延々と続く人波。眼下に広がる瀬戸内の多島美。瀬戸大橋の“二十歳”を祝う橋上イベントに参加し、本州と四国を結ぶ長大橋の雄大さをあらためて実感した。
マラソン(十五キロ)、ジョギング(八キロ)、ウオーク(五キロ)に、全国から約一万千四百人が集まった。橋上を開放したイベントは十五年ぶり。五時間にわたっての全面通行止めは開通後初めてのことだ。
さわやかな春の潮風を受け、マイペースで進む参加者たちの足取りは軽い。間近にそそり立つライトグレーの主塔を見上げ「すごいなあ」と声がもれた。橋を背景にあちこちで記念撮影する姿も。
春がすみに包まれて浮かぶ島々は幻想的だ。白い航跡を残して何隻もの船が通り過ぎていく。やがて鳥が羽を広げたような優美な斜張橋が見えてきた。上空では航空自衛隊の「ブルーインパルス」が一瞬のうちに飛び去った。
歩きながら二十年前の架橋記念ブリッジウオークが思い出された。十万人の参加者で橋上は埋め尽くされ、心と心をつなぐ壮大な「人間の橋」をつくり上げた。あの時の高揚感は今も忘れられない。
今回のイベントでも多くの人々がそれぞれの思い出を胸に刻み、マイブリッジを体感したことだろう。この大動脈を何としても生かさねば。そんな思いを強くした一日だった。