は数門の大砲に若かず、幾冊の和親条約は一筐の弾薬に若かず。大砲弾薬は、以て有る道理を主張するの備に非ずして、無き道理を造るの器械なり」（『通俗国権論』）と説く。
だが自然法的秩序観が現実政治に呑み込まれ忠誠対象がしだいに一元化していく過程のなかで、福沢は、人民の国家への忠誠を説くような「現実主義者」ではなかった。むしろ上から強制された秩序への恭順が私的次元における抵抗精神と行動のエネルギーの衰退を招いていることこそ大きな問題だと彼は考えた。彼は、「世界に専制の行はるゝ間は、之に対する抵抗の精神を要す。……近来、日本の景況を察するに、文明の虚説に欺かれて、抵抗の精神は次第に衰頽するが如し」と書いて西南戦争における西郷隆盛を弁護し（『丁丑公論』）、「立国は私なり、公に非ざるなり」と書いて、かつての幕臣である榎本武揚と勝海舟を批判した（『療我慢の説』）。
★（引用終わり）
ＹＫ（１０４４）さんの投稿から引用します。[4177] △唯物教徒★拝金派▽ ページより
（引用はじめ）
ノズル外壁の温度の異常上昇は、衛星からのプラズマ砲で充分に達成する事ができる。上昇中のロケットを軌道上から狙う事は、さほど難しくない。必要な装備があれば、だが。
（引用おわり）
ひょっとしたら、今年９月の“タンク火災事件”も関係しているかも？
今年９月の十勝沖地震の直後と２日後に起こった
“出光興産北海道製油所（苫小牧市）タンク火災”です。狙われた理由？
出光のホームページから転載します。
（転載始め）
世界初、灯油型燃料電池システム実証試験開始について
http://www.idemitsu.co.jp/news/news_2003/030707.html
このたび弊社（社長：天坊昭彦）は、市販灯油を燃料とする固体高分子形燃料電池（ＰＥＦＣ）システムとしては世界で初めて商業施設での実証試験を開始します。
これまで弊社は、定置用燃料電池向けに市販灯油から水素を製造する技術開発を進めてきました。今回、この水素製造技術と燃料電池本体を組合せて、市販灯油を燃料とする5ｋＷ級ＰＥＦＣシステムを試作、パッケージ化し、7月下旬より、弊社の販売子会社である京葉アポロ株式会社姉崎給油所（千葉県市原市）において実証試験を開始します。―以下省略―
（転載終わり）
京都新聞から転載します。
（転載始め）
灯油が原料の水素スタンド、出光興産、世界初
Kyoto Shimbun 2003.06.12 News出光興産は１２日、神奈川県秦野市に来年４月、灯油を原料にした世界初の燃料電池自動車向け燃料電池自動車向け水素スタンドを建設すると発表した。
都市ガスやＬＰガスなどを原料に水素を製造するスタンドは首都圏を中心に相次いで設置されているが、硫黄分が多く水素製造に高度な技術を必要とする灯油を使用するタイプはなかった。
経済産業省による研究費補助事業の一環で、同社は「灯油はガスに比べ、輸送や取り扱いが容易でコストも抑えられるなど利点が多い」としている。（転載終わり）
☆下記↓のロシアチョコレートさんの調査には、恐れ入りました。「丸の内太郎」さんは、他にも、いい投稿をしてましたよね。再読が必要と思います。
☆今日のアルルさんの「ぼやき」もすばらしかったです。力作ですよね。
Ｒｅ：[4166] 神学と哲学 - 投稿者：ＹＫ（１０４４）
＞「神学」の立場か「哲学」の立場か？という問いをたてた時、
＞しかし僕たちは「哲学」の立場（＝サイエンスの立場）である
＞べきだ、そう僕は考えている。ＲＣ：近代以降、哲学の中に、「Philosophy of science」(科学への哲学)という分野が「成立」したそうです。
「成立」したと書いたのは、「西洋古典科学」、「西欧近代科学」があるからです。基本的に「Philosophy of science」は、「西欧近代科学」以降に言及する事が多いようです。 参照文献『岩波哲学・思想事典』と『DICTIONARY OF Philosophy AND Religion』William L. Reese 1996, Humanities PressＲＣ：但し、science とは、元々ラテン語で scientia つまり「知識」を意味したそうです。
Ｒｅ：[4167] 学問体系について - 投稿者：金の子守熊（ｎｏ2145）
＞三者の関係は、いわば機能分担のようなものだと思われる。『秘術としての英文法』渡部昇一 講談社学術文庫のＰ２０に興味深い記述がありました。それは、知識(エピステメ：ギリシア語；ｅｐｉｓｔёｍё ラテン語；scientia 英語；knowledge)を４段階にわけるやり方だそうです。
最高：知識(エピステメ)
中間段階：経験的知識(エンペイリア)、あるいは技術的知識(テクネ)
単なる習熟(ペイラ)渡部氏は定義として
「知識(エピステメ)」とは、哲学者が到達するような洞察や理解を示す知識
「技術(テクネ)」とは、規則性や原則性を持つ知識
「技能(エンペイリア)」とは、熟練(ペイラ)についての反省から生じた知識
「熟練(ペイラ)」とは、最下位の知識(母国語を操るような知識など)この文章からヒントを得て
（�機某棲悄�哲学？、数学 「知恵(ソフィア)」「知識(エピステメ)」
（�供乏慳筺淵汽ぅ┘鵐后法 崔亮�(エピステメ)」「技術(テクネ)」
（�掘吠験悄甓偲�学問＝人文 「技能(エンペイリア)」「熟練(ペイラ)」に該当するのではないかと推察しました。いかがでしょう？
なぜ哲学は、神学の下女(はしため)と呼ばれるのか？
さて、副島の『ハリウッドで政治思想を読む』メディアワークス、2000のP44に気になっていた箇所がありました。
（貼り付け開始）
フィロソフィー(知への愛)は、神学の(Theology)の下女(はしため)の位置にある（貼り付け終了）
まず、気になった箇所は、女性に例えていることです。「知恵の書」８章２節に次のように記載されています。
（貼り付け開始）
Solomon’s love for Wisdom
２Wisdom has been my love. I courted her when I was young and wanted to make her my bride. I fell in love with her beauty.
知恵に対する愛するソロモン
知8:2 わたしは若いころから知恵を愛し、求めてきた。 わたしの花嫁にしようと願い、 また、その美しさのとりこになった。（貼り付け終了）
『聖書思想事典』によると、
（貼り付け開始）
知恵は、熱心に追い求められる恋人(シラ14:22-24)、保護の手を差しのべる母(シラ14:26-27)、じゅうぶんに食べ物を用意してくれる妻(シラ15:2-3)、死の門に導く“愚かな女”(愚かさの擬人化)(箴9:13-18)とは反対に、客あしらいのよい主婦(箴9:1-6)などにもたとえられる。（貼り付け終了）
と記載されています。次に、下女(はしため)の意味を確認します。Goo辞書から貼り付け
（貼り付け開始）
はした-め 0 【端た女】
〔「婢女」とも書く〕召し使いの女。下女。
三省堂提供「大辞林 第二版」より
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%CF%A4%B7%A4%BF%A4%E1&kind=jn&jn.x=19&jn.y=10（貼り付け終了）
横山ＨＰから貼り付け
（貼り付け開始）
６ 西ヨーロッパ中世の文化
１ 学問と大学
西ヨーロッパの中世文化の特色はキリスト教文化という言葉で言い表すことが出来る。中世西ヨーロッパはカトリックの時代で、カトリック教会が絶大な権威をもっていたので学問・芸術なども教会の支配下にあった。最高の学問は、キリスト教の教理を研究する神学であり、建築や美術は教会とその装飾のために発達した。
中世の学問の担い手は、中世ヨーロッパの共通語であるラテン語が読み書きできる聖職者で、彼らが学者であり知識人であった。人口の大部分を占める農民はほとんど読み書きが出来なかった。
最高の学問は神学であった。「哲学は神学の婢（はしため、召使い・下女の意味）」ということわざはこのことをよく示している。
神学は、初めのうちはアウグスティヌスなどの教父の著述を読む程度であったが、十字軍以後はビザンツやイスラムからギリシアの哲学（特にアリストテレスの哲学）を取り入れてキリスト教の信仰・教義を哲学的に体系化したスコラ学（スコラは教会付属の学校の意味）に発展した。http://www.sqr.or.jp/usr/akito-y/tyusei/122-europe22.html
（貼り付け終了）
「超天才電脳哲学家 純丘大先生の偉大なるホームページ！」から一部貼り付け
（貼り付け開始）
ａ） 形 而 上 学
【形而上学 metafhysica】【第一哲学】
アリストテレスにとって、理論的諸科学すべてが知をもって知を求める《哲学》なのであるが、中でも、自然一般の持つ自発的力能の第一のもの、すなわち〈不動の動体〉、たとえて言えば〈神〉、〈存在としての存在〉を問題とする学が第一のものであるとされた。この〈実体〉は、不生不滅不変で普遍一般的であるはずであり、この意味でも、これに関する学は、他の対象限定的な個別諸科学に先立つものなのである。これは《存在論》であるが、《自然学》にも《論言学》にも共通のものであり、それゆえ《自然学》や《論言学》からアナロジー（論言遡上）的に探求され、彼自身はこのような学を《第一哲学》《神学》と呼んだ。
そして、これらに関する一連の論文が、その著作編集において《自然学》関連のものの後に配列され、これらは『ta meta ta physica（自然学の後ろのもの）』と呼ばれた。ところが、この呼び名はむしろその内容から『自然背後学』、つまり、自然を超越する対象に関する学と解釈され、さらに、キリスト教的信仰が中心となった中世には、この『自然背後学』は《神学》へと吸収されて、このような《哲学》は、信仰を合理化し、整備する〈神学の婢（下女）〉として、〈神〉〈魂〉〈宇宙〉等に関する抽象的で壮大な空理空論の体系となっていった。
近世になって、神学の枠組がはずされると、神学、霊魂（意識）論、宇宙論の分野で、神秘主義的なものから論理論証的なものまで玉石混淆の、さまざまな独創的な構想が提出されるようになり、哲学の黄金期を迎えることになる。そして、近代には、それらの中でも実証的な説明に成功したものは次第に《科学》として専門分野ごとに独立していき、あやしげなものばかりが《哲学》の名のもとに残ることになってしまい、むしろ逆に《似而非（えせ）科学》とも呼ばれ、「形而上学」はこのような学に対する蔑称となった。（ただし、近代に正当化された諸科学も、いまだ近世の時点では、似而非科学とまったく同様の、たんなる独断的思いつきの仮説にすぎなかったことを忘れてはならない。）
現代において《形而上学》は、中世から近代にかけての《哲学》が〈神〉〈意識〉〈世界〉を取上げていながら忘却してきた、それらの根本にある〈存在〉の問題をふたたび中心に取り返さなければならないとし、主観的意識から超越した、人間が左右することを許さないその自発的力能を扱うようになった。この問題は、期せずして、さまざまに独立していった諸科学の方からも反省されるようになり、《科学基礎論》という形で、諸科学が対象とする客観的〈実在〉への接近の仕方を探求している。その問題の図式は、不思議なことにアリストテレスの発想法ととてもよく似ており、自然ﾌｭｼｽ と言語 ﾛｺﾞｽとの関係として立てられ、哲学のみならず、自然科学、社会科学、文学や芸術などの分野をも巻き込んで、活発にさまざまな議論が展開されている。
なお、日本語の「形而上」という言葉は、中国の古典『易経』の中の一節からとられたものである。『易経』において、この言葉は、やはり、自然的事物に対して、それらを転変させる不変的、普遍的力能を意味している。http://www.edp.eng.tamagawa.ac.jp/~sumioka/history/philosophy/kodai/kodai02c1.html
（貼り付け終了）
資料：「聖書」から
シラ14:22 狩人のように、知恵の後をつけ、 その通り道で待ち伏せよ。
シラ14:23 窓越しに知恵をのぞき見る者は、 戸口でも耳をそばだてる。
シラ14:24 知恵の住まいの近くに宿る者は、 知恵の家の壁に釘を打ち込み、シラ14:26 彼は、子供たちを知恵の保護の下に置き、 知恵の枝に守られて夜を過ごす。
シラ14:27 彼は、知恵の陰に覆われて暑さを免れ、 知恵の輝きに包まれて、そこに宿る。シラ15:2 知恵は、母のように彼を出迎え、 新妻のように彼を迎え入れる。
シラ15:3 英知のパンを食べ物として彼に与え、 知恵の水を飲み物として、彼に与える。箴9:13 愚かさという女がいる。騒々しい女だ。 浅はかさともいう。何ひとつ知らない。
箴9:14 自分の家の門口に座り込んだり 町の高い所に席を構えたりして
箴9:15 道行く人に呼びかける 自分の道をまっすぐ急ぐ人々に。
箴9:16 「浅はかな者はだれでも立ち寄るがよい。」 意志の弱い者にはこう言う。
箴9:17 「盗んだ水は甘く 隠れて食べるパンはうまいものだ。」
箴9:18 そこに死霊がいることを知る者はない。 彼女に招かれた者は深い陰府に落ちる。箴9:1 知恵は家を建て、七本の柱を刻んで立てた。
箴9:2 獣を屠り、酒を調合し、食卓を整え
箴9:3 はしためを町の高い所に遣わして 呼びかけさせた。
箴9:4 「浅はかな者はだれでも立ち寄るがよい。」 意志の弱い者にはこう言った。
箴9:5 「わたしのパンを食べ わたしが調合した酒を飲むがよい
箴9:6 浅はかさを捨て、命を得るために 分別の道を進むために。」（続きます）