フランスは、出生率がヨーロッパで最も高く、女性の8割以上が働いているが、仕事と家庭の両立は難しい。仕事のストレスによって早産が増えている。そこで、国と企業が一体となって働くママやパパたちを応援する「職場における親の憲章」を発表した。自動車、建設、メーカーなどフランスの大手企業30社がこの憲章にサインしている。
憲章は、バランスのとれた仕事と家庭の環境づくりを目指している。共稼ぎ夫婦の8割が3歳以下の子どもを育てており、最も頭をかかえるのが託児所や保育園の送り迎え。そこで、「9時前と18時以降は会議をしない」「企業内に託児所をつくる」など。また、フランスの学校は休みが多く、その間、子どもたちを預ける場を探すのは大変だ。そこで、「毎週水曜日とバカンスの間、4歳から10歳までの子どもを職場に迎える」といった具体的な実例が挙げられている。
この憲章を求めてきたSOS-Premaという組織によると、フランスでは毎年6万5000人が予定よりも早く産まれ、女性の社会進出が顕著になった1995年からの増加率は45%に達する。この組織をつくったシャルロット・ラヴリルさんは「早産は職場のストレスに起因している」と分析する。ラヴリルさん自身、第2子が9週も早く生まれた経験を持つ。「早産を予防するため、働く環境を改善したい」と2004年にこの組織を立ち上げた。
家庭と仕事の両立を求めているのは女性ばかりではない。子どもを持つ管理職男性400人を調査したEquilibres(2008年2月発表)によると、3分の2が、家庭と仕事のバランスを望んでいる。この傾向を裏付けるのが、「父親出産休暇」の取得者が6割にのぼること。これは、2002年に父親のために導入された制度で、生後4カ月以内の新生児を世話するために連続11日間休むことができる。仕事のキャリアを保ちながら、子どもとの遊び、学校の送り迎えなどの育児にもかかわる管理職が増えている。
フランスでは「家庭と仕事の両立」は女性だけが発する言葉ではない。男女ともに両立を必要とし、社会がそれを支えようと動きはじめた。
2008年4月15日