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【国際】

下降続ける上海株 トレーダー不安と期待 『五輪で回復』後の売却狙う

2008年4月16日 朝刊

14日、上海市内で、今年3番目の下げ幅となった株価下落を示すボードを見ながら話をする市民

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 昨年十月に総合株価指数が六〇〇〇の大台に届いた後、じりじり値を下げ、十五日には三三四八・三五とほぼ半減した上海株式市場。中国紙によると、今年に入り、多額の損失を被った遼寧大学の講師ら十人近くが自殺する悲劇も起きている。一方で「下降は一時的」と強気の投資家も少なくない。多くは北京五輪のご祝儀相場に期待し、値が回復した時点での売却を狙う。 (上海・小坂井文彦)

 デイトレーダー歴十一年の上海市の男性(51)。半年間の保有株の含み損は約三十数万元(一元は約一四・五円)だが、「五輪前に五〇〇〇に回復したら、売却する」と株価上昇しか念頭にない。

 男性は小さな広告会社の役員だったが、営業ノルマが厳しくて一九九七年に退社。それ以前にオーストラリアで内装工事をしてためた約五十万元を元手に投資を始めた。投資した金は倍々になり、三年後、利益の四十数万元でワンルームマンションを二部屋購入した。年間五万元の生活費は株で稼いできた。

 米サブプライムローン問題による景気の後退や、人民元相場の上昇、インフレ対策の金融引き締めなど、上海市場を取り巻く環境は厳しいが、「政府は北京五輪を成功させないとメンツを失う。二〇〇一年に株価は下落しても、再び上がった。今回も大丈夫だ」。

 不動産取引仲介会社の社長(35)は本業よりも株取引にご執心。株取引専用の小型コンピューターで、外出先でも株価をチェック。高校三年生で株取引を始めており、この道十八年のベテランだ。

 昨年、日本円で株価が一億円に迫った保有株は現在、四割近く目減りした。それでも、同様に北京五輪の影響で株価は上昇に転じると断言。「六月前には指数は八〇〇〇になる。最終的には一万を超す」と、含み損の返上どころか利益を試算する。

 「荒唐無稽(むけい)じゃない。誰も半年間で株価が半減すると思わなかった。急騰だって同じ」と真顔だ。

 上海市内でレストランを経営する男性(46)も本業よりも株優先の毎日。「どの会社の株を購入するかはフィーリング。自分を信じることさ」とまるでばくちのようだ。

 「昨年、購入した銀行株は一・六倍、重工の株は三・三倍になった」と自慢するが、売り抜けずに約十万元の含み損を抱えている。「五輪で回復する。中国は国内市場が大きいから、まだ成長する」

 デイトレーダーの女性(51)は先月、含み損十万元を出し、服飾品販売店で働き始めた。「十六年間の株取引で三十万元を投資し、最高で倍になったけど、元に戻った」

 株取引は我慢が大切だという。「来月から株価は上がる。これ以上、株価が下がると会社がつぶれちゃう。五輪もあるし、政府が許さないわよ」

 個人投資家の強気をよそに、証券アナリストらは模様眺めに入っている。当面の方向性は、中国政府が十七日に公表する最新の経済統計を待って判断する方針だという。

 

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