愛称は「せんとくん」--。インパクトのあるデザインで名もないうちから全国的な「知名度」を獲得した平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターに15日、ついに愛称がついた。市民らの反応はさまざまだった。【中村敦茂、高橋恵子、花澤茂人】
キャラクターを巡っては、奈良市などの19寺でつくる「南都二六会」が「角を生やすのは仏様を侮辱している」などと再考を要請した。二六会の橋本純信会長は「名前を決めたということは、変更を考えていないということで残念」と感想を述べた。
平城遷都1300年記念事業協会は「仏でなく架空の童子」と説明するが、公募総数1万4539件のうち「仏」に関するものが3328件もあった。
上牧町の主婦、吉井純子さん(60)は「デザインはともかく、名前は覚えやすい」と好感。奈良市のフリーター、前川絵美さん(23)は「あまりピンとこない。(公募で2番目に多かった)ナントくんの方が分かりやすい」と話した。大和高田市の会社員、巽ケイさん(24)は「デザインのインパクトに比べ、名前は普通。独自に公募する民間団体の選ぶキャラクターとの今後の成り行きが楽しみ」と話していた。
独自のキャラクターを一般公募する「クリエイターズ会議・大和」は記者会見で「奈良を愛する世界中の人に応募してほしい。1300点くらい集まれば」と呼びかけた。
「大和」は、県などでつくる記念事業協会のキャラクターが県民への周知がないまま決定したことに疑問を持つ県内のデザイナーらで先月結成した。
「新しく、楽しく、愛する奈良と平城京1300年」をコンセプトに5月15日までHP(http://creators‐yamato.net/)と郵送(〒630-8015 奈良市四条大路南町23の2 元気ワークス内)で募集。5月17日の1次選考で、「大和」が数十点に絞りこむ。5月19~25日にHP上で一般投票。投票最終日に、近鉄奈良駅前で街頭投票を呼びかける予定。
最終選考はHPと街頭の1位にそれぞれ1票が与えられ、「大和」のメンバーの投票と合わせて5月31日に決まる。発表は6月2日。田中功事務局長は「(彦根城の)ひこにゃんのように、祭りが終わっても愛されるキャラができたら」と話している。
毎日新聞 2008年4月16日 地方版