第一部 ローレンツ変換の間違い
(第二部の入り口は、最後のページにあります)
世紀の大魔術、相対性原理
アインシュタインの相対性原理は、過去100余年、正しい理論として世界の科学者に認められ、その上に多くの新
しい理論が生まれて、今日でも盛んに研究が行われている。
四次元世界、質量欠損とエネルギの関係、ブラックホール、暗黒物質、空間の曲がりなどもこの理論の産物である。
このような崇高な理論ではある。
が、しかし、この理論を根本から見直すと、およそ理論とは程遠いマジックであることが分かる。
この理論の基礎になっているローレンツ変換がそれである。
この変換は、重要な式を切り捨て、巧妙な変数のすり替え、同じ方程式を異なるものに見せかけるなど、何でもあり
の騙しのテクニックを駆使し、徹底的・完璧なマジックを行っている。
本稿はそれを誰にも分かり易いように解説するものであるが、その前に一言。
相対性原理に反論すると、この原理の信者に「トンデモ科学」と汚名を着せられるようだ。
他人の意見に対し汚名を着せ、これを追い払うことが物理学の進歩にとって良いことなのかどうか。
ローレンツ変換はマジックであることを以下で説明するが、トンデモ科学などと他人を貶したり、この原理に反対意見
を唱える学者が死活問題に直面するというような閉鎖社会が正しかったか、心当たりのある人に是非読んでもらいた い、と思う
もし、姉にプレゼントされた本の訳者の文を目にせず、憤りを感じなかったら、ここまでとことん解き明かす事はしなか
ったであろう。学説の基礎に一個所でも間違いがあれば、全体が間違いであるとの考えから深追いせず、ある時点 で、物理学者の介入を期待し、自主改革してもらいたかったからである。
筆者は、この本で、これまで相対性原理に反論して来た人達がいることを知り、勝手にその人達の代表を決め込み、
これまでの優しい遠回しの書き方を一変し、これに書き直した。
必死に考えた貴重な意見を、トンデモ科学などと傷つけられ、葬られた彼らの悔しさが分かるからである。
もし以下の証明に間違いがあると云う人が居たら、公開討論を求めて欲しい。
I. 大魔術解明の入り口
相対性原理を正しいとする人の殆どは、習ったことを鵜呑みに信じているか、世評を信じているに過ぎない。
であれば、他人の判断ではなく、自分の頭で確かめ、判断するのも無駄なことではない。
ローレンツ変換の間違いだけなら、中・高生の数学の知識で理解出来るように本稿で書いた。
これまで論理的に理解できなかったのには、それなりの訳がある。
すべてトリックで構成されたマジックであったからである。
本稿を理解していただける方は、相対性原理が余りにも低レベルの間違ったローレンツ変換に基づいていることに唖
然とされるに違いない。しかし、これが相対性原理の本当の姿とレベルなのだ。
ローレンツ変換や相対性原理には、どこから見ても間違いや矛盾があるので、トンデモ科学の汚名を着せられた人
達は、多分、この間違いや矛盾に対し、断片的に反論されたのではないかと想像する。
この間違いや矛盾に気付かない方が、逆におかしいのであるが・・・。
この原理とアインシュタインは余りにも有名で、カルトを思わせるほど強く信仰されているので、この先入観を打破す
ることは容易なことではない。
先ず、簡単な数式の間違いを指摘することによって、これまでの先入観を取り除き、冷静な気持ちで振り返ってもらえ
るよう仕向けることから始めなければならない。
学問には、記憶しなければならないものと、学習して理解し、考える力を養うものがある。例えば、英単語や文法は
記憶しなければどうにもならない。数学には記憶と学習し考える力を養うものとがある。
数学の定義は記憶しなければならない。数学は定義の上に論理や数式を積み上げ、結論を得て応用を展開する学
問である。
定義から先は、結論に至るまでの考え方、結論を引き出すまでの方法、さらにその応用に至るまでを学び・学習し考
える力を養い、公式や定理の類は、定義を基に自分の力で作れるよう学習するものなのだ。
すべてを暗記に頼る人は、どのような大学に入ろうが、本当の勉強はしていない。
人間の価値は、多くのものを覚えていることではなく、どのように有効に頭を使えるかにある。勿論、ものを知っている
ことは必要だ。
しかし、試験のためだけの暗記であれば、コンピュータに任せればよい。人間など手も足も出ない。
さて、ローレンツ変換の数式を得るまでには、こちらから相手を観測したとか、あちらからこちらを観測したとかで数式
が出来上がるが、このことから議論を始めると、お互いの力量差によって収拾できない議論に発展する恐れがある。
一旦出来上がった数式で評価すれば、この煩雑さから逃れられる。数式が出来上がれば、後は数学の問題と割り
切れるからである。
ローレンツ変換の基礎式は次の三つである。
x²−(ct)²=X²−(cT)² ・・・・・・・(1)
X=k(x−vt) ・・・・・・(2)
x=K(X+vT) ・・・・・・(3)
この三式を連立で解いて、下記の解を得ている。
k=K=1/√{1−(v/c)²} ・・・・・・・(4)
T=k(t−vx /c²) ・・・・・・・(5)
t=k(T+vX/c²) ・・・・・・・(6)
y=Y ・・・・・・・(7)
z=Z ・・・・・・・(8)
式(2)〜(8)が相対性原理の基盤を為す式である。
但し、式(7)、(8)は上記連立方程式から得られるものではないが、これについては後で説明する。
この変換の中に含まれる多くの間違いの中で、最も愚劣で低レベルの間違いを指摘すれば、それは式(1)である。
この式自体が間違いである訳ではない。
が、この式は、本来、不要な式なのである(この式が不要の式であることは最後に分かる)。
不要な式(1)だけ残して、次に説明する主役の二つの式を切り捨てていることが問題なのだ。
主役の式を切り捨てたことが、本来成り立つ筈のないローレンツ変換が成り立つかのような錯覚を誘い、誤った方向
に道筋を切り替えて相対性原理を出現させ、多くの理解困難な現実無視の理論と称する妄想話がでっち上げられて いるのだ。
しかもこれが100年以上続いているというから驚く。
本稿をトンデモ科学などと言われ、追い払われない前に、この愚劣な間違いを先に簡単に説明することは欠かせな
い。詳細な内容は、更に後で説明する。
式(1)は、ローレンツ変換の最初の仮定である「光速不変の原理」と「特殊相対性原理」を記述したとするものであ
り、真空中の一点から発した光波面のx、X軸上の拡がりを記述するものである。
であれば、式(1)は、式(1)=”0” と最後にゼロが付かなければならない。
これは式(1)が生まれる直前の式までそうなっている。
誰もこのことに反論出来る人はいない。
式操作の途中でこの大事な”=0”が切り捨てられているのである。
ローレンツ変換の大前提、即ち、「光速不変の原理」と「特殊相対性原理」とを正確に記述するためには、x、X軸上に
関して、式(1)”=0” とし、式(1)ではなく、次の二つの式にしなければならない。
x²−(ct)²=0 ・・・・・・(A)
X²−(cT)²=0 ・・・・・・(B)
本来、不要の式(1)だけが、ローレンツ変換の大前提を表す正しい式としてローレンツ変換の計算に使われている
のである。科学者もそれを正しいとして来ている。
x²−(ct)²=X²−(cT)² ・・・・・・(1)
切り捨てられた前二式は、時間経過に伴い、xとX軸それぞれの座標上を光速cで、座標のプラスとマイナス方向に
拡がる光波面の座標を表すものである。
この切り捨てられた光波面の拡がりを表す二つの式(A)、(B)こそが、ローレンツ変換にとって本質的に最も大事な
本流の式なのである。
この式さえしっかり生かしておけば、四次元世界など出現しようもないのだ。
式(1)では光波面の伝播を座標で表せないことが問題なのである。
式(1)は、上記式(A)、(B)がお互いにゼロであって等しいとして、これを一つの式に纏めたもので、この際”=0”が
切り捨てられたのである。
ローレンツ変換の座標変換式(2)、(3)と組み合わせて正確に解くとすれば、式(A)、(B)と式(2)、式(A)、(B)と
式(3)とをそれぞれ別々に、連立にして解かなければならない。
しかし、ローレンツ変換は、式(1)、(2)、(3)の組み合わせの計算結果である。
しかも、この組み合わせは間違いであることが後に分かるので、これを正確に解いても意味のないものであるが、こ
の組み合わせが、正しいとしても、次の欠陥を指摘できる。
式(1)のように”=0”を切り捨てれば、式(A)、(B)が切り捨てられることになり、ローレンツ変換に使われ
た式(1)、(2)、(3)の三つの方程式では、未知数を決定するに必要な式数が不足し、時間変換式(5)、 (6)に座標値x、Xが残って未変換の式になり、これが原因であの有名な四次元世界が生まれるまでに妄 想が拡がったのである。
T=k(t−vx/c²) ・・・・・(5)
t=k(T+vX/c²) ・・・・・(6)
相対性原理の妄想は、すべてこの式(1)から始まっているのである。
また、良く考えれば分かるように、式(1)は、物理的に何の意味もない式である。
ここまでの記述に反論出来る人は、いない筈だ。
数式にはそれが表わす意味というものもある。
もし上記に反論する人がいるなら、その人のために次の簡単な例を与えて置こう。
鶴亀算と云うのがある。鶴と亀の合計頭数をa、鶴と亀の合計足数をbとしよう。すると次の式が成り立つのは小学生
か中学生が知っている。但し、鶴の頭数を x、亀のそれを y としている。
2x+4y=b
x+y=a
書き直せば、次の式になる。
2x+4y−b=0
x+y−a=0
これら両式がゼロであって等しいとし、一つの式にまとめ上げれば、次の式になる。
2x+4y−b=x+y−a=0
ここで、最後の”=0”を切り捨てると、この式は次の式に書き換えられる。
2x+4y−b=x+y−a
これを整理すれば、次の式が得られる。
x=(-a+b)−3y
この式を見て、”オオ?!鶴にはもともとカメがいなければならないのだ!!”とでも云うか。
こんなことを云う人の頭脳は、正常ではない。
初めの二つの式からは、しっかり鶴と亀の頭数を求められるが、纏めた一つの式から答えを求められる人が居るとし
たら驚きだ。
ただし、纏める際、どちらかの未知数が消えるように工夫し、一つの式に纏めるのであれば、話は別だ。
”=0”を抜けば、未知数を求めるための式数が不足し、上記のように、求めた筈の未知数に別の未知数が含ま
れることになるのである。
未知数の数と式数とが同じでなければ方程式が解けないことは、多分小学生でも知っている。
ローレンツ変換式の式(1)は、まさにこれと同じことをやっているのである。
そして求めた解が、式(2)〜(8)であり、式(5)、(6)のT、t に、x、Xという未知数(座標値)が残って未変換式
になってしまっているのである。
T=(t−vx/c²) ・・・・・(5)
t=(T+vX/c²) ・・・・・(6)
ここまで読んでいただければ、四次元世界など妄想であることが分かり、本稿を真面目に読んでもらえるのではない
かと期待する。ローレンツ変換は矛盾だけを含む変換になるであろうことも、推測いただける筈である。
これからじっくり具体的に説明するが、相対性原理は、この単純な間違いの上に築かれた妄想話なのだ。
SFなのである。
こんなものを科学などと言ったら、本当の科学が泣く。
ローレンツ変換、ひいては相対性原理の間違いは、このように低レベルの間違いなのである。
こんなものに金を払って、魔術ではなく正式な学問として講義を乞う人がいるかと思うと、気の毒で胸が痛む。
以上の説明に反論のある人は、他人の意見を貶(けな)す前に、式(1)のように、本来の式から”=0”を切り捨てて
良い論理的根拠と、連立方程式では、必ずしも未知数の数だけ方程式が無くて良い論理的理由を説明しなければ ならない。
また、式(1)の物理的意味を、特殊相対性原理と光速不変の原理との絡みで、具体的に説明出来なければならな
い。
これは、以上の説明に反論する人の義務である。出来なかったら反論する資格はない。
反論出来る人がいたら、兜を脱ぎ両手をついて謝る。
II.ローレンツ変換式の説明
1.背景
マクスウエル(Maxwell、英)は、1861年光の電磁波説を発表した。相対性原理を習った際、「この説は疑うべく
もなく正しいもの」であるとして、それ以上の説明はなかったことを覚えている。
この説は、誘電体を挟んだ並行平板コンデンサの両極を電線で結んで電流を流したとき、実際には電流が流れ得な
い誘電体にも電線と同じ電流(displacement current)が流れ、誘電体の周りにも電線と同じ磁界が生ずると仮定し て方程式を導いたものである。
この説では、電磁波(光もその一種)の伝播速度は、誘電体の誘電率と透磁率のみに関して定まる。計算結果は実
測と一致するので、これがこの説を正しいとする一つの根拠と思われる。
真空中の誘電率と透磁率は方向と場所に無関係に一定であるので、真空中の光速はどの方向にも一定(以下cの
記号を用いる)であるとされ、「光速不変の原理」と呼ばれている。
相対性原理を根本から見直してみたいと考える人は、この説も勉強すべきと思う。
偏微分の基礎と根気は必要だが、それほど難しいものではない。
一方、慣性系(等速直線運動する系)では、自然現象はその系の運動速度の大きさに関せず同じように起こる、とい
う事実がある。例えば、地上でも等速水平直線運動する電車内でも、投げたボールは同じように飛び系に関係なく一 つの式で表せたり、ある高さから物を落とせば、どちらも同じに落下するなどである。
この事実は、「特殊相対性原理」と呼ばれる。光の伝播に関してもこの原理は成り立つとされる。
ところで、上記二つの原理から、真空中の一点から光を発したとして、これを地上から見ると、どの方向にも一定の光
速cで拡がる光を見ることになる。
また、地球と異なる速度で動いている火星上でこの同じ光を見ても、どちらの方向にも光速cで伝わる光を見ることに
なる。
地球も火星も、太陽を中心に公転しているので、光を発した点が太陽の中心であれば、この現象はよく理解できる。
時間経過に無関係に、発光点をどちらも共有するからである。
しかし、ローレンツ変換では、一つの直線上を異なる等速で運動する二つの慣性系を考えている。
こうなると発光点を共有できるのは、発光した瞬間だけと云うことになるので、時間経過に伴い一つの光波面中心を
それぞれの系の不動点に求めることは常識では考えられない(光波面の中心がそれぞれの系の不動点でなけれ ば、光がどちらの方向にも同じ速度で伝播することは考えられない)。
この難題を座標変換によって求めようとしたのが、ここで問題にしているローレンツ変換である。
2.光波面の伝播と方程式の解説
二つの慣性系A、Bを考え、お互いの相対速度をvとし、慣性系Bが慣性系Aの座標のプラス方向に一定速度vで
一つの直線上を運動すると仮定する。
慣性系Aの座標原点をこの直線上に取り、空間座標のx方向をこの直線とする。それに直角方向の座標成分をy、z、
時間をtとする。また、慣性系Bの空間座標をX、Y、Z、時間をTとし、X軸はx軸と共通にする。
慣性系Bが、左方向から右方向へ動いてきて、丁度両原点が重なった瞬間に、原点から光を発した場合を考える。
光速不変の原理と特殊相対性原理とから、この光の光波面はどちらの系でも原点を中心に拡がることになるから、
次の真球の式で表す事が出来る。
A慣性系:
x²+y²+z²ー(ct)² =0
B慣性系:
X²+Y²+Z²ー(cT)²=0
ローレンツ変換では、系間の相対速度の影響は、相対速度と直角方向には無関係と仮定して、次の式にしている。
y=Y ・・・・・(7)
z=Z ・・・・・(8)
従って、上記真球の方程式を差し引きすれば、
x²−(ct)²=X²−(cT)² =0
が得られる。前に説明した式(1)は、この式から最後の”=0”を切り捨てたものである。
x²=(ct)²=X²−(cT)² ・・・・・・(1)
”=0”が付いた本来の式からは、
x=±ct、X=±cT
のように、光波面が時間経過と共に、それぞれの座標軸上をプラスとマイナス方向に拡がることを表すが、式(1)は
光波面の拡がりとは全く関係がない。
従って、光波面の拡がりを表せない式(1)は、光速不変の原理と特殊相対性原理には係わりのない式なのである。
3.座標間の変換式の解説
ローレンツは、光速不変の原理と特殊相対性原理を両立させる変換式として、次の座標間の変換式を仮定した。
A慣性系からB慣性系を観測する式として、
X=k(x−vt) ・・・・・(2)
B慣性系からA慣性系を観測するとして、
x=K(X+vT) ・・・・・(3)
式(2)の右辺カッコ内は、A慣性系の実座標と実時間であり、その系で勝手に取れる座標値と時間である。また、式
(3)の右辺カッコ内も、同様にB慣性系の実座標値と実時間である。
但し、時間tとTは、式(1)、(2)、(3)を連立方程式とすることから、両座標原点が一致した瞬間からそれぞれの系
内で経過する時間である。
この変換式を連立方程式にすることは、初めA慣性系でxを仮定し、式(2)で座標変換を行って、B慣性系の座標の
変換値を求め、この変換値を使って、さらに式(3)で座標変換を行いA慣性系の座標値xを求めて一巡するものであ る。
変換を一巡すれば、初め仮定したA慣性系の実座標値xに戻らなければならないことを意味する。
これは必要な変数を用いず、異なる変数を同じものとしてすり替えるマジックなのだが、後で詳しく説明する。
III.方程式の解
ローレンツ変換は、上記方程式(1)、(2)、(3)を連立方程式とし、解いたものである。
x²−(ct)²=X²−(cT)² ・・・・・(1)
X=k(x−vt) ・・・・(2)
x=K(X+vT) ・・・・(3)
解法は、先ず、式(2)にKを乗じ、式(3)のKXに代入しTを求める。
KX=kK(x−vt)
T={(1−kK)x−kKvt}/v
このTと式(2)のXを式(1)に代入して整理し、x²、xt、t²の係数がそれぞれ右辺左辺とも等しいとして、kとKが求
められている(式(4))。
x=k(x−vt) ・・・・・(2)
X=k(X+vT) ・・・・・(3)
k=K=1/√{1−(v/c)²} ・・・・・(4)
T=k{t−vx/c²} ・・・・・(5)
t=k{T+vX/c²} ・・・・・・(6)
y=Y ・・・・・(7)
z=Z ・・・・・(8)
これらの式が、相対性原理の土台である。
IV.式の検証
1.式(1)
単純な式であるが、多くの間違いが隠されている。
1) 式(1)=0 とした正しい解
”=0”の切り捨てに関しては既に前U.2.項で述べた。
式(1)=0として式(2)、(3)と連立方程式にすれば、次の組み合わせが得られる。これを解いたものが、本来の正
しい数式を基にした解である。
式(2)に対しては、
x=ct
X=cT
X=k(x−vt)
と
x=−ct
X=−cT
X=k(x−vt)
の二つの組み合わせがある。この組み合わせでは、時間tが観測する側のその系の時間であり、これを勝手に決め
られるので、求めるべき未知数は、tで変換すべき相手の時間Tとkである。
前者の組み合わせでは、光波面の拡がりが座標のプラス方向のものであるが、解として次の時間変換式が得られ
る。
T=k(1−v/c)t
後者では、光波面が、座標軸上のマイナス方向に拡がるものであるが、次の解が得られ、前者と異なることに注意し
なければならない。
T=k(1+v/c)t
この二つの時間変換Tの違いは、相対速度がゼロ以外、連立方程式には解がないことを意味する。また、一つの慣
性系に座標のプラスとマイナス方向でそれぞれ異なる二つの時間があることは、相手の座標原点が二つ存在しなけ ればならず、光はそれを発した点を中心に真球状に拡がるとするローレンツ変換の大前提に反することにもなる。
相手の原点は相対速度vに時間t又はTを乗じたものであるからである。
一つの慣性系に二通りの時間があってはならないことを考えれば、相対速度vがゼロ以外、連立方程式が成立しな
い。相対速度をゼロにすれば、k=1であって、x=X、t=Tでなければならないことになる。
具体的な例を挙げれば、重なった二つの直線に対し、無理に、一点の交点を求めようとするような計算なので
ある。
kの値は、式(1)、(2)、(3)を組み合わせて求めるものではないことも分かる。何故なら、時間tは、観測する側の時
間で観測者が自由に設定できる。tを設定すれば、xも定まる。
この連立方程式の未知数は、Tとkなのである(Xは、Tが定まれば自ずから定まる)。
連立方程式の数は、3つに見えるが、実質は、二つである。
従って、未知数の数と方程式の数は、それぞれ二つずつであり、T、とkが求められるのである。
式(A)、(B)と式(3)との組み合わせからは、上記同様、次の変換式が得られるであろう。
座標のプラス方向に拡がる光波面に対し、
t=K(1+v/c)T
座標のマイナス方向に拡がる光波面に対し、
t=K(1−v/c)T
これも式(2)との組み合わせ同様、時間が二種類存在しなければならず、相対速度がゼロ以外、連立方程式は成り
立たないことになる。
では何故、式(1)、(2)、(3)の連立方程式から、別のkとKが求まるのであろうか。この件に関しては、まだこの時
点で理解するに十分な説明をしていない部分があるので、改めて別項で取り上げる。
2)同じ変数(xとX、tとT)を異なるそれのように装い、式(1)の右辺と左辺の式を異なる式のように見せか
けている。
式(1)のxとX、tとTは、もともと同じである。証明しよう。式(1)をctについて整理してみる。
ct=±√{x²−X²+(cT)²}
この式右辺の√内は、必ず正かゼロでなければならない。即ち、
x²−X²+(cT)²≥0
である。この式をcTについて整理すると、次の式が得られる。
cT≥±√(X²−x²)
cTは必ず正かゼロでなければならないから、Xの絶対値はxのそれより大きいか、等しくなければならない、という結
論に達する。
一方、式(1)のcTについて、同様のことを繰り返せば、結論として、xの絶対値はXのそれより大きいか等しくなけれ
ばならない、という結論に達するであろう。
この両方を満足するものは唯一つ、xとXは同じである、ことである。
x=Xであれば、t=Tである。このことは、式(1)の右辺左辺の変数は、それぞれ同じであることになり物理学的に何
を意味しようとしているのか分らない。全く意味のない式としか言いようがない。
3)座標値x、Xの一般座標化
式(1)は、”=0”というアンカーがないため、x、Xは、この方程式を満足する限り自由な値を取ることができる。
式(1)の左辺は、xを一辺とする正方形の面積と、ctを一辺とする正方形の面積の差である。
この差を仮にMとしよう。
式(1)の右辺も同様に、Xを一辺とする正方形の面積と、cTを一辺とする正方形の面積の差である。
この差Mが、左右の式で同じでありさえすれば、式(1)のx、X、t、Tは自由な値を取れることであり、これと連立を組
めば、式(1)の変数は、相手の方程式のそれらに同化されてしまうことになる。
連立を組んだ相手の方程式は、式(2)、(3)であり、この式のx、Xは一般座標であるので、式(1)の変数は、すべ
てこの一般座標に同化されることになる。
本来なら、式(1)はk、Kを求め、tとTの関係を決める役割、即ち、境界条件でなければならないのに、逆に一般座標
にすり寄り、これに同化されてしまうのである。
4)同じ時間を異なる時間のように云う
上記2)で説明した通り、時間tとTは同じなのであるが、アインシュタインは異なる時間を持ち出している。
例えば、慣性系Aから慣性系Bを観測した場合、t は慣性系Aの実時間である。
この実時間は、慣性系Bの実時間とも同じである。
何故なら、どちらの系の式にも光速cや相対速度vを共通して使っているからである。
例えば、光速cや相対速度がkm/秒で表されていれば、どちらの系でも長さはkmが単位であり、時間は秒が単位
である。
相対速度の違いによってこれらが変化する訳ではない。
地球から火星に飛んで行ったロケットが火星に到着しても、ロケットの長さが、地球と火星の相対速度方向に伸びた
り縮んだり、あるいは、この方向に胴体が痩せたり太ったりすることはない。
時間に関しても同様に、地球上でも火星上でも、相対速度方向で変化する訳ではない。
これはどんな立派な理論を以てしても変えられない事実であって、自然原理である。
異なる時間があるとすれば、或る慣性系から他の速度の異なる慣性系を観測したとき、こちらと同じ筈の相手時間
が、それと異なって観測される、という意味であって、異なるのは相手系の実時間ではない。
見掛けの時間を隠して、実時間とすり替えているのである。これはトリック以外の何物でもない。
もし異なる時間を持ち出すなら、両座標系に共通の実時間ではない見かけの時間を用意した上で、それを使って新
たな式を記述すべきなのである。
アインシュタインは、見かけの時間と実時間との区別が出来なかったのではなかろうか。
2.式(2)、(3)
これにも多くの間違いがある。式(2)、(3)の左辺は、相手系を見た場合の見かけ上の座標である。一方、右辺
カッコ内のそれは、それぞれ相手座標を記述する場合に基準となる自分の実座標や時間である。
このことをしっかり理解しなければならない。 式(2)、(3)共、右辺カッコ内は、相手座標を記述する場合のガリレイ
変換に他ならない。
従って、式(2)の左辺Xと、式(3)の右辺カッコ内のXとは、k=1でない限り、同じにはならない。この式(2)のXと同
じXを含む式(3)とを連立にすることは、どちらの式のXも同じでなければならないことになる。
X実座標と見かけ上のX座標とが異なるにも拘らず、同じものとして、ここですり替えが行われているのである。
これもトリックである。
この非論理的変数のすり替えによる矛盾例を挙げよう。
矛盾例
式(2)は、慣性系Aに観測者がいて、慣性系Bを観測したものとして記述された式である。従って、座標xは、観
測者が決められる座標である。時間t=T=0、即ち、変換の出発点で座標xを設定し、式(2)で変換してみよう。
X=kx
である。
このXを式(3)のXに代入すると、
x=k・Kx、即ち、k・K=1
が得られる。これはガリレイ変換であり、式(4)とお互いに相容れない。相対速度vがゼロでない限り、式(4)では、
k=1になることがないからである。このことは、ローレンツ変換自体が、相対速度ゼロ以外成立しないものであること を表している。
k=K=1/√{1ー(v/c)²} ・・・・・(4)
また、変換を一巡して元のxに戻るには、kとKがお互いに逆数の関係でなければならない。ローレンツ変換のよう
に、逆数でない同じ変換係数をどちらの変換式にも使うことは、変換を繰り返せば、xは元の値に戻るどころか、最終 的にゼロに収束するか無限大に発散する。
次に、t時間経過後、x=0、X=0、即ち、それぞれの原点位置での変換を考えてみよう。
式(5)と式(6)から、それぞれ
T=kt t=KT
が得られ、これもk・K=1となり、ガリレイ変換になる。
式(2)と式(3)を考え合わせると、最終的に相対速度vがゼロ以外、連立方程式が成立にないことに辿り着く。
このように、ローレンツ変換は、相対速度vがゼロでない限り成り立たない変換なのである。
相対速度がゼロであれば、x=X、t=Tであり、もともと同じ原点を共有する二つの座標で、式も同じであるのに、そ
れを異なる式のように見せかけ、トリックを仕掛けていじくり回しているに過ぎないのである。
3.式(1)、(2)、(3)を解いて、kとKを求められる理由
これまでの検討から、式(1)=0、式(2)、(3)の連立方程式は、相対速度がゼロである以外、成立しないという
結論に達している。にも拘らず、この連立方程式を解いて、k、Kを式(4)のように定めることができたのは何故だろ う。
式(1)、(2)、(3)を解く計算過程には、間違いはない。しかし、何故k=K=1とならなかったのであろうか。誰しも
が抱く疑問だ。
筆者は、ここまで書いて来た責任上、これも明確にして置かなければならない。
その理由は、本来であれば、式(1)=0と式(2)の組み合わせのグループでkは定まり、また式(1)=0と式(3)の
組み合わせのグループでKは定まるものなのであるが、組み合わせるべきでないグループを組み合わせて連立にし たからである。
即ち、この二つの組み合わせのグループは、それぞれ単独のグループであってお互いに連立を組む相手ではないこ
とを理解しなければならない。
式(1)、(2)、(3)の組み合わせで、k、Kが求まったのは、式(1)から”=0”が脱落していること、及び、式(1)のX
と式(2)のX、式(2)のxと式(1)のxとは異なるものであるにもかかわらず、これらを同じとしてすり替え、本来、組み 合わせられない方程式を連立方程式にしているからである。
その結果、これまで何回も触れているように、時間変換式(5)、(6)のX、xに、本来、x=±ct、X=±cTが入るべき
ところ、連立を解くに十分な数式が不足しているため、これらが生のまま未知数x、Xとして解に残り、式(5)、(6)の T、tが未変換式になってしまっているのである。
4.結論
ここまでの大枠の結論は、式(1)、(2)、(3)を連立にすること自体が誤りである。
ローレンツ変換は、”=0” と云うしっかりしたアンカーを切り捨て、内股膏薬のように、どちらにもくっ付く宙ぶらりん
の式(1)を作っておいて、本来、組み合わせられない座標変換の式(2)、(3)と連立方程式にしていたことが分かっ た。
従って、初めに示したローレンツ変換式(2)〜(8)は、すべて、物理学的に何の意味もない式である。
よって、これを土台にした相対性原理は、すべて間違いである、と結論できる。
この程度のマジックは、科学者に見破って欲しかった。
それにしても、ローレンツは頭がいい。
この変換はローレンツが間違えたのではなく、故意に仕組んだマジックと考えるからである。
昔の優秀な物理学者が、こんなヘマな間違いを犯すとは考え難い。
ローレンツ変換を見れば見るほど、考えれば考えるほど、ローレンツが仕掛けたマジックであるとの考えから抜け出
す事が出来ない。
しかし、良く考えたものだ。彼は本当に頭がいい。
ローレンツはこう考えたのでは?と、筆者は推測している。
「光速不変の原理など誰が信ずるものか。もしそう云うなら、誰にも見抜けないマジックを考えてやろう。」
そして、式(1)のように”=0”を抜いて、本来の式をうやむやにし、もっともらしい座標変換の式(2)、(3)と組み合わ
せたトリックの変換を考え、無言の反抗を試みたのではなかろうか。
即ち、”=0”を抜かなければ、両系の座標は同じで、同じ原点を共有するものでなければならない、と云う結論しか
得られないが、また、これが正解なのであるが、”=0”を抜くことによって、巧妙な魔術の舞台が出来上がる。
この舞台を存分に活用して、百余年もの間、世界の科学者が見破れなかったこの魔術を考え、反抗を試みたのでは
なかろうか。
彼は多分、マクスウエルの光速の式を、筆者と同じように、光速不変の原理以外にも解釈できると考えていた、と思
うからである。考え過ぎかな?いや、考え過ぎなどでは決してない。
一世紀以上に亘る世界の科学者が、真実と信じ切って論じて来た世界は、”=0”を抜いた式(1)という舞
台に繰り広げられる魔術、幻の世界であったのだ!!
現代では、コンピュータが Virtual reality と呼ばれる世界を作っている。
ローレンツは、とうの昔、もう一世紀以上も前に、コンピュータを使わず、”=0”を抜いた簡単な式(1)で、Virtual
realityの世界を実現できる舞台を提供し、科学者を楽しませて来た訳である。
ここから先が、物理学者の本当の出番である。
これまで相対性原理が扱ってきた問題は、すべて新しい研究分野である。研究材料の宝庫となった。
最後に、若い物理学者にお願いしたい。
相対性原理に反論しても、村八分にされないよう、すべてその要素を除去して上げた積りである。
また、例え村八分にされても、勇気を以て、自分の意見は述べるべきである。
自分の学説に、人間関係を考慮してはいけない。
頑張って欲しい。
よくここまで辛抱強く、読んでいただきました。感謝致します。
如何でしたでしょうか?
相対性原理こそ正真正銘のSF、トンデモ科学だったことをお分かりいただけたでしょうか。
このような間違った説を、物理学界から一刻も早く追放し、マジック界に移籍させるため、本稿を理解できる能力のあ
る方に、是非このウエブページ(http://www.tcat.ne.jp/〜hodate)を教え、輪を広げて下さい。
大学でも、教授ととことん議論してください。
さらに、これまで相対性原理に反論された方、お互いに意見交換できればと思います。
下にメールボックスを用意いたしました。
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注意:著作者の紙面による承諾なしに、コピー、翻訳その他、著作者の権利を侵害する行為を一切禁止す
る。
参考文献
1)基礎物理学下巻 NDC420.1
内田老鶴圃 東京都中央区日本橋大伝馬町1丁目4番地
著者 奥田 毅
眞室 哲雄
発行者 内田篤次
発行 昭和35年8月5日
2)光速より速い光
NHK出版
著者 Joao Magueijo (ジョアオ マゲイジョ)
訳者 青木 薫
発行者 松尾 武
発行 2003年12月20日
3)電気磁気学
株式会社 オーム
著者 山本 勇
発行 昭和32年6月5日
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