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Re[38]: NO TITLE
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□投稿者/ 竜騎士07 -(2006/01/09(Mon) 19:39:40)
 | ギガバイ子さんより、推理の意味の食い違いというお話をいただきましたので、竜騎士07の理解している「推理」をご説明いたします。 以下は、竜騎士07の、いわゆるチラシの裏ですので、お茶を飲む時の茶菓ぐらいの感覚でのんびりお読みいただけると嬉しいです。
すい‐り【推理】 [名](スル)
1 ある事実をもとにして、まだ知られていない事柄をおしはかること。「いくつかの条件から問題を―する」 2 論理学で、前提から結論を導き出す思考作用。前提が一つのものを直接推理、二つ以上のものを間接推理という。 ※ただ、「推理」と「推理小説」は似つつもまったく意味の異なる単語ですので、私もこの2つを混同している可能性があります…。
ギガバイ子さんが、数式を引用にしてとてもわかりやすい説明をしてくださっています。
X+1=2
この時、Xは1であると「推理」できる。これが氏の仰る「推理小説」の定義です。 ただ、竜騎士07はこの数式を「推理」だとはあまり思えません。 なぜなら、X=1は必然であるため、「推理(仮定)」の必要がないからです。これは推理ではなく、単なる「計算」です。
例えるなら、X+1=2は、 「犯人」が「殺人を目撃された」。=「それは事実である」 ということだからです。これは多分、推理小説ではなく刑事コロンボのような探偵小説に属するものと思います。(ですが、これを推理小説の定義とした場合、『ひぐらし』は確かに荒唐無稽になります)
竜騎士07の理解している推理は、このX+1=2の時に、「犯人」が、『ボクは犯人じゃない!』と主張したところで初めて成立します。 つまり、X+1=2でありながら同時に、X=1ではない(ボクは犯人ではない)となるからです。疑われる容疑者が、自らの無実を証明したくて探偵のところへやって来るのはある意味、定番かもしれませんね。
X+1=2 「犯人」が「殺人を目撃された」。=「それは事実である」 にも関わらずX=1ではない。 「ボクは犯人ではない」
となれば、「X(犯人)」か「1(目撃)」か「2(事実)」のどれかが虚偽ということになります。 虚偽というのはミスリード。つまり、劇中に示された客観情報の何れかが読者を「騙している」ということを指します。
クリスティーの古典「そして誰もいなくなった」以降、そもそも作品中で述べられている客観的情報が全て真実であるという図式は崩れています。しかもこの作品では、個人主観ではなく、第3者的な視点から物語を描いている分、『ひぐらし』よりも数倍、難易度が高いですね。
> この、6を5に変えることで正解を得ることが、果たしてゲームをクリアしたという実感を与えられるものなのでしょうか。
実は6は5かもしれない、という「仮定」を探すのが竜騎士07の推理だと思っております。 よって、6の「虚偽」を疑えた時点で、推理(仮定すること・疑うこと)としては充分だと考えます。6の正体が何か、劇中で充分な情報がない以上、「逮捕して拷問にでもかける他、真相など掴めないのですから」
※提示される情報に虚偽が混じりうるなら、何でもありじゃないか、というご批判についてですが、竜騎士07の理解する推理の中ではそういうものかもしれませんね。 前述のクリスティーの作品も、医者が嘘をつくというトリックによって、10-10=1の図式が、実は10-9=1だったことが最後にわかります。この時、医者が嘘をつくという行為がフェアかアンフェアかについての議論は、造詣の深いミステリーを愛する諸兄にお譲りいたします。(ノックス十戒に沿わないため、本作はミステリーにあらずという議論は有名ですね。ただし、ノックスがそもそも「推理」という単語の意味と矛盾していると言えなくもありません。その点において、「推理」と「推理小説」はまったく意味が違うのかもしれませんね)
この時、6の正体が「5」なんて荒唐無稽である、せめて6に限りなく近い数字であって欲しかった、それも整数であるのが望ましい。というのが恐らく氏の言われる「荒唐無稽」な部分であろうかと思います。
この時、竜騎士07は、6の正体について、ある種のエンターテイメント性を優先して「5」を描いています。それは『ひぐらし』がエンターテイメント作品だからです。「1」や「2」が正体であるよりは、「5」が正体の方が話が盛り上がるだろうという意図で物語をデザインしました。
私に言わせれば、片思いの中学生が冷たくされたと勘違いして相手の女の子を包丁で滅多刺しにしてしまった事件の「動機」の方がよっぽど荒唐無稽です…。 無職の若者が憂さ晴らしにホームレスを惨殺する「動機」よりは、劇中の「5」は理解可能な動機を持っているようにデザインしたつもりなのですが……。 それがうまく描けない未熟さが本当に申し訳ないです…。 長いお喋りにご静聴くださいましてありがとうございました。
普段、あまりこの掲示板に来ることがなく、本当に久し振りに掲示板に参加し、議論に参加できてとても楽しかったです。 ちょっと仕事が忙しくなってきたので、またしばらくここには来れないかもしれませんが、今後もちょくちょく覗きに来ようと思います。以上、長々と失礼いたしました。
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