昨夜、福岡市早良区西新で、78歳の女性が男に刃物で刺されて死亡しました。
およそ20日前の先月下旬にも、すぐ近くで別の女性が刃物で刺される事件が起きているうえ、いずれの事件も犯人の男が捕まっておらず、地域に不安が広がっています。
福岡市早良区西新2丁目のアパート「青木荘」の前で、住人の田中久子さんが男に刃物で胸など数か所を刺され、搬送先の病院で死亡したのです。
刺した男は、悲鳴を聞いて駆けつけた近くの50代の男性にいったんは取り押さえられましたが、これを振り払って、南の方向にはだしで逃走したということです。
男は20から25歳と見られ、身長170センチから180センチ程度のやせ型、髪は黒く、耳にかかる程度の長さで、茶色のジャージの上下を着ていたということです。
田中さんはこのアパートで一人暮らしをしていました。
同じ階に住む女性は、アパートで若い男の姿を見かけることはなかったと話します。
警察は昨夜のうちに、この事件の捜査本部を設置。
周辺の聞き込みのほか、警察犬を使って犯人の行方を追うなど、125人体制で捜査にあたっています。
現場のアパートは、福岡市中心部を東西に横切る通称・明治通りから、北側へ入った閑静な住宅街にあります。
周辺には小学校のほかに、高校や大学があり、文教地区として知られています。
現場の目と鼻の先に学習塾もあり、事件当時も多くの子供たちが勉学にいそしんでいました。
しかし事件を受けて、昨夜は地元自治会のメンバーが、急きょパトロールするなど緊張が走りました。
一方、昨夜の事件現場から直線で、わずか800メートルほどの城南区鳥飼でも、先月25日、帰宅途中の女性会社員が刃物で刺されて重傷を負う事件が起きています。
この事件の犯人も20代と見られる若い男でした。
すぐ近くで相次いだ殺傷事件の犯人が、いずれも逃走したままになっていることから、周辺の住民には不安が広がっています。
福岡市教育委員会は、市内全ての幼稚園や小中学校などに、集団登下校を徹底するよう呼びかけました。
事件現場に最も近い西新小学校では、職員およそ40人を校区のあちこちに配置したほか、保護者なども協力して子供たちの登校を見守りました。
これまでの警察の調べによると、事件現場には殺害された田中さんのバッグが残されていましたが、現金などが奪われた形跡はありませんでした。
きょうになって、警察の鑑識活動は現場から明治通りを超えた南側にも広げられました。
その先には、先月の事件の現場があります。
現場がわずか800メートルしか離れていない2つの事件。
被害者は、いずれも女性でした。
また、犯人の男の身体的特徴や犯行の手口などにも共通点があることから、警察は連続通り魔事件の可能性もあるとみて、捜査を進めています。