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【記者ブログ】偏向報道と報道統制、どっちが罪深い? 福島香織 (2/4ページ)

2008.4.16 01:44
このニュースのトピックスメディア倫理

疑問があったら、どうぞ聞いてください。もしサイトで真実でない報道かあったら指摘してください。

(以上)

■さて、このアンチCNN、というのは、最初、CNNのチベット騒乱事件報道の中で、明かな虚偽、意図的なバイアスを見つけた華人留学生がブログや掲示板で発言。問題のシーンなどを編集した動画を動画サイトに投稿して、華人社会で盛り上がり始めた。その後、23歳の北京在住ネチズンが、上記のサイトをたちあげ、BBC、米ワシントンポストやドイツのテレビなど、欧米メディアの報道の中で、明かな虚偽、偏向報道を事細かに指摘している。

■間違いの多くは、ネパール・カトマンズで発生したデモに対するネパール警察の鎮圧風景を、ラサで発生したデモ鎮圧と報じたものだ。これは、確かに、批判されても仕方のない誤報で、メディア側も謝罪を発表している。また、デモからの救出のため解放軍兵士が市民のからだをつかんで現場から離れようとしている風景を、デモ参加者に暴行する解放軍と報じたり、写真をトリミングして、チベット族暴徒が人をなぐっている風景を意図的(?)に見えなくして印象操作をしたという批判もある。

■サイトは画像中心なので、各自でいってじっくり見てください。だいたい上のコメントにあるようなスタンスでの書き込みが多いようだ。ただ、メディアの一員として言い訳させていただければ、事件発生当初、情報があまりに少なく(統制されていたので)情報が錯綜し、一方で人の命にかかわる緊急報道の必要性があり、あせったメディアがわに非常に混乱が生じたことは確か。これらの虚偽報道は、意図的捏造というよりは、純然たるミステイクではないかと思う。うーん、言い訳にはならないか。

■このアンチCNN世論が、信じられないくらいもりあがって、Liuyichenさんが指摘するように、全世界華人は空前の結束をみせたのだった。一般に在外華人は共産党に批判的というが、この件に関しては「共産党の勝ち」というわけだ。

■このサイトは、民間の普通のネット愛好者がインターネットを駆使して情報をあつめ、精査し、立ち上げたということだが、あまりのデキの良さに、半官製メディアでは、という疑いの声も当然ある。しかし、こういう形で、間違った報道を糾そうというアクションが読者であるネットユーザー側から自然発生的におこり、ここまでのムーブメントを作り出したのだとしたら、これこそまさにネットの双方向性のなせるわざであり、中国の言論環境の劇的な進歩という意味で、私は拍手をおくりたい。

■ところで、このアンチCNNサイトに、ある中国人ジャーナリストが4月3日、一石を投じた。これが冒頭でちらりと触れた長平氏の論文である。全文翻訳をぜひぜひ読んでほしい。(南都週刊の編集部に、さっき全文翻訳して日本の読者に読ませたい、問題ないでしょ?と電話したけれど、本人にはつないでもらえず(外国人記者との接触を断っているらしい)、明確な返事はもらっていない。たいてい中国の記者は、勝手にすれば、みんなやってるし、という反応だし、中国のブログではほしいままにコピペされていたから、版権的にはいいんじゃないか?う〜ん。と悩んだ末。全文翻訳の5割分を反転で隠してみた。文句がきたら考えなおします。)

■以下、引用。

■チベット事件:真相と民族情緒(南方都市報 4月3日)

■ラサ事件発生後、弊紙(南方都市報)は迅速に情報提供したが、国内メディアは慣例どおり口をつぐんでいた。数日後、各メディアはただ、チベット自治区の責任者の簡単な報告と談話を載せただけだった。その報告は、事件について一言あるだけだった。「このほど、ラサでごく少数の人間が打ち壊し略奪焼き討ちなど破壊活動を行った」。

■これは新聞の一本の見出しにしかならない長さだ。民衆はこの談話から、ダライ集団に対する厳しい譴責の中で、この事件がただごとでない、と感じ、自然ともっと詳しく知りたいと思うようになった。

■過去の経験を振り返れば、多くの中国人が海外メディアからより、多くの情報を獲得するだろう。このとき、いくつかの海外メディアが虚偽の報道をネット上のウエブサイトや動画サイトで流しはじめており、これは中国民衆の西側メディアのサイトに怒り世論でたたく事件となっていた。いわゆる「アンチCNN」「アンチBBC」「アンチVOA(ボイス・オブ・アメリカ)」である。

■ネットユーザーの集めた材料によると、ドイツ、米国、英国、インド国内の一部国営メディアはラサ事件の報道中あきらかに事実の誤りがあるという。記者の職業規範からみれば、これら誤りは非常に低級で、ひどい場合は意図的なミスリードの疑いもある。これら数者のメディアは謝罪と訂正を行ってはいるが、事実でないニュースを流したマイナス影響は既成事実であり、中国民衆を納得させるのは難しかろう。

■あらゆる虚偽ニュースと同様、これはまずメディア自身の公的信頼性を傷つけ、一万の真実があっても、一つのウソの言い訳にはならないのである。この事件の続報においてまた将来的なその他の大事件において、もし中国メディアが自由報道が出来ず、海外メディアもまた疑わしくなってしまえば、ならば、真相はどこからくるのだろう?

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