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【主張】後期高齢者医療 冷静に制度を理解しよう

2008.4.16 02:42
このニュースのトピックス主張

 75歳以上が原則全員加入する後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が、出だしから大きくつまずいている。保険証が届かないことや保険料の徴収ミスなど混乱続きだ。

 制度導入決定から2年も準備期間があった。厚生労働省はこの間、何をしていたのか。猛省を促したい。

 福田康夫政権の誕生に伴い与党が昨年10月末になって、保険料軽減策を突如加えたことも準備遅れの原因となった。与党にも責任の一端はあるといえよう。

 混乱がこれ以上広がれば、制度は信頼を失い、医療不安につながる。政府は制度を運営する広域連合と連携し、加入者全員分の再チェックを行うべきだろう。

 周知不足も混乱に拍車をかけた。その一つが保険料負担だ。全員が新たな負担になると誤解している人も少なくない。対象者約1300万人のうち、1100万人はこれまでも国民健康保険などの保険料を支払ってきた。

 扶養家族だった約200万人は新たな負担が必要となるが、2年間は大幅に軽減される。低所得者には段階的な減免も図られる。

 高所得者や従来の自治体独自の減免制度から外れた人などは保険料が上がる場合もあるが、新制度移行で下がる人も多い。

 15日から始まった保険料の年金天引きには批判が強い。だが、民主党の主張のように天引きをやめても、負担がなくなるわけではない。むしろ天引きは窓口で支払う手間が省ける。納付漏れを少なくするにも有効な手段だ。お年寄りにも冷静な対応を求めたい。

 「天引き後の年金額では生活できない」との不安も広がっている。制度は複雑で理解しづらい。政府は戸別訪問などきめ細かな対応を講ずるべきだろう。滞納が続き必要な医療が受けられない人がいないかの把握も必要だ。

 新制度は医療費の一定割合(当面10%)を高齢者自らの負担とした。医療費が高い都道府県ほど保険料も高くなる仕組みも導入した。少子高齢化で医療費はさらなる伸びが予想される。高齢者に応分の負担を求めることもやむを得まい。新制度のすべてに問題があるわけではなく、制度を廃止したところで問題は解決しない。

 ただ、国民が安心して老後を過ごせる制度でなくては長続きしない。政府は制度の意義を理解してもらうと同時に、改善の努力も怠ってはならない。

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