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【主張】新型インフル対策 まだ不備が目立つ具体案

2008.4.15 02:16
このニュースのトピックス主張

 政府の「新型インフルエンザ対策案」が公表された。海外で新型が発生した場合、邦人発症者の帰国を中止させ、感染の疑いのある人も航空機や船に乗せないよう航空会社や船舶会社に求めるという。なかなか厳しい内容である。

 新型対策は危機管理そのものであり、最悪の事態を想定せねばならない。それゆえ、ある程度の厳しさはやむを得ないだろう。

 ただし、厳しい措置を取る以上、政府は邦人の身の安全を保証しなければならない。犠牲者を出したり、実効性が伴わなかったりしたら理解は得られない。

 帰国をやめさせた感染・発症者らには外務省や在外公館が現地の医療機関を紹介する。医療機関に対応能力がない場合は、在外公館に備蓄してあるタミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方する。

 しかし、在外邦人の数に対し、在外公館の抗インフルエンザ薬の備蓄量は不足している。できる限り早く、十分対応できるように備蓄量を増やす必要がある。新型インフルエンザはいつ発生してもおかしくないからだ。海外に進出している企業もこれを機会に対策を十分練っておくべきだろう。

 対策案によれば、邦人の帰国には航空会社の定期便が利用される。その運航が停止したときは政府専用機や自衛隊機を活用する。発生国からの入国者全員をウイルスの潜伏期間中はホテルなどに滞在させることも検討している。

 そのためには空調や隔離の設備を整え、輸送機やホテルの感染予防を確実にしなければならない。輸送できる人数やホテルの収容量の問題も解決しておくことだ。

 今回の対策案は新型インフルエンザウイルスが国内に侵入するのを可能な限り水際で防ぎ、その一方で海外の日本人を速やかに帰国させるのが趣旨だという。その割にはあまりに具体案で不備が目立つのではないか。

 水際対策には限界もある。どこかの国で発生すれば、新型はいずれ日本に入ってくるからだ。7月までに見直す行動計画では、国内で発生した場合の対策も十分に検討してほしい。

 世界保健機関(WHO)や厚生労働省の推計では、新型インフルエンザがパンデミック(大流行)を引き起こすと、世界で最大7400万人が感染死し、日本国内では最悪64万人が命を落とす。新型を決して侮ってはならない。

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