そんな中、長女・紅円の入学式があった。
札幌から来ている両親とは受付時刻に学園の入り口で待ち合わせたが、駅までの道のりがいつも通りでなかったためと、鉄道ダイヤの乱れで少し遅くなる。
斜面に取り付けられた椅子に父兄が座り、前方のスペースが空いていて、クラス別に着席することになっている。
クラスは「い」「ろ」「は」「に」に別れているというのも、伝統を感じさせる。
やがて後方二カ所の入り口から二列を成した生徒達が、階段を下り前方の席に導かれていく。
女の子しかいないのが不思議な感じで、改めてそこが女子校であることに気づく。
続いて理事長の挨拶。
4つのクラスの担任教授が紹介され、シンプルな式は終わった。
生徒が退出した後、父兄に向けてのオリエンテーションがしばらく続く。
来年100週年を迎えるという名門には、独自の伝統と方法論があるのだろう。
北海道の田舎で学齢期を経た身にしてみれば、驚くことばかりだ。
また、生徒の安全のための決まり事やルールも多い。
──セキュリティに関することなので詳しくは書かないが。
妻は紅円が教室から戻ってくるのを、ホールで待つ。
いやー、東京って本当に「たいへん」な都会ですからね。
ザジなんぞわたしはちっともわかりません。
驚かれるのも当然だと思います。
楽しいことがたくさんありますように。