韓国経済、成長鈍化 物価上昇に政権公約早くも赤信号2008年04月15日00時38分 【ソウル=稲田清英】韓国経済の先行きに不安が高まっている。穀物や原油の価格高騰とウォン安の影響で物価が上昇する一方、世界的な景気不安で李明博(イ・ミョンバク)大統領の公約した成長率の達成は危ぶまれている。経済界での実績をひっさげて当選した大統領は、就任約1カ月半ではや正念場を迎えた。
「世界経済が厳しいのは事実だが、厳しい、厳しいと一層内需を萎縮(いしゅく)させては問題だ。さらに悪くなる前に対策が必要だ」。李大統領は15日からの米日歴訪を控えた13日の記者会見で、韓国経済の現状に危機感を示した。 昨年の大統領選では年7%成長を公約にした。下方修正したが、それでも今年、昨年の5%を上回る6%成長を目標に掲げた。規制緩和や減税を通じて企業の投資を引き出し、雇用創出にもつなげるとしてきた。景気減速で、そのシナリオが早くも狂いかねない状況になってきた。 韓国銀行(中央銀行)の李成太総裁も10日の会見で「国外環境が悪化しており、原油高や原材料高は消費に悪影響を与える。今年の経済成長は相当な鈍化が予想される」と述べた。韓銀は昨年末、今年の成長率を4.7%と予想したが、それも下回る可能性が高まっている。 国民生活へのもう一つの懸念材料は、物価上昇だ。3月の消費者物価は前年同月比3.9%上昇。昨年12月以降、毎月3.6〜3.9%上昇し、韓銀の目標値(上限3.5%)を上回る水準で推移している。3月は小麦粉や白菜が6割、ラーメンが2割、ガソリンや軽油類は1〜2割程度、1年前より上がった。 ソウル市南部のスーパーの食品売り場で品定めしていた女性(50)は「小麦粉や野菜が特に高い。正社員じゃないから給料は上がらず大変。物価や非正規職の問題に力を入れて、まず庶民が暮らしやすい国にしてくれないと」と嘆いた。 政府は物価抑制のため、小麦粉やガソリンなど52品目を対象に、関税引き下げや公共料金の据え置き、流通経路を見直し競争を促すことなどを打ち出している。だが、資源や食糧の多くを輸入に頼る韓国で、政府が「統制」を強化しても、効果には疑問が残る。また、内需拡大のため、無理に政府支出を追加すると財政悪化につながる。 韓国では非正規職が賃金労働者の4割に迫り、待遇改善が国民の関心事になっているのに、この問題への具体策は打ち出せないままだ。ソウル市在住の30代女性は「政権が交代しても、いつも何も変わらない。今回も正直期待していない」と語る。 韓国経済に詳しい深川由起子・早大教授は「公約した成長はすぐには無理。旗は掲げつつも、医療保険の充実など生活安定につながる施策も進める必要がある。大統領当選の原動力の一つは盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に失望した低所得層の期待。失望させてしまえば、民心が離れるのも早いだろう」と指摘している。 PR情報この記事の関連情報国際
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