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【断 二宮清純】誰のため? 聖火リレー

2008.4.16 02:50
このニュースのトピックスコラム・断

 あえて挑発的に言うが、五輪の聖火リレーは神聖にして犯すべからざるものなのか。世界各国で北京五輪・聖火リレーへの抗議行動が相次いだことで、単なるプレ・イベントに過ぎない聖火リレーに注目が集まっている。聖火リレーが初めて行われたのは1936年のベルリン五輪である。発案者はドイツのスポーツ歴史学者だといわれているが、聖火がナチス式の敬礼で迎えられるシーンなどが報道され、ナチスドイツの政治的プロパガンダに利用された。

 以来、五輪前の聖火リレーは定番となったわけだが、発祥の地であるアテネ(2004年)はいいとして、北京五輪でも前回同様五大陸で大々的に聖火リレーを行う必要はあるのか。北京五輪でも大げさに聖火リレーを行う理由は二つ。中国政府の国威発揚策の具現化と「国際・聖火ツアー」という名の行き過ぎた商業化である。世界最高峰のチョモランマにまで行ってCO2を排出するというのは、これこそ環境破壊の象徴的シーンではないか。

 一部に「(妨害行動で)聖火を消すのは問題」との声もあるが、他国の公道で聖火を勝手につけたり消したりしているのは青い服を着た中国の“聖火警備隊”だ。彼らが守っているのは五輪の精神ではなく国家の威信である。

 26日、聖火リレーは長野を走る。「中国政府のチベット“弾圧”に抗議する」と言ってボイコットする気骨のある日本人ランナーはいないのか。「無事、大役が果たせてホッとしています」なんて言われた日には目もあてられない。(スポーツジャーナリスト)

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