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【競馬】

<井崎脩五郎の競馬探偵> 弥生賞馬の過大視禁物

2008年4月15日 紙面から

 なぜ弥生賞馬は、皐月賞で必ずしも好走するわけではないのか。

 不思議といえば不思議な話である。

 弥生賞は、皐月賞と同じ中山芝二千メートルで行われる。ならば、弥生賞の勝ち馬が本番の皐月賞でも好走して当たり前なのに、そうなっていないのだ。

 弥生賞が、本番と同じ中山芝二千メートルで行われるようになったのは1984年以降。それ以降これまで弥生賞の勝ち馬が皐月賞に19頭出ているのだが(弥生賞が東京で行われた1988年を除く)、皐月賞における成績はというと【4159】で、勝率・210、連対率・263にとどまっているのである。どうしてこんなことになってしまっているのだろう。弥生賞を勝った疲労が、本番までに解消されずに残ってしまったのだろうか。

 そこで、その19頭が、弥生賞を勝つ前に何戦していたかを調べたところ、ああやっぱりなあということが分かった。

 19頭のうち、弥生賞を勝つ前のキャリアが3戦以内だった馬は、皐月賞において【4012】という好成績を残していた。

 これに対して、弥生賞を勝つ前に4戦以上していた馬は、皐月賞における成績が【0147】と振るわないのである。2着に1頭だけきているが、これは04年のコスモバルク。ただしコスモバルクは、6戦していたといっても、うち4戦はホッカイドウ競馬でのもの。中央競馬では、弥生賞の前に2戦しかしていなかった。

 やはり、弥生賞を勝つ前に何戦もしていた馬は、その蓄積疲労が尾をひいて、本番の皐月賞でなかなか上位に食い込めない−ということらしいのである。

 その代表的な例は、93年のウイニングチケットである。弥生賞前に4戦していたウイニングチケットは、弥生賞をレースレコードで勝ちながら、本番の皐月賞では5位入線。ガレオン(3位入線)の降着によって繰り上がりの4着に入るのがやっとだった。また最近では、弥生賞前に5戦していたアドマイヤムーンが、弥生賞を後方一気の豪脚で勝ちながら、本番の皐月賞では伸び足りず4着に終わっている。

 これらの前例を見ると、弥生賞を勝つ前に5戦している今年の弥生賞馬マイネルチャールズも、3/4馬身差という弥生賞のきわどい勝ち方と合わせて、過大視禁物という気がする。 (競馬評論家)

 

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