865議会が医師・看護師の増員求める意見書

 医療従事者の不足により、病院の病棟閉鎖や診療科の縮小が各地で相次ぐ中、全国1,858地方議会のうち865議会が、医師や看護師などの増員を求める意見書を採択していることが、4月16日までに明らかになった。昨年の通常国会では、「医師・看護師など医療従事者を大幅に増員する」などの請願が採択されており、医療現場の人手不足を解消するための具体的な対策が求められている。

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医師や看護師の不足については、日本医療労働組合連合会(日本医労連)が昨年、アンケートを実施した。
 医師については、病院の約7割で実際に減っており、約9割が不足を感じていると回答。8割を超える勤務医が32時間の連続勤務を月3回も行っており、このうち3割以上が“過労死ライン”とされる月80時間以上の時間外労働を強いられていた。5割超の医師が「辞めたい」と考えており、女性医師の6割以上が妊娠時の異常を経験していることも明らかになった。
 また、看護師では「十分な看護が提供できている」との回答は1割にも満たず、8割近くが「辞めたい」と考えていることも分かった。

 
こうした医療現場の過酷な実態を踏まえ、日本医労連が全国の地方議会に対し、医師や看護師などの増員を求める請願活動を展開。これまでに32道府県議会と833市区町村議会の合わせて865地方議会が意見書を採択している。

 
これを都道府県別に見ると、北海道が113議会(道議会を含む)で最も多く、以下は長野県の69議会(県議会を含む)、沖縄県の53議会(同)、秋田県の51議会(同)、高知県の50議会(同)などの順。
 意見書の採択率は、岡山県が96%(28議会のうち27議会)で最も高く、以下は奈良県の95%(40議会のうち38議会)、鳥取県の80%(20議会のうち16議会)などの順だった。

 
日本医労連では「医師・看護師不足を放置したままでは、地域医療が崩壊してしまう。意見書が各地で採択されているのは、危機感を抱いている地方の声の表れだ。国会で採択された請願に基づいて、医師や看護師を大幅に増員するための施策を早急に進めるべき」と訴えている。


更新:2008/04/16 19:38     キャリアブレイン

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