インタビュー:08年度円債投資は消去法的、大きな相場変動望めず=三井住友銀

2008年 04月 15日 19:20 JST
 
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 [東京 15日 ロイター] 三井住友銀行は2008年度の債券運用計画で、金利の上昇局面ではキャピタル・ゲインを狙い円債に投資をするスタンスを維持する。年度内は日銀の政策金利は横ばい、景気は足踏み状態が続くとの見方から大きな相場変動と収益チャンスが期待しづらく、他の投資商品と比べて妙味が残るという、消去法的な投資姿勢で臨むという。

 同行の村瀬充宏・市場資金部副部長、宮垣直也・市場営業部副部長の両氏がロイターとのインタビューで語った。インタビューの詳細は以下の通り。

 ――米国及び日本の景気・金融見通しは。

 米国の景気は底を打った後にV字もしくはU字の回復をするというよりは、もう一段のダウンサイドリスクが生じるとみている。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策では、年度末までにFFレートは1.0─1.5%くらいまで引き下げられる可能性はある。

 日本の景気は決してよくはないが後退期に入るほど悪くはなく、はっきりしない状態が続く形で、日銀の金融政策は年度内は利上げも利下げもないと見込んでいる。利下げに関しては、ファンダメンタルズ面からその必要が出てくる状態にはならないだろう。米景気が予想以上に悪かった場合や、欧州が利下げ局面に入り日本が協調的に、ないしは金融市場への混乱に対処する形で利下げに踏み切るというのは可能性としては残るが、通常の金融政策運営においての利下げは想定しづらい。したがって、年度内は政策金利の水準は横ばいで維持される確率が高い。

 ──円債の運用方針は。

 景気がぐずついた状況が続くため、年度内の10年債利回りは1.2─1.7%程度とかなり狭いレンジでの推移を予想している。レンジを抜ける可能性がより高いのは金利の低下方向だが、そうなるのは相場として利下げ織り込みがあるような局面。ダイナミックな相場展開は期待できないので、こまめな売買で少しずつ収益につなげていくしかないだろう。

 株、債券、クレジットの中での資産配分を考えた場合、消去法的に資金を国債に振り分けざるを得ない。キャリーを稼ぐというよりはキャピタル・ゲインを狙う時間帯という認識で、タイミングを見ながら売り買いしていくことになるだろう。具体的にターゲットとしている金利水準はないのだが、10年債利回りで言えば1.4%台から1.5%近辺では買いを入れ、1.3%前半から1.2%台にかけては売る、といったイメージだ。

 タームで言えば、流動性の高い7年などの先物近辺のゾーンと、20─30年の超長期ゾーンはそれなりの運用メリットはある。一方で短期ゾーンや荷もたれ感のある中期ゾーンは、政策金利の引き上げが予想できないなかでは保有している分には問題はないが、相場変動を期待して積極的に買えるとも思えない。

 07年度の債券運用では、総じてポジションに大きな痛みはなかった。3月末時点での国債の保有残高は、07年9月末(7兆円程度)よりも多少は増えている。

 (ロイター日本語ニュース 田中 志保、茂木 千香子)

 

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