沖縄県は本土に比べると温暖で、暖房や風呂の熱湯によるやけどが少ないのですが、それでも日常診療でのやけどの割合は決して低くはなく、当院でも年間約140人がやけどで来られます。そのうち、3分の1は5歳未満の小児で、原因として多いのは熱湯やスープ、アイロンなどによるやけどですが、ほとんどの場合、子供の周囲に危険なものを置かないようにすることで防げます。
高齢者のやけども増えており、受傷原因としてお湯などのほかに、湯たんぽやファンヒーターなどによる、いわゆる低温熱傷が若い方より多くみられます。これらは通常のやけどに比べて気付くのが遅く、より深くなります。例えば湯たんぽで水ぶくれができて、自宅で薬をつけていたが、実は深いやけどだったということはよくあります。
やけどはその深さによってI度、II度、III度に分類されます。
I度は皮膚が赤くなり、多くは冷やすだけで傷を残さず治癒します。
II度は水ぶくれができるもので、浅いものは適切に治療すれば2週間くらいで皮膚ができ、数カ月で跡を残さず治癒します。しかし深いものは水ぶくれが破れて治癒に時間がかかり、傷跡を残すことが多いです。
III度は皮膚の下にまで達するもので、皮膚が黒くあるいは白く焼けて固くなり、傷が深すぎて痛みがないこともあります。深いやけどの場合には入院や手術が必要になることもあります。
足などは最初は浅くても歩いているうちに傷が深くなりやすく、入院して安静にした方が早く治ることがあります。深いやけどは治癒に数週間から数カ月かかって、ひきつれたり、傷が盛り上がって治ることが多いようです。浅いやけどでも数カ月は赤みが出ることがあり、日焼けしてしみとなって残ることがあります。
深く広いやけどには、ほかの部分の皮膚をやけどの傷に植える皮膚移植を要することもあります。傷跡に対しては、より目立たなくするために内服やテーピング、あるいは修正術などの治療を行うこともあります。
なにしろ、やけどは予防が一番で、特に小児の周囲からは危険なものを遠ざけるようにしましょう。そして受傷したら、まずは流水やぬれタオルで冷やし、すみやかに病院で受診してください。特に水ぶくれが破れているときは、その下の皮膚が乾燥すると傷が深くなるので注意が必要です。
昔から「傷は乾かして治せ」といわれていました。しかし、傷口の細胞も、生きるためには水分が必要で、現在乾かすのは間違いということが分かっています。傷を乾燥させないため、病院では軟膏を塗ったり、特殊なフィルムや創傷被覆(ひふく)材(ドレッシング材)などを貼ったりします。
やけどの深さは、当初、判定が困難なこともあります。大したことはないと思っても、深いやけどを負っていることもあるため、自己判断で治療をしない方がいいと思われます。アロエや小麦粉、たばこの葉をつけたりする方がおられますが、いずれも化膿(かのう)の恐れがあります。
消毒もやりすぎると細胞にとって障害となることがあります。よく「○○をつけたら治った」という話も耳にしますが、たまたまそのやけどが浅かっただけかもしれませんので、できるだけ病院で診てもらうようにしましょう。
(大石正雄、中部徳洲会病院)
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