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硫化水素自殺:急増、若者ら今年27人 家族巻き添えも

 洗剤と入浴剤を混合させ有毒な硫化水素ガスを発生させて中毒死する自殺が今年に入り若者を中心に急増している。昨年は2件4人が死亡したが、今年はすでに26件で27人が死亡(14日現在)。うち6件はガスが拡散し住民や家族に死傷者が出たケースだった。専門家は「2次被害」により多数の「巻き添え」が出る危険性を指摘している。

 今月5日午前、東京都内に住む女性から110番通報が警視庁高尾署にあった。高校1年の息子(16)の自殺をほのめかす置き手紙があったため、高尾山(東京都八王子市)の登山道のふもとを捜索。テントの中で死亡した少年を発見。死因は硫化水素中毒死だった。テントには「硫化水素発生中。消防に連絡してください」などと張り紙がしてあった。

 テント内は硫黄臭が充満し、捜査員らは2次被害を警戒し防毒マスクを装着して対応した。

 硫化水素ガスは卵の腐ったようなにおいのする有毒ガス。高濃度を吸引すると体内の細胞が壊死(えし)し即死する可能性があるという。また、無色で嗅覚(きゅうかく)がまひするうえ、広範囲に周辺に拡散するため、発見者や周囲の住民も被害にあう「2次被害」の危険性もある。神奈川県秦野市で昨年7月に起きた硫化水素自殺では、死亡した男性(21)のほか家族2人が巻き添えで亡くなった。

 ◇重度の後遺症も

 ガス中毒死の遺体の司法解剖を数多く行ってきた千葉大法医学教室の岩瀬博太郎教授は「吸引すると、運よく生き延びても重度の脳障害が残る。卵の腐ったにおいがしたら近づかず119番するなど自衛を心がけるしかない」と説明する。

 東京自殺防止センター(03・5286・9090)、大阪自殺防止センター(06・4395・4343)。【神澤龍二、市川明代】

 ◇道内は約10件

 道警によると、道内では今年に入って少なくとも3件起き、▽3月31日、札幌市中央区のマンションで無職男性▽今月7日、同区のマンションで住民男性▽同11日、釧路市内のアパートで住民男性--の3人が死亡した(日付は発見日)。いずれもトイレ用洗剤と入浴剤、殺虫剤などを混ぜる方法だった。自殺のため、遺族の意向などによって発表しないケースがあり、これらも含めると10件前後に達するという。

毎日新聞 2008年4月15日 北海道夕刊

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