新型インフルエンザの専門家会議(議長、岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長)は16日、鳥インフルエンザ(H5N1型)ウイルスから作った「プレパンデミック(大流行前)ワクチン」の増産と、約6000人を対象にした今年度中の臨床研究実施を決めた。臨床試験で有効性・安全性が確認されれば、新型の出現前も含めた1000万人への事前接種の検討に入る。
同ワクチンは、国内に2000万人分の原液が備蓄され、約70万人分が製剤化されている。臨床研究は▽安全性▽異種のウイルスへの有効性▽持続性--などの調査が目的で、検疫所職員や感染症指定医療機関職員らのうち希望者が対象。庵原俊昭・国立病院機構三重病院長が中心になり、年度内に評価をまとめる。また、新たなウイルス株からワクチン製造に着手し、備蓄量を増やす。
新型インフルエンザ出現後に製造が可能になる「パンデミックワクチン」については、従来の鶏卵を使った製法以外に細胞培養などの技術開発を進め、半年以内の全国民分の製造完了を目指す方針を了承した。【清水健二】
毎日新聞 2008年4月16日 13時25分