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小児科を守れ/5 できることから

 

 ◇医師へ「ありがとう」

 兵庫県丹波市の県立柏原(かいばら)病院の小児科診察室の横に、患者の子どもや親が医師に感謝の言葉をつづった「ありがとうカード」が掲示されている。「県立柏原病院の小児科を守る会」が07年8月から始めた。

 あるカードにはこう書いていた。「子どもが入院した時、宿直でなかったのに夜遅くまで診てくださり、心強く思いました。小児科がなくなるなんて……。私たちも出来ることをやりますので、先生方もよろしくお願いします」

 「そりゃ、うれしいですよ」。一時は退職を決意していた小児科医、和久祥三(わくしょうぞう)(41)が顔をほころばせる。

 行政に要望しても医師は増えないと分かったメンバーが考えたのが、「今いるお医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」ということだった。病院の草刈りに参加したり、医師に年賀状を出したりした。「診察の時『ありがとう』と言おう」と呼びかけた。

 活動のアイデアは、主に携帯電話のメールでやりとりする。あとは「できる人ができることをやる」スタイルだ。活動費捻出(ねんしゅつ)のためフリーマーケットに3度、出店した。

 署名活動の後半から会に加わった丹生裕子(たんじょうゆうこ)(37)は小学校6年、4年、2年の3人の子育て中。週2日はスーパーマーケットに勤める。7月から代表を引き受けたのは「メンバーの中で一番年上だったからです」と気負いはない。

 母親たちの活動は、市民だけでなく、ネットを通じて全国の医療関係者に知られるようになった。(敬称略)=つづく

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毎日新聞 2008年4月15日 大阪朝刊

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