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李纓監督らによる一方的な攻撃に対し、謹んで真実をご報告申し上げます
                                                 参議院議員 有村治子

映画「靖国」試写会の開催経緯には、関知しておりません

私・有村は、全国会議員を対象にした映画「靖国YASUKUNI」試写会のチラシを見て、ご案内をいただいた一参加者として、試写会に出席しました。試写会開催に至るまでの経緯について関知していない私には、試写会会場においての取材依頼も全くありませんし、その後も議会人として、本映画についての自らの価値判断を述べたことはありません。それゆえ、この映画を見た感想として、「偏向だ」「反日だ」という類の発信は一切しておらず、申し上げるまでもないことですが、威嚇的な街宣活動を展開する政治結社との関わりも一切なく、本映画の上映阻止を望んだことも、誰かの言論を封じようとしたことも、一度たりともありません。

表現の自由は、他者の人権を侵害しない限り、尊重されるべきです

当然、本映画を制作した李纓(リ イン)監督にも私にも、表現の自由、言論の自由があり、監督がどのような映画を制作し、発表されようと、自由です。そしてその表現活動は、他者の基本的人権を侵害しない限り、文化を尊ぶ民主主義国家であるわが国においては、最大限尊重されなければなりません。

私が関心を持っているのはただ一点、
【 日本芸術文化振興会という文化庁所管の独立行政法人によって、この映画「靖国」に支給された、税金を原資とする公的助成金750万円が、果たして適切だったのかどうか 】
という問いに集約されます。

税金を元に組まれる国家予算の執行が適切になされているかどうかを、国民の代表として審議するのが国会です。そこで、文化行政の一環として行われたこの助成金の執行が適正かどうかを、平成20年3月27日の内閣委員会で審議し、日本芸術文化振興会を所管する文化庁の見解を伺うために、事実を丁寧に確認し、積み上げていく作業を重ねました。

映画宣伝用ビラの中央に掲載されている神社参拝者の肖像権は、全く守られていません

国会質問を準備する過程で、驚くべき事実が次々と出てきました。本映画の宣伝用ビラの、一面中央に大々的に掲載されている男性は、たまたま靖国神社を参拝されている国民であり、参拝しているところを李纓監督側に撮影され、その参拝映像の一部始終が映画に無断で使われた上に、この映画宣伝用ビラにおいても、ご本人の承諾なく肖像が勝手に掲載されていることが判明したのです。4月13日今日現在においても、この映画宣伝用ビラはご本人のあずかり知らない所で世間に広がっており、この男性の肖像権や信教の自由を尊ぶプライバシーは、侵害されている状況が続いています。

この驚くべき事態をうけて、
【 では、映画で一番多くの時間登場する刀匠(=かたなかじ)・刈谷直治さんは、この映画「靖国」に出演することを了承していらっしゃるのだろうか 】 という根幹的な疑問が生じたため、3月25日の夜、刈谷さん宅に電話をし、撮影の経緯を伺うことになりました。

刈谷さんの肖像権をはじめとする基本的人権が守られているかを確認するためには、ご本人が納得の上で映画に出演されているかどうかが焦点になります。
「この映画靖国に出ることを刈谷さんご自身は、ご存知だったのですか」と伺うと、
「いいえ、刀を作ることについてのドキュメンタリーを撮影したいと申し出があったので協力したけれども、自分の映像が他のいろいろな映像と交錯されて使われる、靖国神社についての映画だとは知らされていなかった」
という旨のお答えがあり、この時の刈谷さんご夫妻との会話によって、私は次から次へと新事実を知らされることになりました。

そして、刈谷さんご夫妻が、そもそもこの映画「靖国」に出演することを承諾されておらず、刈谷さんのご自宅を訪れた李纓監督と中村高寛助監督に対して、
「刈谷の名前を除かないと上映はだめですよ。まず完成品を通し(・・)で見せてください」と直接対面で伝えられていたにもかかわらず、その後もご夫妻には、映画の完成品を見る機会が与えられておらず、監督側の不誠実な対応に閉口されているようすをお話下さいました。

■この詳細は、今週公開する予定の、刈谷さんご夫妻の肉声で明らかになります■

ここで私は、刈谷さんご夫妻が本映画について困惑されている状況を教えられ、
「刈谷の映像を除いてほしいけど、私らは小さくてどうすることもできない」
とおっしゃったので、 「それでは明後日の内閣委員会で、この事実をお伝えしましょう。国会質問では議事録が作られるので、少なくとも刈谷さんご夫妻の真のお気持ちを記録にして残すことは可能です」と申し上げ、ご夫妻のご希望に沿って、刈谷さんの現況を国会で紹介することをお約束しました。

そして約束どおり、私は3月27日の参議院内閣委員会において、刈谷さんご夫妻が現在の窮状に置かれた経緯を明らかにし、信憑性を確保するために、この主張が噂や伝聞という未確認情報に基づくものではなく、私自身が責任を持って、刈谷さんご夫妻の意思を確認したという情報源も、自ら明確に発言したのです。

「政治介入」の意図が全くないからこそ、
刈谷さんと連絡をとったことを自らの国会質問で明言しています


しかし、刈谷さんご夫妻との経緯について、的確な取材をされることもなく、国会質問から2週間近く経った4月9日夕刻になって、突然、共同通信配信による第一報から、「出演を承諾していた刈谷さんの気持ちを、有村が変心させた」という李纓監督の憶測に基づく主張だけがクローズアップされ、「政治介入」と決め付ける報道が全国で一斉に始まりました。

事実に反する数々の記事や報道によって、現在も私・有村の周辺では、数え切れないほどの言われなきバッシングが起こっておりますが、仮に万が一にも、私が政治介入を試みたいと考えていたならば、刈谷さんご夫妻と直接連絡をとり、ご夫妻の気持ちを私自身がしっかり確認したという「証言」を、国会質問で自ら進んで明確にするはずもありません。

小泉元総理の靖国神社参拝の際にも明らかになったように、国難に殉じられた方々を追悼する象徴的施設である靖国神社については、国論も二分しており、政治的にも宗教的にも大変「重い」、デリケートなテーマです。それゆえ、いかなる形であれ、この靖国神社のあるべき姿について政治家がコメントをすれば、おおむね半分の世論は、これを好意的に受けとめ、同時に残り半分の世論には、批判的に認識され、場合によっては厳しい攻撃の対象となってしまう、政治的に大変大きなリスクを負うことになります。

だからこそ今回、参議院内閣委員会で、映画「靖国」についての公的助成金の是非を主題として国会質問に立つということが決まって以来、私は、表現の自由、言論の自由、思想信条の自由、プライバシーの尊重等、日本国憲法が保障する自他の諸権利について、私が取りうる最大限の注意を払い、後に「政治介入」「権利が蹂躙された」等の言われなきレッテルを貼られることがないよう、本映画についての、私自身の主観や評価を一切排除して、「文化行政としての公的助成金給付の是非」という一点に絞って、事実を丁寧に積み上げ、淡々と論理的に質問を重ねていくことに専念してきました。

以上の経過から、私には刈谷さんご夫妻のお考えを「変心」させる意図もなく(当然私にはそのメリットもなく)、刈谷さんご夫妻も、「有村からの介入や圧力があったという認識を全く持ってない」ことが、独立した立場のマスコミ各社の報道によって、4月10日夕方以降、次第に明らかになっており、国民の皆様にも、真相が伝わり始めています。

私が国会で刈谷さんご夫妻の窮状を明らかにするまでに、一体誰が
刈谷さんの人権を守るために立ち上がって下さったでしょうか


私・有村に対する、事実無根の痛烈な批判として、「出演者に連絡をとるなどもってのほか。恥を知れ」という旨の、数々の「文化人」による心無いコメントが、各新聞紙上で紹介されていますが、では、肖像権をはじめとする刈谷さんご夫妻の基本的人権を、一体誰が守ったのでしょうか。映画「靖国」に自らの映像が使われることを知らされず、
「美術工芸品としての刀を鋳造する刀匠の半生をドキュメンタリーにしたい」という、映画監督と名乗る中国人青年の「真摯な」申し出によって、これが現役最後の仕事になると覚悟を決められ、刈谷さんは渾身の想いで自らを奮い立たせ、刀を鋳造する撮影に協力されたのです。

李纓監督達に対して「だまされた」(=高知新聞4月10日)と感じ、「自分の名前と映像を除いてほしい」と監督側に直接対面で訴えられながらも、その希望が一向にかなえられず、なしのつぶてで、困り果てていらっしゃった老夫婦の窮状に、一体誰が耳を傾けたでしょうか。

特に、今回の一連の騒動で「国会議員の圧力許せない」と声高に嘘の喧伝をし、分刻みで仕事と移動を重ねている私を執拗に追いかけ、お決まりの「欠席裁判」で舌鋒鋭く私を断罪した「善良なジャーナリスト」の皆様のうち、一体どのマスコミの方が、刈谷さんご夫妻のか細き声を、聞き届けて下さったのでしょうか。

国会質問という責任ある公的な場で、正確な情報に基づいて質問を展開しなければならない私の前に、どなたかが、刈谷さんの現状を的確に報道して下さっていたならば、そもそも私が、刈谷さんご夫妻に連絡をとる必要など全くなかったのです。残念ながら本件について、私達国民がメディアから知りうる情報が一切なかったために、私が自分自身の手で原点にあたって調べる以外に、なすすべがなかったというのが真相です。

この5日間、「政治介入」と主張される李纓監督と、即、この動きに同調して、「政治介入」を既成事実化し、「議員が圧力」と勢いづいて私・有村を痛烈に非難した「報道」の論拠が、その後数々の独立した報道機関の取材によって、時間を追うごとに崩れています。そしてこれらの攻撃が、事実に反する、根拠のない喧伝であったことが報道されはじめるとともに、国民の皆様に真実が伝わりつつあります。

この5日間の経緯について、時系列に沿って、簡潔に情報提供されているのは、4月13日の産経新聞1頁目のコラム「産経抄」です

上映の機会が保障されることを支持します

李纓監督による映画「靖国」に関しては、この1ヶ月間で、主要登場人物であるはずの刀匠・刈谷直治さんがそもそも出演を承諾していないことが露呈し、靖国神社を参拝される方々の信教の自由やプライバシー、肖像権等に配慮していない映像が数々指摘され、撮影許可手続きが遵守されていない場面があると靖国神社から正式に指摘され、「ドキュメンタリー」と称されているにもかかわらず、事実を誤認させるような内容が含まれていることが、私達国民の知るところとなりました。

それゆえに、「税金を原資とする750万円の公的助成金が、この映画に対して給付されていることが、文化行政の推進、予算の適切な執行という2つの観点から、果たして適正なのか」という私が素朴に抱き続けている問いについても、この映画に関心を持たれる国民の皆様が、それぞれご判断いただくことが良いと考えています。様々な立場・多くの視点で、公益に資する文化行政のあるべき姿をともに考え議論していくことこそが、文化を尊ぶ民主主義国家、日本の発展に寄与すると信じているからです。

以上の理由から、私達日本国民が憲法の精神に基づいて等しく保障されるべき、知る権利が尊重され、実践されるためにも、私・有村は、本映画上映の機会が保障されることを支持します。公益に反するいかなる威嚇も圧力もない中で一般公開がなされ、映画館と観客双方の安全が確保されることを希望いたします。

そして何より、ご高齢で体調が優れないにもかかわらず、自らの力を振りしぼり、善意・無償で刀の鋳造撮影に取り組まれた匠、刈谷直治さんご夫妻の名誉と平穏な暮らしが尊重され、一刻も早く回復されることを、衷心より強く願っております。

                                       平成20年4月14日22時 有村治子 記

ありむら治子 参議院議員
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