弘前市を中心に結核入院患者を受け入れていた弘前中央病院が昨年7月から、病棟を休止していることが15日、分かった。現在、同病院で結核のため入院が必要と診断された患者には国立病院機構青森病院を紹介しており、弘前地区は結核治療の空白地帯となった。休止について弘前中央病院は「看護師不足と患者減少が原因」と説明している。

 弘前中央病院の結核病床利用者は2005年度は年間で6人、06年度は12人、休止を決めた07年6月時点では5人が利用していた。
 同病院によると、結核病棟には6、7人の看護師を配置しなければならない。しかし、大病院の看護師大量採用の影響などで、看護師確保が深刻化。結核病棟、一般病棟の看護師不足という勤務実態悪化を防ぐため休止を決定した。
 県内で結核病棟を持つ医療機関は最大で01年1月に10施設、456床あったが、同年5月から06年6月までで7施設の医療機関が病棟を閉鎖。現在は弘前中央病院(36床)を除くと、青森市の国立病院機構青森病院(60床)、県立中央病院(16床)の2病院となり、県の医療計画の98床の維持は難しくなる。
 県保健衛生課は「県民の不安もあり、今後も県の医療計画を維持していきたい。病院の意向を聞き、話し合いを重ねていきたい」としている。
 弘前中央病院は大正時代から結核の研究治療に努め、1941年に市内学童にツベルクリン反応を実施。翌年には東北初となるBCGの実施など結核対策の先端を担ってきた。
 同病院は「再開できるよう病床は残しているが、看護師の確保などで難しい」と苦しい現状を説明した。