視野が狭くなった重症の緑内障患者の6割が自動車を運転し、4人に1人は事故を起こしている--。自治医科大病院(栃木県)の外来患者の分析で、こんな結果が出た。公共交通機関が不便な地域では、やむなく運転するケースもあるという。同大の国松志保講師は「全国的にみても自家用車に頼る地域では同様の傾向があるとみられる」と指摘する。17日から横浜市で開かれる日本眼科学会で発表する。【下桐実雅子】
緑内障は眼圧上昇などにより視神経が傷ついて視野が狭くなる病気。調査は昨年7~12月に同病院の緑内障外来の受診患者のうち、視野の狭くなる度合いが最も進み、かつ視力が0・7以上の患者35人を対象にした。
このうち、日常的に運転していたのは22人。過去5年間に事故を起こした人は6人(27%)で、最も多かった55歳の男性は物損事故3回、人身事故1回の計4回だった。
事故を起こした別の男性は「一時停止し左右をよく確認したのに、出合い頭に車とぶつかった」と話しており、視野が狭いために見えなかったと考えられるという。
国松講師は「全国的に調査したい。傾向がわかれば、安全運転の指針づくりにつながる」と話している。
毎日新聞 2008年4月16日 東京夕刊