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【主張】教員免許更新 資質向上へさらに工夫を
教員免許更新制度で今年度に試行される講習の内容が公表された。平成21年度から始まる更新制度のモデル事業で、講習の効果や課題を洗い出す狙いがある。講習を形骸(けいがい)化させてはならない。
教員免許更新制は、時代の変化などに対応した教員の指導力を高めるため、教員免許法が改正され導入された。
学力低下やいじめ問題などによる公教育への不信をぬぐうため、授業や生徒指導で教員の指導力向上が欠かせないとの要望が高まったからだ。
現職教員は、来年度から35、45、55歳など10年ごとに30時間(5日間)以上の講習が義務づけられる。
講習では筆記試験や模擬授業など実技試験を行い、5段階で評価する。60点未満のランクは不合格で、2年以内に再講習、再試験で合格しないと免許が失効する。指導力不足の駄目教師を教壇に立たせないねらいもある。
講習は教員養成系の大学や教育委員会などが開講し、教員が自分で選んで受講する。
制度スタートを前に今年度、夏休みなどを利用して約100の大学などでモデル講習を行う。
その講習内容をみると、理科好きの生徒を育てることをねらいにした授業やモンスターペアレント(問題親)への対応など、最近の教育課題を踏まえ特徴ある講座を開く大学がある。洋上体験やボランティア、ものづくりなど体験型の講座も目立つ。
教員らの興味を引く工夫が見える。だが、夏休みのカルチャースクール的な体験にとどまってしまわないか気がかりだ。
学校現場では家庭の教育力低下で基本的な生活規律が身に付いていない小学1年のクラスが荒れる「小1プロブレム」が指摘されているほか、40〜50代のベテラン教員の旧態依然とした指導法により学級崩壊を招くケースもある。
いじめ問題でもインターネット上での陰湿な悪口を含め、子供たちをめぐり教室だけではみえない問題が起きている。
教員は自身の授業や指導法を評価される機会が少なく、独り善がりで誤った指導をしていてもなかなか気づかず改善されない。
更新講習は自分の指導を見直す絶好の機会だ。大学などは講習内容をさらに練り、評価を厳正に行ってほしい。公教育再生は教員のよりよい授業にかかっている。