兵庫県丹波市の県立柏原(かいばら)病院の小児科診察室の横に、患者の子どもや親が医師に感謝の言葉をつづった「ありがとうカード」が掲示されている。「県立柏原病院の小児科を守る会」が07年8月から始めた。
あるカードにはこう書いていた。「子どもが入院した時、宿直でなかったのに夜遅くまで診てくださり、心強く思いました。小児科がなくなるなんて……。私たちも出来ることをやりますので、先生方もよろしくお願いします」
「そりゃ、うれしいですよ」。一時は退職を決意していた小児科医、和久祥三(わくしょうぞう)(41)が顔をほころばせる。
行政に要望しても医師は増えないと分かったメンバーが考えたのが、「今いるお医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」ということだった。病院の草刈りに参加したり、医師に年賀状を出したりした。「診察の時『ありがとう』と言おう」と呼びかけた。
活動のアイデアは、主に携帯電話のメールでやりとりする。あとは「できる人ができることをやる」スタイルだ。活動費捻出(ねんしゅつ)のためフリーマーケットに3度、出店した。
署名活動の後半から会に加わった丹生裕子(たんじょうゆうこ)(37)は小学校6年、4年、2年の3人の子育て中。週2日はスーパーマーケットに勤める。7月から代表を引き受けたのは「メンバーの中で一番年上だったからです」と気負いはない。
母親たちの活動は、市民だけでなく、ネットを通じて全国の医療関係者に知られるようになった。(敬称略)=つづく
==============
連載への感想や意見をお寄せください。〒530-8251(住所不要)毎日新聞「おかあさん」係(ファクス06・6346・8204)。メールはokaasan@mbx.mainichi.co.jp
毎日新聞 2008年4月15日 大阪朝刊
4月15日 | 小児科を守れ/5 できることから |
4月13日 | 小児科を守れ/4 自分たちで |
4月11日 | 小児科を守れ/3 コンビニ受診 |
4月10日 | 小児科を守れ/2 会の結成、きっかけに |
4月9日 | 小児科を守れ/1 閉じた診察券入れ |